第6章 移動マーシャルの業務


1.<競技者と観客そしてスタッフの安全第一>

2.<バイクマーシャルの方法>

◇コース左端走行

◇バイクマーシャルの基本配置:

  1. 上位選手から、複数選手を順にバイクフィニッシュまで完全フォローするバイクマーシャル体制
  2. 上位をフォローし、残りは、重点監視地区(広く、フラットな地点)を往復、スタンバイの両方で監視する。
  3. アップダウン、狭い区間は、安全監視員がいる場合は、バイクマーシャルを割愛し、ドラフティングの起きやすい区間を重点監視する。
  4. ランコースは、マウンテンバイク・マーシャルに任せ、バイクコースを周回して監視密度を高める。
   以上の方法を、コース状況、交通規制内容により事前に取決め、効率よいバイクマーシャルを実現する。

◇バイクマーシャルの基本ポジション:

  1. 選手の斜め後方。前方選手の転倒の場合に備え、走行ラインを外して走行。ただし、斜め後方に位置していても、これをキープしながら監視を続けると選手のペースメーカーをなる可能性がある。前後する、あるいは間隔を開けるなどして接近した一定間隔での走行を避ける。

  2. 追い抜きの場合は、選手の右側2. 5メートルの確保が基本。狭い地点、カープ地点、急坂などでは追越しを行わない。

  3. 注意・警告を与える場合の併走も、選手の右側2. 5メートルの確保が基本。この場合、速やかに警告を与え、前方に抜ける。あるいは、状況により後方に下がる。

  4. 警告は、審判員のホイッスルで行うと同時に、自動2輪車の警笛を連続して鳴らす(鳴らし方は、JTUルール参照)ことを奨励する。集団走行、併走などは一般交通ルールにも違反しており、これに警笛をならすことをちゅうちょする必要はない。これにより、ドラフティング状況を未然に防止する効果が高まる。

  5. 警告(イエローカード)は、「ピピッ、ピピッ、ピピッ、..」
    注意シグナルを発しても、状況が改善されないときは、警告音を発する。
    さらに、イエローカードを、選手が目視できる位置に提示する。
    これによっても、改善の兆しがない場合は、レースナンバーをコールする。

    これでも改善の様子が伺えないときは、「○○番、ストップ」とコールする。
    これにより、ストップアンドゴー・ルールが成立するが、バイク競技以外でも、例えば、レースナンバーが乱れている競技者に、警告の手順により、競技を停止させ、ナンバーを整えさせることはマーシャルの権限の一つである。

  6. 失格(レッドカード)は、「ピーー、ピーー、ピーー、..」である。
    警告の手順をすべて実施しても、競技者がこれを無視して競技を続行しようとした場合は、警告音そしてレッドカードにより、「失格を宣言」する。
    失格を宣言された場合、コースアウトにするべきとの見解があるが、現状では、トライアスロンの特性を考慮し、あきらかな危険行為、ユニフォーム不着用など、「特別重大な違反、あるいは、ルール順守状態に復帰できない状態」を除き、競技の続行を許可する。
    裁定は、審判長が競技終了後に行う。

  7. ITU規則では、警告音に特定の間隔を規定していない。長単音で区別する方法は、JTU独自のものである。
  8. 競技コース内に出すぎているなど、観客に注意を与える場合も、「単音の連続」は最も穏やかな注意音であり、適切と考えられる。
    ただし、観客あるいは競技者以外への注意が、競技者に対するものと混同されないよう気をつけなければいけない。

  9.  ストップアンドゴー・ルールを適用する場合は、上記方法で「警告を発し、競技者の後方から、選手の停止を見計らい、選手の前方(状況によっては後方)に停止して」行う。周囲の安全確認が第一である。

  10.  複数のドラフティング状況の場合の基本的なマーシャルの方法
     後続から追い上げる状態では、順次、警告を鳴らしながら選手を引き離す。そして、先頭から2番目の競技者の地点まで行き、接近しすぎていればホイッスルそして警笛を鳴らし注意・警告を与える。
     その後、じょじょに後退しながら監視し、後続グループに再度注意を与える。これにより、かなり集団はバラケル傾向にある。
     いずれにしても、バイクのクラクションそしてホイッスルなどをフルに活用し、集団に「ルール違反状況を知らせる」ことが必要である。
     なお、このような場合であってもバイクマーシャルは、命令口調ではなく、冷静に「間隔を開けてください」と表現するのが適切である。

  11.  経験を積んだ選手になると、10メートルのドラフトゾーンと規定内の30秒間を巧みに利用しようとする傾向がある。
     2名の選手が、30秒以内に先頭に出ては、また下がる。これを交互に行いながらアドバンテージを稼ごうとするものだ。
     ルール上では、ルールの範囲内と思われるが、これはドラフティング禁止の大会では、「意図的な第三者からの助力」「フェアプレーの精神欠如」「チームプレイ」のいずれかに見なされ、両選手とも罰則の対象となる。
     このような状況では、注意を与えながらもかなりの時間、監視を続ける必要がある。一度離れても、マーシャルがいなくなった頃を見計らって再開する可能性があると考えられる。

  12.  ドラフティングについては、ドラフティングゾーンを守っていればよいものではない。
     ゾーン内で追い抜くために進んでいるように見えなければいけない。前方選手の背後に止まって見えるときは、注意・警告を出す。

  13.  バイクコース環境によりストップアンドゴー・ルール(SGルール)を適用しない場合は、タイムペナルティ(TPルール)を与える。
     タイムペナルティの時間は、JTUルールブックに準じ事前に適用の有無を選手に伝える。

    <SGルールの解釈>

     「ストップアンドゴー・ルールは、集団化しそうな状態を未然に防止するためにも適用する」。
     そのため、タイムペナルティが別途規定されたとしても、SGルールは警告の有効手段として、マーシャルの裁量で適用できる。(従来ルールは、いずれかを選択する方法)

  14.  「周回遅れコースアウト」のルールが適用されるときは、基本として、先頭選手に平均100mに接近されたら、警告を出し、競技を停止させコースアウトとする。
     実施方法の基本は、先導のマーシャルバイクと最終マーシャルバイクが無線連絡を取り合いながら行う。
     最終的な実施方法は、コース状況・管轄団体の決定に従う。

  15.  コース周辺の危険状況に常に気を配り、速やかな対応を行う。

  16.  事前リハーサル・チェックの重要性

  17.  ウェア・備品・用具類の整備

3.<バイク・マーシャルの効率良い方法>

4.<先導バイク(白バイ)の方法>(所轄警察担当者に必ず伝える)

5.<テレビ・プレス報道用バイクの方法>(報道責任者に必ず伝える)

6.<報道用・一般車両の方法>(報道責任者に必ず伝える)

  1. テレビ報道には、モーターバイク(自動二輪車)使用を基本とする。
  2. 生中継あるいは準生中継のための中継車は、競技者へ最接近してのクローズアップ撮影を行わない。
  3. クローズアップ撮影には、モーターバイクを使用する。
  4. モーターバイクは、斜め後方あるいは前方35メートル以上前方からの撮影を基本とし、競技者の走行ラインを外すなど、注意義務を励行する。
  5. モーターバイクには、競技時間10分に対し1分を基本とした「クローズアップ:接近撮影」を許可する。ただし、競技者の前方から撮影する場合、20メートル以内には侵入しない。基本として広い直線コースで近接撮影をすることを基本とする。
  6. 併走撮影の場合、風向きを考慮し、競技者にアドバンテージを与えないよう配慮する。併走する場合は、バイクマーシャルが注意・警告を与える時と同様に、競技者の右側2. 5メートルをキープする。
  7. 中継車両は、バイク競技者の35メートル以内には入らない。
  8. 中継車両には、基本としてマーシャルが同乗し指示を与える。
  9. 救護車、コース管理車などの一般4輪車両は、競技者から完全に離れて走行する。
  10. その他、交通ルールに順守する。

7.<ヘリコプター取材の方法>(報道責任者に必ず伝える)

8.<スイム取材の方法>(報道責任者に必ず伝える)



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