JTU競技規則<改定案と補足説明と事例集>
第4章 水泳(スイム)競技規則 第17条(競技コース)
第17条(競技コース)
- (コース区分)
- ブイ、コースロープなどの目標によって設定されたコースに沿って競技する。
- 規定距離は、基本コースの最短距離とする。
補足説明
- コースロープやフロートを設置した最短距離が正式距離であり、必然的に内側に競技者が集中する。これを避けるために、コース適正人数を想定したウェーブスタートが実施される。
- スタート地点は、第1コーナーへの距離が二等辺三角形の頂点として計算し、アウトコースが不利にならないよう前に出すなどのコース設定が必要である。
- これにより、競技者が均等にスタートラインに付く心境になる。
状況例
- 正規のコースが一杯であり、何人もコースの外側に出ていたので、危険を感じたこともあり第1コーナーまでの200mほどをコースブイの外側を泳いだ。注意を受けたような気がしたがスイム中であり良く分からない、距離は変わらないし、安全のための最善の策であった。
判断例
- 運営面から見れば、コースが明確に設置されていたためにコースの内外が判定できたもので、コース設定には優秀との評価が与えられえる。
- 「注意を無視した」ことがルールに違反として問われる。
- ここで状況を加味して違反度合いを計算すると次のようになるだろう。
「違法コース競泳度合(30%)+指示無視の違反(100%)+違反によるアドバンテージ獲得度(30%)=160%」、これが競技者の違反行為に対する罰則の度合いである。
- 一方、違反が起こった状況を多角的に判断すると次のようになるだろう。
「違法コースとなった設営不備度合(10%)+指示の効果度合い(30%)+主催者の適正参加人数違反度(30%)+状況分析による情状酌量の度合(30%)=100%。これが、免責度合いである。
- 従って、160−100=60%が、競技者が追うべき違反責任と考えられる。当然、これらの判定度合いは、実際の状況そして現場にいたマーシャルそして審判長の主観と大会のレベルによって変わってくるだろう。しかし、これらのことを数値化して判断基準の材料とすることは今後大いに研究する余地があるのではないか。
- これらの差引きが100前後であれば、「限りなく失格に近い、あるいは失格を宣告をしても十分に説得力のある裁定」となりえるものだ。ここでは、60%であり、注意+教育的指導であろう。もちろん、スイム以降、バイクやランでチェックされることがあれば総合的なルール違反の責任度合いは高まり、明確にそして自信をもって失格を宣告できるに違いない。
第17条(競技コース)
- (スタート/フィニッシュ)
- 水泳競技のスタートは、競技コースへの至近距離の水辺、あるいは水面に明示されたスタートラインから始まる。フィニッシュは、規定距離を競泳した直後に明示されたフィニッシュラインまでとする。
- (追加案)競技距離は、スタートからフィニッシュまでとする。計測は、基本としてこの地点とするが、周辺状況により異なる場合がある。
補足説明
- スタートの運営は、最も難しい。規定しにくい。そのため、そこに応じた最適なスタート方法が講じられなければならない。
- 水面と段差のある埠頭などからのスタートでは、スロープなど特殊構造物の善し悪しによりスタートの良否が決まる。狭すぎて貧弱なスロープであれば混乱を招くことが多い
- 迫力はあっても危険を伴う「ランニングスタート」は避けるべきである。
状況例
- 広い白浜が続く美しい海岸そして穏やかな海、遠浅。ここでスイムはいかにも気持ち良い。テレビ局は、スタートの迫力を期待してカメラをセットする。50メートル程のランニングスタートで実施された。一般大会とはいえ、トップを狙う競技者は、一目散に海に走る、そしてエンジョイ派はゆったりと後ろから付いてゆく。まさにトライアスリートと自然の触れ合いが感じられる迫力とアットホーム感覚あふれるスタートとなった
判断例
- このような状態であれば結果としては問題なく演出的にも良いものとなったであろう。しかし、走って、息を切らして水に飛び込む状況は決して安全とはいえない。
- 危険度合いを最小限にするためには、50メートルを10メートルに、さらには5メートルに縮める必要があったろう。理想は、膝あるいは股下まで水に入ってのスタートが安全度が高いことはいうまでもない。
- スイムスタートでの「バトル」で表現される時代は古き良き時代の思い出としたい。

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