Tennis
 


                         我らが ドニーチョ!
 

高校生になって、テニス部に入った。
軟式と硬式の違いも分からず、友達に誘われて軟式庭球部に入った。

部員数十名に、コートは軟式、硬式各一面ずつ。
一年生は、コート整備、ボール拾い、それと体操のみ。

ウサギ跳びはきつかった。
ちょうど校門からグラウンドまで、かなり急な上り坂のスロープになっている。
そこを、腕を後ろに回してピョンピョンうさぎ跳び! 昇って降りて、また昇って降りて…
それが済んだら、輪になって、両手を肩の高さに挙げて、結んで開いて… これ叉何百回と繰り返す。

2年生になってやっと、先輩がボール出しをしてくれて、ストロークとボレーの練習。
とはいえ、沢山の部員ゆえ、ほんの数回しか順番は回ってこない。

3年生になって、大抵は受験勉強であまり部活に現れなくなる。そこで始めて、コートの空きを待って
ゲームらしいものも出来るようになった。

マッ、そんな程度だから、テニス部出身と言っても、大したことはない。但し、体力作りは出来たみた
いだ。
その後、結婚、育児、そして香港に住むことになった。
香港での家の横の公園にはテニスコートが3面。
頼めばコーチもついてくれる。それでレッスンを受けることにしたが、ほんの数カ月で妊娠を知り、
メイドにラケットを隠されてしばらく休止。

その後毎週末は、カントリークラブの快適なコートで、メンバーさん達とゲームを楽しんだ。
そこではテニスコートだけではなく、スカッシュコートも、アスレチックジムもプールも二つあり、
広い芝生の続きには美しい海が広がっている。メンバーしか利用できないので、いつもゆったり過ごせる。

その7年後、今度はニューヨークに住む。子供達はもう学齢期。そこで再度挑戦。
住む街にはどこでも必ずパブリックのテニスコートがあり、1年に10ドル程払って会員になれば、
家族誰でも1年中毎日使ってもフリー。しかも予約する必要もなくいつでも使える。

周りは緑の木々に囲まれ、夏でも木陰が涼しく環境抜群。
朝早く、出勤前に一汗流す人もいるし、サマータイムで9時頃まで明るいので、
仕事から帰って夕食を済ませてから現れる人もいる。

冬期には気温が零下になることが多いので、インドアテニスコートも沢山ある。
これは友人達と時間借りをして、使用する。
レッスンは普通コーチと一対一であるが、私達は大抵友人3人で組んでコーチを頼み、
4人でプレイをしながらレッスンを受けた。

その後再び香港へ転勤。今度は単身赴任してもらったが、訪香する度にカントリークラブでテニスを楽しんだ。
そして現在、気のおけないテニス仲間と毎週末プレイするのが何よりの楽しみだ。
週末だからと『ドニーチョ』と名付けたわれらが仲間、イベント好きのメンバーが企画してくれる
「春の合宿」「忘年大会」「新年会」と年々親ぼくを深めている。

それにしても、私は最初の軟式のグリップのクセが治らず、未だにウエスタングリップ。
ローボレーは苦手だ。
つくづく「何で日本には、世界に通用しない<軟式庭球>なるものがあるのか!」
と恨みたくなる。知らなかったこととはいえ、軟式から始めたハンディは大きい。
アメリカでは、5〜6歳の子供でも初めから勿論<硬式>だ。
今なお日本にだけ<軟式>が存在するのが不思議でならない。