JTU競技規則<改定案と補足説明と事例集>
第2章 競技者規範 第7条(競技者の健康と技術)
第7条(競技者の健康と技術)
- トライアスロン、デュアスロンおよびその関連複合競技は、心身ともに激しい競技である。大会で競技するために、競技者は各種目の十分な競技力を有し最良の健康状態を保たねばならない。
補足説明
- 本条項のルール適用上の解釈は、極めて難しい。競技者の最良の健康状態は、多分に内面的なものである。
状況例
- 大会前日に屋外のテントで宿泊した。激しい競技の前にテントという不安状況の多いなかで果して十分な睡眠が取れるのだろうか。これに対し、主催者は、ホテルあるいは旅館で宿泊してほしいことを伝えた。本人は、旅館では、この時期、寿司詰め状態でかえって眠れないことを訴えた。
判断例
- テントを張って良い場所であるかの確認。
- 競技者は、緊急時のために主催者へ所在地を連絡しておく。調子が悪ければ、自らリタイアする気構えを持つ。
- 主催者は、競技者の予算状況に応じた宿舎を十分用意したい。
- 健康相談コーナーなどでの医師の確認を要請する。
第7条(競技者の健康と技術) <全文加筆修正>
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- 所轄競技団体と大会実行委員会は、複合競技の特性を考慮し、安全と規制の範囲内で完走を容易にする制限時間を制定する。
- 種目別の制限時間を制定しない場合は、競技者の目標となる「標準競技時間」を制定する。
- 制限時間または標準競技時間は、事前に発表する。競技者は、規定された時間内に完走できる競技力を有していなければならない。
(削除)競技種目別および全体の制限時間は、所轄競技団体と大会実行委員会により設定される。制限時間は、事前に発表され、競技者のペース配分を促し安全に寄与する。
補足説明
- 制限時間は、交通規制など大会の運営状況により独自の設定が成される傾向が強い。また、近年、選手権などでは、余りに未熟な選手の参加を抑えるために、スイムの制限を厳しく設定することがある。
- しかし、ここで重要なことは、トライアスロンは、スイム、バイク、ランを競技してはじめて採点を受ける競技であることである。むやみに、厳しい制限は、一般参加意欲を削ぐことがある。「ルール適用には思いやり」が必要である。
- 「安全に寄与する」とは、あまりに厳しい制限時間を制定したために、競技者がこれに間に合うようにと無理をすることがある。厳しすぎない判断により、これを防止する効果を期待する。
状況例
- 高齢の海外一般選手が、スイムで制限時間以内にフィニッシュ出来なかった。数分の遅れである。元マラソンランナーであり、ランは得意である。しかし、マーシャルのその場での判断は、絶対にダメであった。
判断例
- 各コース上での制限時間は、所轄警察との競技の上で決定されている。そのため、マーシャルといえどもこれを無視してはいけない。
- 当ケースは、90年初頭に起こったことであり、当時の状況からすれば、数分の遅れであり、バイクコース上の制限に掛かるまで競技を続けてもらっても良かっただろう。
- 今日であれば、海外から当競技者が参加するにあたり、この制限時間をハッキリと伝えてあったかとうかが論点になる。来日してから伝えるのでは遅い。また、海外では、一般にスイムで厳しく制限されることは少ないということも認識しなけれなならない。

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