中間時代
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LXX出エジプト 1章
70人訳聖書概論

中間時代とは聞き慣れない言葉です。けれども聖書を理解する上でこのうえなく

重要な時代です。

と申しますのも、旧約聖書が書かれた紀元前430年以前から新約聖書が記された時代

までの間に重要な変化が起きたからです。そのなかで最大の変化を取り上げる事は

簡単ではありませんがあえて言うならば、それは言葉の変更でした。

 言葉の変更はいつの時代にも他国の侵略による事が多いのですか、この時代こそは

まさに激動の時代であったのです。多くの場合言葉の変更は一部の身分や地域に

とどまるのですが、アレキサンダー大王の遠征に伴う侵略はそのギリシャ語教育政策の

為に永続する広範囲な変化となったのです。

  地中海のすべての国を取り上げる事は大変複雑ですので聖書の舞台となった

イスラエルと言う小さな国を取り上げてみましょう。

 旧約聖書のほとんどの部分はイスラエル民族の言葉、ヘブル語で記されています。

しかし、この430年の間にすっかり混乱し新約聖書の時代にはイスラエルの地方では

アラム語が話されるようになり、しかもその地方を含む地中海世界全体の共通語として

ギリシャ 語が一般化されたのです。

       それゆえ新約聖書はギリシヤ語で記される事となったのです。

その経緯も簡単です。戦争が起こり、地中海世界を支配した国が変転したからです。

旧約聖書の時代はイスラエル独立国家でした。それが新バビロニヤ帝国のネブガデネザル

大王によって消滅し、エジプトや周辺諸国に翻弄されました。紀元前536年頃の

メドペルシャ帝国によるバビロン帝国の滅亡を経、さらに 紀元前330年頃に

アレキサンダー大王によってギリシヤ属国に変更され、さらに紀元前26年頃には

ローマ帝国の属領になる経験をしたのです。それは単にイスラエルと言う小国のみ

ならず地中海世界全体に言える変化でした。

  ここではこれ以上詳しく記す事を控えますがその様な背景の中で、ギリシや語で

人々に聖書を紹介する必要が発生し、紀元前200年ころに旧約聖書が最初に翻訳

されたのです。

    その聖書が七十人の翻訳者でなされた事から一般にギリシヤ語訳旧約聖書の事を

70人訳(ローマ数字で70を意味するLXXと言う略号がよく用いられる。)と言います。

  ここでは余り日本に紹介されていない70人訳を中心にしました。現在、教会で

旧約聖書の出エジプト記からのお話が日曜日の礼拝毎に説教されています。それに

伴って翻訳が進行中です。ここに逐次掲載いたしますのでご覧ください。

  なお、当時の人々は一般に文字を理解せず話したり、聞いたりする程度の語学力

であったため、文書化されるに当たって、文語にはなされず。朗読されたものを文盲の

人々が頭で情景に変換して聖書を理解したと思われます。

  そのことを考え、あえて翻訳は日本語の文法等はいっさい無視して、原文の順番ど

おりにしました。それをそのままに直訳をここに掲載いたします。

   文字で見て理解しようとすると非常に陳腐ですが、読まれたものを

情景で認識すると非常に視覚的に簡単に認識できるようになっています。

その事を覚えた上でご覧ください。

なお、翻訳に用いました定本とレキシコンは下記の通りです。

Rahlfs,Alfred.,ed.   Septuaginta,Stuttgart,Wurttemhergische Bibelanstalt 1935

Lexicon: Liddell & Scott new ed. Oxford 1940

1998年 6月 14日  初版。

          6月  23日     第二版