JTU競技規則<改定案と補足説明と事例集>
第3章 共通競技規則 第15条(競技者の管理)
第15条(競技者の管理)
- (リタイヤ告知義務)
- リタイヤ(制限時間超過、失格、自己申告)するときは、いずれの理由であっても大会スタッフや審判員に申し出る。同時に、大会本部に申告(本人出頭、通信手段)し、所定の手続きを行う。
- リタイア申告を競技者本人ができない場合は、そのことを申し出る。報告時間、受付者などを記録する。
- (以下、一部修正)リタイア申告がないと、大会は著しい混乱をきたす。重大なペナルティーである。そのため、所轄競技団体が、一定期間の大会出場停止措置を講じることがある。
- レースナンバーやリスト・アンクルバンドなどの計測機器は指示に従い返納する。
- リタイア宣告を受けた場合、指示に従いリタイアチェックを受ける。
補足説明
- 広域のコース上では、役員がすべてを管理することは難しい。そのため、競技者には、大会本部にも、何らかの方法で申告することが義務付けられる。
- 通り掛かりの競技者にお願いすることも、一方法であるが、本部が遠い場合などは、宿に帰ってから、あるいは途中からでも連絡を入れる必要がある。
- レースナンバーに油性ペンで×印を書き込むのも一案。返却を求めることも良いが、ルールに忠実にキッチリと縫い付けている場合は、カッターやはさみがないとウェアーを傷つけるので注意。
状況例
- バイク競技中に、メカトラブルでリタイアを決めた競技者が、近くの大会役員にそのことを報告し、疲れ切ってしまっていたのでコースを離れ宿に戻った。大会役員は、競技終了まで持ち場を離れられず、無線状況が悪く本部に連絡が取れない。そのため、バイク終了後に、本部に戻り連絡した。
判断例
- 連絡体制。確認義務。
- 本人に本部連絡も要請したほうがよかった。
第15条(競技者の管理)
- (制限時間)
- 制限時間内に指定区域を通過できなかった場合は、原則として次の競技に移れない。ただし、標準競技時間として設定された場合、交通規制上の問題などがないと判断された場合は、競技の続行が許可される場合がある。
- (98年追加修正案)制限時間内に完走できなかった場合は、公式競技記録から除外する。ただし、交通規制上の問題がなく完走した場合は、公式順位を除いた完走証を発行する場合がある。
- 以上の場合、失格とはせず「未完走」と表現し記録する。
(従来規則:削除)制限時間内に関門を通過できなかった場合、あるいは完走できなかった場合は、失格とする。
補足説明
- 「スイム+バイク+ラン=トライアスロン」であることを原点とする。スイムあるいはそれ以降での無理な制限時間の設定は避ける。また、交通規制上、止むを得ない場合は、応募の段階で明確に競技者に伝える。
- 一般には、スイム制限は「目標タイム」あるいは「標準タイム」と考えることがトライアスロンの本質からも、競技者のためにも適切である。これを厳しくしすぎると、バイク・ランを得意とする競技者の持ち味を奪ってしまう。ルールとは、“弱者を守るためのもの”でもあり、「普及のためのルール」も重要である。
- さらに、トライアスロンの「ルール上での基本理念」として、「チェックはしても、あるいは注意・警告を出しても、さらには失格宣告をしても」、道路規制の範囲であればまた競技者の健康上の問題がなければ、完走を見守るのが本質である。競技者を“やさしくいわたる”気持ちを持ちながらルールの適法を考える。
- ITUでは、このようなケースでは失格の用語は使用しない。DNF : Did Not Finish(フィニッシュしなかった)と和らげて表現する。
状況例
- スイム制限時間を数分超えたために次の競技に移ることを禁止した。スイム時間制限は、事前に明記してあった。スタート直後から、風の影響でアゲインストの小波が立ちはじめ泳ぎずらい状況が加わった。さらに、計測地点では、中間の選手で混雑しスムーズに通過しずらい状況もあった。
判断例
- スイム競技環境がいかなるものであったかの確認。
- 厳密な制止を行う場合、正確にどの地点でカットするのかを明示していたか。また、秒単位でチェックする場合、決勝審判と同レベルでの確認体制が整っていたか。
- 計測地点での、待ち時間はなかったか。
- この際どいタイムアウトを総合的に分析すると;
スイム状況の悪化は常に予想されること。計測地点での混雑も一般的であるが、「競技者への思いやりポイント」が必要な部分。分秒単位での厳しさが大会に適用されていたとしたら、「状況例」では、「50%ぐらいの思いやり」が必要ではないか。
- そのため、ここは、交通への支障も予想されないことから、まずはバイクに移ってもらい、最終判断として、総合タイム以内にフィニッシュしたとしたら、完走としてあつかってもよいだろう。
- また、どうしても、スイムの制限を厳守するのであれば、「完走を讃えながらも、着順の対象からは外し、記念品を与える」ぐらいの配慮があってもよいのではないか。
第15条(競技者の管理)
- (時間厳守)
- 大会公式日程(受付、競技説明、公式催事、車検、メカニックサービス、他)で決められた時間を守る。予期せぬ理由で遅れが予想される場合は、必ず、大会本部に連絡する。正当と判断された場合は、遅れを認める場合がある。
- 大会当日の規定時間(受付、レースナンバー/ボディナンバー記入、スタート地点集合、他)に遅れた場合は、運営への影響を考慮度合いを考慮し、出場不許可を含むペナルティーの対象とする。
- 規定時間を遅れてスタートすることは、許可しない。
補足説明
- 時間厳守は、大会の日程そしてタイムテーブルが競技者を取り巻く状況を十分に考慮しているかどうかにより判断されるものだ。
- 「決められた時間」であるからと、これをかたくなに守らせようとしてかえって悪い状況になることがある。
- 暑すぎて、水もトイレも日除けもないスタートエリアに30分も1時間も待機させることは無理がある。運営改善が求められる。
- さらに考えることは、競技者に厳守を求めながら、役員が遅れた場合はきわめて柔軟な対応を取るであろう主催者の感覚も考え直さなければ「信頼」は生まれない。
状況例
- 受付時間に遅れてきた競技者を出場停止とした。ローカルルールでも「時間厳守。遅刻は、いかなる理由も認めない」と明記してあった。
判断例
- 遅れそうになった場合、電話などで連絡を入れるのは、社会人として当然のことである。
- 遅れの理由を確認する。例えば、「来る途中の事故に遭遇し、人命救助にあたっていた」ものを有無を言わさず失格にすることは適切とはいえない。もし、このような人道的な理由があるにもかかわらず厳しい対応をしたら、スポーツが本来持つ「健康的で明るいイメージ」は、消え去っていくのではないか。
- スタート時間に遅れた場合は、安全管理からもこれを認めないのは当然であろう。

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