JTU競技規則<改定案と補足説明と事例集>
第6章 自転車(バイク)競技規則 第25条(競技コース)
第25条(競技コース)
- (コース区分) <表現修正>
- 規定コースは、大会表示看板、セイフティコーン、フェンスなどにより明示される。
- 交通規則にもとづく競技者の主体的な安全認識により、大会スタッフや警察官の指示を確認し、競技を行う。
(削除:使用が許可された道路に沿って設定された)
補足説明
- 一般公道では、「完全規制」が敷かれていても、交通規則の適用外とはならない。公園などの施設内道路であっても「一般交通規則と施設での規定」が適用される。
- 審判員は、これらを良く理解する。そして、交通看板などとローカルルールとの相違を確認しておかなければならない。
- 公道上の「減速表示」がある地点は、交通規制があっても周辺が危険であることを示している。その他の交通注意標識にも配慮しなければならない。
状況例
- 中央分離帯のセンター鋲に乗り上げ、スリップし転倒した。これにより骨折。「主催者が、センター鋲の存在を説明しなかったから、転倒した」と責任を追求してきた。
判断例
- コース概況を、交通規制などを踏まえ選手に的確に明示する必要がある。現実に、40キロや100キロ以上のコースを大会直前に試走することは難しい。
- 対応策は、コース概況をできるだけ詳細に、ビジュアル化、ビデオなどにより伝える努力が必要。
- なお、コース真ん中に陥没があり、何の対処もなくバイクを破損したというケースがある。これは、競技者の前方不注意がある一方、主催者のコース補修の“管理努力”が求められる。
- 主催者のコース説明義務があるとともに、競技者が自らコースを知る義務がある。双方の義務が両立しなければより高い安全は実現出来ない。
- また、競技者は、一般公道を使用するため「予期せぬことが起こりえることを前提に大会に参加」しており、最終責任は、競技者が負うことが基本である。
第25条(競技コース)
- (スタートとフィニッシュ) <改定>
- バイク競技は、乗車ラインから始まり、降車ラインまでとする。この区間をバイク競技距離とする。
- バイク競技タイムは、(ITU規則に従い)、スイム/バイクとバイク/ランの2箇所のトランジションタイムを含む。
(従来規則:削除)自転車競技のスタートはスイム競技フィニッシュ計測地点とし、フィニッシュはラン競技スタート地点とする。従って、スイム/バイク/ランの両方のトランジションタイムは、バイク競技に含まれる。
補足説明
- 計測システムが進んだ米国そして一部国内大会では、トランジションタイムを別途計測していた。ITUは、計測システムが十分でない国をも考慮して国際ルールを作成した
- その結果、チェックの難しいバイクスタートとフィニッシュを割愛、スイムフィニッシュ、ランスタートそしてランフィニッシュの3カ所での計測制度を導入するに至った。
- バイク競技距離の計測は、乗車ラインから降車ラインとする。さらに、トランジションエリア内は乗車禁止であり、種目変更区間をバイク距離には加えない。
状況例
- 従来トランジションタイムを計測していた大会が、ITU指針によりこれを簡略化した。競技者は、このタイムが敏速なトランジションを促し、バイクの実走タイムを判断できてよかった。改悪であることを主張した。
判断例
- ITUルールは、補則説明にも明記したように「出来ない国」を考慮する。また、トランジションタイムを計測することによりスピーディな運営に支障が来していた事実もある。将来的に、先進のコンピューター計測機器が完備すれば復活するかもしれない。スポーツのルールとはすべからく、近代科学技術と密接に関連している。
- この主張に対しては、グローバルな視野での説明と将来展望を懇切丁寧に競技者に説明し理解を求めなければならない。
第25条(競技コース)
- (コース把握と進路確保)
- 競技者はコースと競技環境を事前に把握する。
- コース試走においては、各所轄機関の規則に従う。
- 競技中は、自らがコースを確認しながら競技を行う。コースアウトは、競技者の責任に委ねられる。
補足説明
- 当ルールは、主催者にばかり都合が良いルールに見えるが、これが適用されなければ広域に競技コースが展開されるトライアスロンは成立しない。
- また、主催者は、審判も含め、競技コースをいかに詳細に分かりやすく書面で説明するかに配慮しなければならないだろう。
- 競技者の務めは、「参加する前に大会内容を十分に納得する。そして、不備な点を理解する。これを了解して大会に参加する」。これにより、「改善しようのない不備から起こりえる不都合にも納得する」。このような図式が成り立つことが重要である。
状況例
- 世界選手権ジュニア部門で、トップ選手が、正規のコースを外れたとの抗議が他国のコーチから審判長(レフリー)に寄せられた。
判断例
- 審判長は、技術代表そして運営代表者と協議した結果、「コースを外れた確証が取れない。該当のコースを取ったとしても実走競技距離は変わらない」などの理由により、抗議を受け付けなかった。
- 主要地点での誘導員の不足が重要な改善項目として指摘され、主催者に申し伝えられた
- このような状況は、「競技者はコースを知る義務がある」厳密には失格である。しかし、コースを完全に管理しずらいトライアスロンでは、現状において、「主催者の不十分な運営管理」を、競技者のミスと相殺し、裁定することが一般的である。将来的には、規則に則った断固たる裁定が下せるような大会のコース設定そして完全な運営をめざさなければならない。
第25条(競技コース)
- (コース逆走・停滞禁止)
- 規定のコースを進行し、逆走・不当な停滞は行わない。
補足説明
- エードステーションやトイレを通過してしまってから、戻る必要があるとき、逆走となるが、反対車線に移る。
- 当規定は、ごく当然と思えるが、意味合いは重要である。競技化が進めば進むほど、チームプレイが行われるようになる。エースを勝たせるためにコース上に不当に停滞することもありえるかもしれない。
- しかし、これをマーシャルが注意しても「休息です」と言われれば、それまでだ。
- マーシャルが不信を感じたら「業務をおろそかにしない範囲」で、監視する。さらには、他のマーシャルに無線などで連絡しマークすることも必要。
状況例
- 下り坂で、インフレーター(空気入れ)を落としたので、コースと逆走するようにバイクを押して落下地点に戻った。拾い上げ、レースを再開した。
判断例
- 乗車ではないので、コースを戻っても危険はないと判断したものだろうが、交通規則では、反対側に渡ってから、戻るべきであっただろう。
- また、落下物を拾いに行ったことは当然行う義務であったとはいえ、ほめられることである。

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