JTU競技規則<改定案と補足説明と事例集>
第5章 トランジションエリア規則 第23条(注意事項)
第23条(注意事項)
- (持ち込み禁止品目)
- 使用禁止用具、直接必要でない物(不必要な物)の持ち込みを禁止する。直接必要でない物とは「着替え、バッグ類、貴重品」などである。
- 天候などの特殊事情により、これらの対策品目の持ち込みを許可する場合がある。対象物は、クーラーボックスや耐寒ウェア類などであるが、いずれも必要最小サイズであること。また、事前に許可を受けること。
補足説明
- トランジションエリアが一般に限定エリアであり、競技の邪魔にならない当然のルールである。現実は、色々なものが持ち込まれるている。ここで「直接必要ない」と修正が必要となってくるだろう。
- また、暑い所では、「クーラーボックス」など限定サイズであれば許可する方が良い場合がある。
- 競技者の健康のため、柔軟な対応が必要な場合があることを認識したい。
- 貴重品の持ち込みは、盗難が発生したとき、一般の立ち入り禁止ゆえに、競技者間での疑心につながる。
状況例
- バイク競技に移ろうとした競技者のサングラスが紛失した。なお、エリアは、厳重にフェンスが設定され出入りもきっちりと管理されていた。
判断例
- 間違っての使用や、競技者同士での盗難を予想させる嫌なケースである。個々の使用エリアを明確にし、スタッフ配置を強化し対応することになるだろう。
- 誓約書では、「個人の責任」を誓約している。しかし、競技者からすればいかんせんともしがたい。
第23条(注意事項)
- (更衣の限定)
種目変更のための着替えは、競技者に指定されたトランジションスペース内または指定の更衣テントで行う。みだりに裸になってはいけない。
補足説明
- 国内外でも80年代前半では、スイムパンツからバイクパンツに着替えてバイクに乗る競技者が多かった。現在でもロングディスタンスでは、多く見かける。
- 更衣テントの均等な増設や、簡易の更衣ボックスなどの設置も望まれる。
- タオルで隠すなども避けてほしいが、現状では、許容範囲として容認される。将来的には運営を改善し、禁止としたい。
状況例
- タオルで隠していたが、焦っていたためにポロリと落ちて丸見えとなってしまった。
判断例
- 大会を「優れて美しく、すなわち優美に行う」という運営そして審判の定義があるが、競技者にもあてはまることである。
- 競技者の自覚第一である。一方で、更衣テントの配置があまりに不平等である場合、競技者は、24時間前にこれに抗議することが許されていることを有効に利用すべきである。大会は、「主催者と審判員そして競技者」が、前向きにお互いの状況を理解しあって、行うものである。
- なお、本件は、一般的に注意であるが、余りに大胆な場合は、警告もありえるだろう。
第23条(注意事項)
- (出入の制限) <96年追加済>
競技者および特別に許可を受けた者以外のトランジションエリアへの出入を禁止する。競技者は、競技中はもとよりその直後においても大会規定により出入を制限される。
補足説明
- 80年代の前半は、一般観客やプレスが自由にトランジションエリアに出入りしていた。最新のバイク用具に触れて「トライアスロンってすごいな」「高いんでしょう」と和気あいあいの雰囲気が楽しかった。
- しかし、競技レベルが高まり、プロレベルの競技者が出現すると、ミリ単位に調整したバイクやきっちりとセットしたシューズやタオルに触れられることは競技の行方を左右しかねない問題となった。
- エリアを囲う必要から当初は、コーンとコーンバーで仕切っていたが、朝のごったがえしたなかでは何の制止にもならなかった。そこで、ハードフェンスの必要性が生まれた。さらに、出入りできるスタッフの限定も必要となった。テレビ、プレスも特別に許可された以外は、同様である。
- 選手権と一般部門が同居する場合も、エリアを完全に仕切ることが求められる。トップ競技者の用具が見たい一般競技者がこれに触れれば後味の悪い問題にもつながる。
- 競技者の出入りも、レースナンバーを確認しチェックしなければならない。
- 競技者には、トランジションエリアの出入り制限や、出入り制限時間、大会警備責任時間を明確に伝える必要がある。それでも、バイクなどが残っていた場合は放置せず、一カ所で管理するべきである。
状況例
- 選手権部門と一般部門のトランジションエリアが同一であった。周辺はハードフェンスで囲われ、出入口はダブルチェックが施されていた。それでも、エリート競技者の最新デザインのサングラスが紛失した。
判断例
- このようなケースは稀に起こりえる。外部からは人が入ってこない。すると、競技者どうしでの問題となるかもしれない。
- 競技形態の違うエリートとエージグループ競技者は同一のトランジションエリアであってもしっかりとした区分は必要である。エリートどうしでも、紛失の危険はあるが、管理する密度は高まる。
- これらはエージグループ内でも起こりえる。保険を掛ける。スタッフを早めに配置する、などが必要になってくる。

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