JTU競技規則<改定案と補足説明と事例集>
第1章 総則 第3条(制定の目的)
第3条(制定の目的)
- JTU競技規則の制定目的は、競技者が公正で安全に競技を行い、大会主催者との調和を守りスポーツの繁栄を促進することである。
(以下、削除)JTU競技規則の制定目的は、公正で安全に競技を行うことである。この目的のために、競技者が本規則を守り、スポーツマン精神にのっとり競技を行うことを要請する。
- 本規則制定における基本精神は次のとおりである。
- 公平でフェアなスポーツマン精神をつちかう。
- 競技者の責任により安全と健康を守る。(削除:安全に競技を遂行する)
- 日頃の鍛練を奨励し、技能向上と体力増進をめざす。
- ルール違反や不正に対しては、教育的指導そしてペナルティーを与える。
- 競技者の主体性を尊重し、率先して競技を行うことを奨励する。
(削除:個人競技であることを認識し)競技者個人の主体性により、競技を行うことを確認する。
- スポーツ活動をとおし、社会人としての健全な精神の育成をめざす。
補足説明
- スイム、バイク、ランなど広域にしかも不安定な要因を抱えながら開催されるトライアスロンでは、すべての参加選手を完全に管理することは不可能である。そのため、選手個々の自覚を促し、《参加者個人の責任と自己管理》により競技を行ってもらわないと大会は成立しない。切実な現状である。
- 選手同士のドラフティングなどは、端的な例である。禁止大会の場合、「完全に管理」するには、理論的には、選手2名に対し1名のバイクマーシャルが必要かもしれない。500名の大会では、250名のバイクマーシャルである。
- JTU運営規則では、国際大会で20名に1名以上のバイクマーシャルを置くことを規定しているが、競技者500名に対し25名のバイクマーシャル体制を完備することも容易ではない。国内選手権レベルでは20名に対し1名以上である。
- 一般大会では、100名の競技者に対し1名以上のバイクマーシャルと規定している。
- 以上のバイクマーシャル体制は、ドラフティング禁止大会の基準である。周回コースを利用したドラフティング・レース(競技者約100名)では、この数は減少する。バイク40キロ(5−7周回)コースでは、5名程度のバイクマーシャルが適当と考えられている。
- ここで、提唱されることが「選手自身がマーシャルです」という標語である。そしてこれを実現するキーワードは、ゆいいつ「スポーツ精神」である。マーシャルがいないから、ドラフティングでアドバンテージを得て勝った。あるいは成績を上げた。本当にこの精神が発揮されれば、「自分だけは、ドラフティング状態にならないように頑張る」に違いない。
状況例
- 「一生懸命に集団をかわし、後ろに下がり、ドラフティングルールを守った。そのため、随分順位を下げた。それなのに、集団がチェックされずにスイスイと抜いて行く。バイクマーシャルは何をやっているのか。正直に競技した者の努力が報われないではないか」と申し立てた。
判断例
- この状況例から推察できることは;
- バイクマーシャル数の不足/審判技術不足
- 適正出場人数の超過
- 競技者のドラフティング規則認識不足
- 上記1)は、各加盟団体かが年間をとおし競技者を育成し、技術向上に努める。
- 上記2)は、出場が少なければ少ないほどドラフティング状況は、物理的に起こりにくい。しかし、大会の盛り上がりのために、より多くの参加が望まれる。
ウェーブスタート区分の工夫、コース使用時間の延長努力など主催者に求められることは多い。これらは所轄官庁の許可が必要で、容易ではない。綿密な計画と「競技者のためにより良い大会を開きたい」という熱意が鍵となる。
- 上記3)は、所轄競技団体が、所属競技者を、年会費の支払いに見合った、「ルール面からの教育」も必要であると考えたい。JTUと各加盟団体の共同作業として取り組む、今日的な問題である。
- スポーツマンシップとは、見つからなければ良いとするものではない。「自分だけでもルールを守り、完走した」というスポーツが持つ本来の達成感を喜んでほしい。そして、選手は自分自身がマーシャルである、の合言葉のように「どうしたら、良いかを前向きにアドバイス」することを心掛けてほしい。
- この申し出を受けたマーシャルは、1時間にも及び話し合った。結論には至らなかったものの、審判員と競技者という立場が違えどともにトライアスロンにかける熱い思いは通じ合った。なお、このケースでの解決案の一つは、「安全の範囲であれば、自由に競技してもらう。ただし完走賞のみを出す」などかもしれない。
- さらに、「ストップアンドゴー・ルール全出場者に均等に適用できるマーシャル体制がないならば、“適用すると厳しくいわないで、完全には行き届かないので個々の自覚で競技してほしい”と事前に説明すべきであるとの意見もある。
- 関係各位に今後も継続的に研究願い、「全員が納得できる」方法を確立したい。

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