2000年1月27日(木)

< 雨あがる >

映画は、観て楽しいアメリカのが好きで、滅多に邦画は観ない。
ただし、若い頃加山雄三の
「若大将シリーズ」、熟年になってからは、「トラさんシリ−ズ」、それに伊丹十三監督の一連は、みんな観た。

若大将は、いつも明るくて健康的なのが文句なく好きだったし、トラさんは、はじめおつき合いでイヤイヤ行ってたのが、いつの間にか新作ができると行かずにはおれなくなるほど魅かれるものがあった。

何気ないあの下町のようす。そしてチャランポランな生き方をしながらも、人情深いトラさん。。

甥っこに「人間は何のために生きてるんだ?」と聞かれ「おいちゃんはなー、思うんだけどさ、人生なんて大抵苦しいことばっかしなんだよ。デモよ−、時々ちょっとうれしいことがあると、「アー、生きてて良かったな−」、と思うだろ。その為にみんな生きているんだよ。」
そんなセリフもあったっけ。。。

ところで、今日はひさしぶりの邦画、「雨あがる」を観た。
これはあの黒澤明監督が脚本を書き、映画化を予定しながら倒れたため、宙に浮いていたものだ。彼の助監督だった小泉氏が 監督し、黒澤作品を懐かしむ優秀なスタッフや俳優が集まって完成させた「黒澤明追悼映画」と言える。

優れた剣の腕を持ちながら、あまりに善良なために浪人を続けている男(寺尾聡)と、そんな夫をつつましく支える妻(宮崎美子)、という夫婦の物語。

山本周五郎の原作が持つ味わいをそっくり残し「見終わって晴れ晴れした気持ちになること」と云う覚え書きを残した黒澤監督の意図は引き継がれていたと思う。