東条湖カントリークラブ

2000年10月20日

< 定年後 >

悦子のご主人が、ついに定年を迎えられた。
もう昨年あたりから、二人でどんなにその日を楽しみにして、「後何日・・」と指折り数えていたことか・・・

楽しみなのは、「これから二人で一緒の時間を多く持てる」という事ではなく、「今まで以上にお互いの時間を尊重して、別々に生きていけるら・・」と言う。

ご主人は学生時代から社会人になってもずっと続けてこられた本格的登山家。キリマンジャロだの、アイガーだのと、大変なものだ。
40数年挑戦してなお、「まだ登らねばならない山がある」そうだ。

商社マンゆえ仕事は激務、今までは長い休みも取りにくかった。
しかし「定年になれば1ヶ月2ヶ月の予定を組んで山へ行ける。」
それが楽しみで定年を待ち望んでおられた。

一方悦子はピアノが好きで、ジャズバンドを組み、毎週ライブに出演している。トリオやクワルテットが多いが、ビッグバンドで地方へ行く事もある。しかし高齢の母上がおられるので、長い公演は無理だった。

しかし、例えばご主人が1ヶ月山へ出かけ、その後1ヶ月家に居て下されば、その間悦子は自由に出かけることが出来る。

山男のご主人は、自分の身の回りのことは勿論、お料理も玄人はだし。家に招かれたらいつも悦子はワインやお酒のお相手、台所ではご主人が腕を振るって下さる。

海外に単身赴任の折、しょちゅう単身赴任者たちを招待し、ご馳走をふるまっておられたことで有名だ。

そんな訳で、悦子の留守中は安心して母上のお世話も任せて出られる。そしてその間ご主人は次の登山のためのスケジュールを立てたり準備をしたり・・・

というお互いにとって理想的な生活が始まる予定。
さて半年くらい経った頃に、その実態を叉話してもらおう・・・

趣味が合えば、夫婦で共に楽しむのも良いが、趣味が違うなら無理にあわせなくともこういう生き方があっていいと思う。定年後も先は長いのだし、お互いに違う事をするのも、世界が広く見えるというものだ。