マキの香港

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マキが生まれて始めて覚えた言葉は「チェチェ」「ムイムイ」「ハンハン」みーんな広東語。
だってママより阿媽(メイド)のイェンさんの方が一緒にいる時間が多かったし、色々教えてくれ
るんだもの。「チェチェ」はお姉ちゃんのこと、「ムイムイ」は妹のこと、そして「ハンハン」は
歩くこと。みな赤ちゃん言葉で本当は姉(チェ)、妹(ムイ)、行く(ハン)でよいのだけど。

家の裏手に小さな公園がある。マキはベビーカーに乗せて貰って毎日その公園にお散歩に行く。
急な坂道だけど両側に大きな木が繁っているから、その木陰をゆっくり上がって行く。チェチェも
一緒にベビーカーを押してくれる。長ーい坂道を越えると急に見晴らしがよくなってホっとする。
きれいな海を眺めながら木陰のベンチに座って一休み。
ここにはテニスコートが4面あって、マキが生まれる前はママもここでコーチについてテニスをし
ていたそうだ。つわりが始まって食欲が減退してもテニスをやめないものだから「イェンさんが
太々(タイタイ=奥さん)、ムタカー(だめよ!)」と言ってラケットを隠してしまった。」とよ
く恨めしそうに語ってくれる。それにしても当時テニスのレッスン料が、ママの場合他の人より
2倍も高いのでどうしてなのか尋ねたところ「Because you are Japanese !  自分の親や親戚の者達は、
昔日本軍の侵略の折りにひどい目にあったり殺されたりしたからだ。」と言われてひどくショック
を受けていた。
日本人観光客のあふれるこの香港でそういう反日感情をもった人もいることをおもい知らされて…

満峯台の広ーいテラスもいつも定番散歩コース。そこにはマキと同じようにベビーカーに乗ってお
散歩の仲間が沢山来ている。ここのフラットには英国ネイビーの家族が多く、お散歩仲間も殆どイ
ギリス人の母子で、一緒におしゃべりしたり日光浴をしたりする。
マキがびっくりしたことには、
その赤ちゃん達は皆スゴーク頭がとがっている、というか顔が細くて頭の奥行きが長い。何かマキ
なんか<頭ペッタンコ>という感じ。特にマキはいつもお行儀よく上を向いて寝ていたのでただで
さえペタンコ頭なのに、<うつぶせ寝>で育った赤ちゃんの中にいるともう縦と横が逆転している。
それにお鼻も高くてツンとして中高の顔に比べて、マキの場合殆ど平面的! マキ達はそんな彫り
の深い顔の赤ちゃんをうらやましく思っていたけれど、その人達から見るとマキやチェチェのペタ
ンコ顔が無邪気にあどけなく見えたらしくいつも「キュート、キュート!」とみんなの人気者だった。