2002年4月8日

< 下部温泉 源泉館 >

以前より、本でも新聞でもラジオでも雑誌でも「武田信玄公隠し湯・下部温泉」と言う言葉を良く聞いた。知ってはいても、そう気にはならなかった。
でもその温泉が、日ごろお世話になってる
Flowerさんのふるさとのすぐ近くである事を知り、またご夫婦でゴルフ付き合いのあった清子さんのご主人が亡くなられ、まさしく下部のご出身のご主人の思い出話をいつも聞いてるうちにムクムクと「行きたい気持ち」がつのって来た。

「いいとこよ〜、食べ物もお酒もおいしいし、温泉はいっぱい有るし花の季節はそりゃもう・・・」と耳にタコのできるほど・・・・
で、遠い存在だった“下部温泉”が段々身近なものになって来て、期は熟し今回の旅行第1日目の宿は迷わず下部温泉に決めた。

せっかくだからその「信玄公隠し湯」に身を沈めたい。ガイドブックによれば「古湯坊源泉館」の地下にある岩風呂こそ、武田信玄公が川中島の戦いの折、上杉謙信からうけた肩の傷を癒した所だ。

夕刻宿に着き、いつものように食事の前にまず一風呂・・・と思っていたが、宿の人は「地下の岩風呂の方は、じっくり入っていただく温泉ですので、お食事の後お休み時間までゆっくりつかって下さい。お食事前は、2階の女性専用の方へいらして下さい。」と、おっしゃる。はて、予定の食事時間まで1時間もあるから、充分ではないの? と、怪訝に思いつつもお言葉に従った。

 

  

川魚の塩焼きや、山菜の天ぷらなど家庭的なお料理でお腹もいっぱい、しばらくくつろいだのち、イザ「岩風呂」へ。
ここは混浴、一応腰に巻く薄いタオルを貰ってはいるが、何もつけてない人も多い。勿論上がり場で体を洗うときはそのまんま・・・

な、なんと、冷たい、、岩の下から湧き出る31℃のままで、全く加熱されていないのだ。
「ホェ〜〜、ちべたい!」温泉は熱いものと思い込んでた我らにとっては、その意外な冷たさに恐れをなして、すぐ横手の熱い方のお湯に浸かった。

しかしその岩風呂の人たち、楽しくおしゃべりしながら、全く出てくる気配がない。一応体も温まった事だし、もう一度試してみよう・・
今度は、冷たい事が事前に分かっているので、心臓を驚かす事もなく、すんなりと浸かった。

周りの人、みな首までしっかり浸かって、静か−に動かず、しかし口だけは動かして楽しいおしゃべりが続いている。すぐ隣の男性、額に玉の汗が浮いている。
「あの〜こんなに冷たいのに何だか暖かそうですね。」
「そうですよ、あたしゃ、もう2時間ほど浸かってるからね。入った時には冷たく感じるけど、時間が経つにつれて、体がポカポカしてくるんですよ。」
「んまぁ〜〜そうですか、、あたしはまだ入ったばかりで、ちょっと寒気が・・・」
「そんなもん、、すぐじっくり温まってきますよ。」
「あの、どちらから?」
「東京です。車の事故でね足の靭帯が切れて痛むんで、ここへ来ましたよ。ここはもう、怪我でもヤケドでも骨折でも打撲でもでもすぐ治るからねー。医者にはぜーったいに治せませんよ、こんな痛みは・・・」
「へぇぇぇ〜〜、そんなに効くんですかー?」
「そりゃそうですよ、ここはね、1200年も昔から、よく効くことは証明されてるんですよ。」

「そうですよ、わたしは昔から体の調子が悪くなるとここへ来てゆっくり滞在しますよ。仙台から毎年来てますよ、今日は5日目。足が痛かったけど、お陰でだいぶ楽になりました。」と、少し離れた所から別の声が、、
「へー−、こうしてこの冷たいお湯に浸かっているだけで〜??」
「そうですよ、、こんなによく効く温泉はないですよ。」
「あなた初めて?」と、そのとなりのおばあさん。
「私はね、横浜から来てますよ、温泉が好きで日本中周ってるけど、ここはいい。。よく効く。。」

フ〜〜ム、、何だかおいらも効いて来た様な気がする。こないだ肋骨を怪我して以来、ズンと重い痛みのある右肩と、5〜6年前から痛む手の関節炎。この際、しっかり効果を期待しょう。それにおしゃべりしてるうちに確かに体の寒気はなくなり、ホコホコしている。ほんとに不思議だ。

それでは、じっくりと・・・と思って時計を見ると、あらあら、もう10時前。10時にはお湯を全て落として、浴槽をきれいに洗い、翌朝までに自然にお湯がいっぱいになるそうだ。

尚、全国の「飲み湯番付」によれば、ここ下部の天然鉱泉水が、東の横綱とか。
帰りには、このミネラルウォーター『信玄』を頂いた。

〔 東 〕  横綱  山梨  下部     〔 西 〕 横綱  大分 湯平
       大関  長野  鹿教湯         大関  鳥取 三朝
       関脇  長野  上諏訪         関脇  兵庫 有馬
       小結  群馬  伊香保         小結  山口 俵山
       前頭  長野  浅間           前頭  石川 山代

 

湯治及び長期滞在の客には、それ様に別館もある。
よしこ姉と、おせつは、窓からの景色が良くないとか、お部屋がもひとつ・・とかブツブツ
言ってたが、岩風呂でお話した東京のおじさんは言ってた。「ここはそんなこたあ
どうでもいいのです。これだけゆったり浸かれるいい湯は他にありませんよ〜」

古湯坊 源泉館
山梨県西八代郡下部町下部45
電話:0556−36−0101
http://www.koyu-gensenkan.co.jp