パンフラワ−作品

2000年1月31日(土)

< 杪ちゃん >

杪(こずえ)ちゃんは、いつも元気だ。
良く働き、良く働く。
あんまり働き過ぎてすぐ遊ぶことを忘れるから、時々コンサ−トや、映画や食事等に誘う。

声をかけるといつも「ア−ッ、忙しいて忙しいて、叉遊ぶのん忘れてた、ウン!行く、行く!」といって出掛けてくる。良く働く分、良く食べるから食事の相手には丁度良い。

もう30年以上、フラワ−ショップを経営しているが、商売上手で不況知らず。
「よそは色々大変らしいけど、うちはなんでこんな忙しいんやろー」
「そら、ええもん安う売ってるからやんか。」
「そやな、どう考えてもうちは安過ぎるわな、薄利多売や。そやけどやっぱりお客さんに喜んでもろたらうれしいしなー。一回来たお客さんは必ず続けて来はるし、叉新しいお客さん連れて来てくれはる。」
「ええやんか、それで・・・さあ、今日は充電充電!」

30年も前に、まだ日本ではあまり普及していなかった「フラワーデザイン」を共に学び、私はそれを教える立場の仕事に、杪ちゃんは、それを売る方の仕事に活かした訳だ。

私の方は、夫の転勤に伴って、海外を含め転々としたために、その生徒さん達は世界各地で活躍しているけれど、杪ちゃんは、同じ場所でズ〜〜〜と、ドンドン店を拡張している。5〜6人のパ−トおばさんを使いながら、毎日店頭に立ってお花をデザインしている。
お洒落で、可愛いから、誰が見ても、15才程若く見える。20代から仕事に必死で、「子供は30過ぎてから」と言ってた通り、33才で翼ちゃんを生み、育児は母上に任せせっきりでやってきた。その翼ちゃんも、もう大学生。母上は92才。

この母上が叉偉い! 店に出る杪ちゃんに替わって、今も家事一切をこなし、そのうえ、毎日、アートフラワーの製作に余念がない。布を切り、染め、コテを当て、手で絞り、組み立てる。この私でさえ、はさみを持ち過ぎて親指の関節炎になり、痛くてもうお花を作る気力はない。わが母といえば、10才も若いのにそんな仕事どころか、趣味さえ、家事の手伝いさえ、「もーしとない」といって、おっくうがる。歳とればそんなもんだろうと思っていたが、大間違い。
歳とればとる程、その活動半径に差が出てくるようだ。

性格の問題だろうが、杪ちゃんも、私もいつもアクセク働いている方がショウに合っている。「お互いに、風邪ひいてるヒマもないね。。」と言い合いながら苦笑する。