JTU競技規則<改定案と補足説明と事例集>
第2章 競技者規範 第6条(ドーピングルール)
第6条(ドーピングルール)
- ドーピングの禁止と検査
- JTUは、IOCメディカル・コードに準じるITUドーピング・コントロールルールに準拠し、人工的に競技力を高める禁止薬物の使用および違法手段による競技力の向上を(削除:いかなる状況においても)禁止する。
- 競技者は、指定大会あるいは競技団体の指定を受けた場合には、「ドーピングルール」の適用を受ける。
- ドーピングルールの理解と厳守
- 競技者は、これらの規定に精通し大会出場にあたっては、本規則の厳守を誓約しなければなければならない。
補足説明
- 最近(97年10月新聞発表)のJOCの無記名アンケート調査では、ドーピングを行っている国内競技者が多数存在することが分かった。最も危険が多いとされる筋肉増強剤も使用されていた。漢方薬にも禁止物質が含まれている。風邪薬や栄養飲料にも含まれているものがある。
- 万が一、観客から渡されたドリンクに違反薬物が入っていたら、検査で陽性となり「失格、出場停止」などの厳しい措置が待ち受けている。トライアスロンも人ごとではない
- 上記ルールで「..いかなる状況においても」を削除する案は、禁止薬物でもカフェインのように規制を超えない微量が、日常のコーヒーにも入っているためである。
状況例
- 96年のワールドカップカップ大会でドーピング検査が実施された。中南米の競技者に陽性反応が出た。次のITU理事会で、対象者とコーチ出席により聴問会が開かれた。
競技者の言い分は、掛かりつけの医者に勧められた市販の栄養剤を飲んだとのことである。この栄養剤には、刺激剤が入っていた。本人は、筋肉増強剤やマリファナなどが禁止されていることは知っていたが、こんなものまで対象となるとは知らなかったことを主張した。
判断例
- 競技者自身が、これを知らなければならなかった。アドバイスがいかなるものであっても本人の責任とされる。
- 競技団体あるいは所属チーム、コーチもルールを熟知しておく必要があった。また、チームドクターなど専門家との連携も必要である。
- ドーピング検査の手順が少しでも間違っていると、訴訟を起こされ負けることがある。Aサンプル、Bサンプルのこと、採尿瓶のシール手順、コーチの付添いなど、主催者側そして選手、コーチも基本方法を知らなければならない。
- 世界選手権とアジア選手権では、ドーピング検査実施は義務。ワールドカップは奨励。
- ITUドーピング規定では、最高2年の大会出場禁止が科せられる。討議の結果、半年、あるいは1年など各案が出たが、結果として悪質なものでない情状酌量の余地ありとしながらもシーズンを断念しざるをえない9カ月の出場停止処置が宣告された。なお、当裁定はITU理事会に報告され承認された。

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