JTU運営規則<改定案と補足説明>
第6章 トランジション
第22条(設営) 表現修正と運営管理を別に移動
- トランジションエリアは、競技コースの一部である。種目変更地点としてバイクおよび競技用具を設置する。
- エリア内の表面は、平坦で整備されていること。
- トランジションエリアは、フェンスなどで囲み、競技者と観客を明確に区別する。さらに、エリート部門とエイジグループ部門を完全に分離することを推奨する。
- エリア内の通路は、危険のない幅を確保する。通路幅は、総合的な有効面積、競技者数、運営方法などにより決定する。幅員2m以上を基本とし、バイクとランコースが交差しないこと。
- バイクと競技用具を置き、次の種目への用具などを変更するため、競技者固有の「トランジション・スペース(削除:トランジットスペース)」を設ける。通路と当エリアを白線などで区分し混乱を避けることも検討する。
- バイクラックの並べ方は、次のような方法を基本とし、同一条件の設定とする。
図解参照(95JTUルールブック:103ページ)
- バイク乗車禁止のトランジションエリア出口に「乗車ライン」、入口に「降車ライン」を白線で明示する。さらに、ライン両側に指示看板を設ける。
適度な広さがあれば、乗降車ゾーンとし、ゾーン内にゼブラ状の白線を引くとより効果的である。
補足説明
- トランジションエリアは、競技のスピード化にともない、簡潔で無理のない設定が必要となった。ここで混乱が起これば、《競技者の納得度合い》は減ってしまう。
- 部門別にエリア内を仕切ることも必要である。エリートと一般部門をハードフェンスで仕切る意味は重要である。さらに、ルール適用が異なる場合は、完全に別の場所にエリート用トランジションエリアを設けることも必要である。
- どの位置にもバイクを置ける方式は、スタッフの速やかな移動により実現できる。ドラフティングレースに最適となった。
事例
- エリート選手の最新式の競技用具は、一般選手の興味を引くものだ。「スイムを終えるとサングラスが無くなっていた。本人が忘れたのかもしれない」。しかし、後味の悪い結果である。トランジションエリアへの一般の立ち入り禁止、さらには、エリートとエイジグループの区分も必要とされる。
第23条(トランジションの装備)
- トランジションエリア内には次のような施設を設置する。
- バイクラック
- 構造:金属パイプでのバイクを掛ける方式。タイヤを挟む方式。タイヤを押さえる方式など大会に合わせて検討する。
- 設置スペース:バイク1台分のスペースは、一般的にハンドル幅60cmを基準に両サイドに適切な幅を設ける。
- レースナンバー明示:指定場所にレースナンバーを明示する。さらに、ラックの両端または片側に1−10のように集合番号を大きく表示する
- 設置方法:ハンドルまたはサドル部分を掛ける方法がある。サドル部分を掛ける方法が適当とされる。ただし、規定のバイクでもバイクボトルの設置により、サドル部分を掛けることがむずかしい場合がある。このようなケースでは特例を認めることがある。
- 記録計測用テント
- 更衣テント
- メディカルステーション
- 移動トイレ(水洗式を推奨)
補足説明
- トイレの数量不足は、競技者に深刻な問題を引き起こす。男女分けも必要である。扉に男女別の印を付ける配慮がほしい。女子の参加が全体の20%であっても、トイレの数は、30%ぐらいにしたい。
- トイレ設置の国際基準では、スタート区域では、競技者50名あたり1個、トランジションに最低5個、ランスタート地点に最低3個、スイムスタート地点に最低5個を設置することを規定している。
- 一般には、周辺のホテル、公共施設、公衆トイレの設置状況及び参加人数、運営方法により設定する。
事例
- 98年のロングディスタンス・トライアスロン世界選手権佐渡大会では、トランジションエリアの手前に更衣テントを設置した。これにより、とかく問題となりがちな、観客の前での更衣姿がなくなった。設置方法や更衣テントの広さなど改善点はあるが、今後の応用が期待される。
第24条(トランジションの管理と警備)
- トランジションエリアは、指定以外の場所から簡単に出入りできないよう完全な囲いを設ける。
- 競技終了後、競技用具が撤去されるまで警備体制を整える。
- 競技者は、レースナンバー、IDカードで出入りを確認する。
- 事前に承認を受け、IDカードを携帯するスタッフのみの出入りが許可される。
- トランジション担当の監視員、審判員、メディカル関係者の出入りについても事前に承認を受ける。緊急事態においてはこの限りではない。
- メディア(報道)関係者については、事前の承認により、限定エリアでの取材が許可される。
補足説明
- 最も慌ただしいトランジションエリアのコントロールは、大会の成否を左右する。競技規則でも制定される(96年改定)ように厳重な管理体制がしかれる場所である。
- バイクや貴重品の盗難なども報告されており、よい大会の印象のためにもこのエリアは細心の注意により運営されるものである。
- エリート部門とエイジグループ部門のトランジション・エリアを完全に区分することは、競技の適正の上でも重要である。特に、国際大会などでは、世界のトップ選手の用具に注目があつまり、設置位置がずれたり、破損するなどの問題が起こっている。
事例
- 途中リタイアし病院に収容された選手のバイクが、トランジションエリアで盗難にあった。主催者側は、事前にエリアの管理時間を明示していたため、その時間以降の管理がおろそかになっていた。また、選手が、収容されたことが、エリア管理者にまで伝わっていなかったことが理由である。
- 結局、主催者が、一部補償を行って双方納得した。トランジションエリアの管理は、競技の記録にも直結する。重要管理地区と心得えないといけない。

Japan Triathlon Union
Copyright(C)1998 Japan Triathlon Union (JTU) All Rights Reserved.