JTU運営規則<改定案と補足説明>

付録1.大会参加者の基本注意事項


 トライアスロンや関連する複合競技(以下、一括してトライアスロン)は、自然の環境の中で、水泳、自転車、ランニングなどを同一選手が連続して行うという変化の激しい競技スポーツであり、各種目を単独で行う時にはない様々な危険が生じる可能性があります。

 水泳(スイム)は、水温、潮流、波など変化の激しい海、川、湖等で行われるため、競技者は絶えず予期せぬ危険に直面しています。
 スタート地点での水温が適温と感じられても、一般に沖合では水温が下がったり、長時間にわたれば身体が冷え、体力の消耗、身体の機能低下を招きます。
 水泳の熟練者であっても避け切れぬ波により飲み込んだ水による胃けいれん、肺機能の異常、内耳に水が侵入し平衡感覚を失うという可能性さえあります。
 また、他競技者との接触等トライアスロンでの水泳は、自分が感じる以上に心臓をはじめ、身体への危険要因が数多く存在します。

 自転車(バイク)は、水泳の直後に行われるため、身体が冷えた状態でスタートします。そのため、普段乗り慣れた自転車も思うようにならず、関節など身体への負担が増します。
 水泳から自転車へと競技環境の急激な変化を伴うため、それまで行ってきた循環器系のサイクルも著しく変わり、血圧の急激な上昇など心臓等身体への負担が増大するといえます。

 ランニング(ラン)では、自転車によって大腿の筋肉疲労度が増大し、地面からの衝撃をやわらげて身体を支える機能が十分に働かない可能性があります。
 また、水泳、自転車の疲労から普段の練習と同じペースを守っているつもりでも思った以上の負担が掛かり、時期によっては炎天下・高温・高湿度というランニングには好ましくない条件が加わります。

 2000年のシドニー・オリンピックで採用される競技距離51.5q( スイム 1.5q、バイク40q、ラン10q )やこれよりも短い距離においても、これらの数倍の距離のトライアスロン競技に比べ、エネルギーの消費量は低い反面、平均的競技スピードが上昇し必然的に心肺機能への負担が増加することになります。

 以上のことを十分に考慮して、トライアスロン大会への参加者は、日頃の健康管理・練習を怠らず、緊急時には自ら対処出来るよう鍛練が必要です。
 また、競技中においては、ルールを順守することはもちろん、自己のペースを守り、常に体調を把握し、水分補給を十分に行い、決して無理をしないよう心掛けることが事故を未然に防ぐために必要です。

 トライアスロン大会の経験者であっても、定期的な健康診断、負荷心電図検査などが日頃の健康管理に極めて有効な手段となります。特に大会初挑戦の方や、一般的に体力の衰えが目立ってくるといわれる30歳後半から40歳以上の方は、積極的に行うことをお勧めします。
 また、健康診断の結果が良好であっても、身体はあらゆる内的外的要因により変化するものです。大会前あるいは競技中であっても、微妙な体調の変化に的確な対応がとれるよう最大の注意を払うことが重要です。

 なお、主催者が大会に掛ける傷害保険は、競技中の傷害事故(いわゆるケガ)が対象となり急性心不全(心臓麻痺)等は対象になりません。
 トライアスリートの皆様が、十分な自己管理により、トライアスロンを楽しまれるとともに、勇気あるリタイアが明日への挑戦につながることをご認識いただくようお願いいたします。



Japan Triathlon Union

Copyright(C)1998 Japan Triathlon Union (JTU) All Rights Reserved.