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環境問題講座 Last updated 2002-3/10, 2002-1/16
このページは、2002-3/10 神奈川県大和市教育委員会の林間学習センターのご依頼に 応じて講義しました資料の一部を掲載するものです。 掲載内容は、異常気象と環境問題です。 なお、講座資料はWORDで用意しましたが、HTMLに持ってくると、図形の形が崩れたり、テキスト本文も 改行などがデタラメに崩れてしまいます。お見苦しいところがありますが、ご容赦ください。 山梨県 Field'21 による「地球温暖化防止活動推進センター」 環境相互関係図 ★ Relationship among Environmental Issues (English Version) 地球温暖化対策図 ★ Global warming(English Version)
   大和市教育委員会 / 主管 大和市林間学習センター メインテーマ 「明日の天気を予想しよう」 タイトル   「地球と気象」、サブタイトル「地球温暖化とエルニーニョ」 内容 1. 地球温暖化とエルニーニョ(添付図1〜図4) ☆ 関連資料(気象予報士について、インターネット情報など)       本日の話は、先週の織田氏の「明日の天気を予想しよう」「天気図の見方」に引き続く もので、「地球と気象」をベースとして環境問題や気象災害について考えてみます。              [WORDで図形を作成しましたが、HTMLに載せると形がくずれますので、割愛しました。] 開催日 平成14年3月10日(日曜) 講師  佐藤 元 (気象予報士)   E-Mail: satoh@ny.airnet.ne.jp     1. 本日は、地球温暖化とエルニーニョの話です。 項目としては、イントロ、自然のメカニズム、異常気象、そして環境問題を話します。 1−1 環境問題と異常気象へのイントロ ● すぐには気づかないが、いつの間にか自然が破壊されてしまう問題: (カッコ内)に原因とおもわれる事項を記入してください。 ・地球温暖化   (        )→気温上昇、海水面上昇 ・オゾン層の破壊 (        )→紫外線が吸収されなくなる ・酸性雨     (        )→植物・生物の生態系の変化 ● 日常的に、人体・生命に影響する問題: ・土壌・海水・大気の汚染  (重油、NOxなどの排出による。放射能漏れ) ・異常気象         (やや長期的な自然現象) ・気象災害         (短期的かつ局地的な自然現象による) これらは、特に分類することもなく、TVや新聞などで日常的に使われている言葉です。 これらの問題に対する対処の仕方は、その人の自然観なり・価値観なり、人生観なりによって大きく変わるでしょう。  添付の図1をご覧ください。本日の話の、相互位置関係を3つの空間で考えようとするものです。 私たちは、 ・自然の驚異を情報として認識し、 ・自然をあるがままに楽しみ、      ・自然による災害を 脅威に感じます。    [WORDで関連図形を作成しましたが、HTMLに載せると形がくずれますので、割愛しました。]   ・ もともと、自然空間は、「自然のままに」存在しています。人間の存在の有無や、   人間が意識しようがしまいが、そんなことは小さなことです。 ・ 私たち新参者の人間という種が、その自然空間に存在するようになりました。 ・ 人間という種の生誕から消滅の中間にある現在、人間の生活空間が自然空間を侵害し始め、   深刻な問題を起こし始めたようです。 ・ 人間には自然を破壊する知恵がある一方、破壊してはダメだという思考も働きます。 ・ 人間は、自然の恵みを享受できる一方、自然の脅威を「災害」として受けざるを得ないことがあります。   災害は忘れたころにやってくる。そのために(?)、気象庁は注意報や警報を発表し、私達は身近なところで事前の    対策・心構えに役立てます。 1−2 自然のメカニズム(仕組み)   さて、環境や災害の問題を考えるときの土俵としては、もちろん地球を考えるのですが、    私達が乗っている地球とはどんなサイズなのかを実感し、そして熱エネルギーの流れ・配置・配分の仕組みを確認しましょう:    (地球儀と添付の図2を見ながら説明します) [WORDで関連図形を作成しましたが、HTMLに載せると形がくずれますので、割愛しました。] ・ 直径12cm程度の地球儀→(教室の中央が月の位置)→中央林間駅が太陽の位置です。 ・ 地球は、こんな遠方から太陽の熱エネルギーを常に受けています。 ・ 地球は、地軸を常に北極星に向けながら、太陽の周りを1年かけて公転します。 ・ 地球は、その南北の緯度に応じて受光面の角度が変わり、従って単位面積当たり受ける熱エネルギーの量が異なることとなります。   特に中緯度地帯では、夏は冬の2倍余りの受光量となり、春夏秋冬の季節が生じます。そして、この受光量の違い、および気流、海流の存在・   温度に適応して動物・植物の生態系が水圏・気圏に形成されています。 ・ 地球の大気は、この地球儀(直径12cm)の上の0.1mm程度の厚さにしかすぎません。 ・ 大気は、熱帯―寒帯の南北温度差と地球の自転の効果により地球を周回し、偏西風となり蛇行し、   高気圧と低気圧の渦巻きを発生させ、南風や北風を生じ、熱と水を運びます。 ・ この風に含まれている水蒸気が上昇気流により、上空へ運搬され、雨や雪となります。 ・ ミクロの世界とも思えるこの0.1mm程度の厚さの水圏・気圏の中で、日々のお天気や豪雨・豪雪などの激しい気象現象が生起します。   人為の及ばないところが多いです。 ・ 環境破壊は、水圏・気圏の中の自然物としての「土・水・空気」に対する人為的な働きかけが、長期にわたって「変質と破壊」を   もたらすため問題とされます。 1−3 気象災害につて:  気象現象に起因する災害を気象災害と言います。 ・ 添付の図3にさまざまな気象災害を示しますが、雨や風などが数時間から数日集中することにより、   ローカルな地域で、物理的な破壊や生命財産の危機が生じます。 ・ 通常は、気象庁から注意報や警報が発表されますので、ある程度までは対応が可能です。 ・ 雨や風による被害が出た場合、ライフラインなどの二次災害を引き起こす恐れもありますので、個人としての自衛策のみならず、   企業・公的機関の事前対応も必要となります。 ・ なお、地球温暖化やオゾン層破壊などの問題は、気象災害とは別種のものです。 1−4 エルニーニョと異常気象:  エルニーニョは、ペルー沖から日付変更線付近にかけての赤道域で、2〜7年おきに海面水温が平年より1〜2℃、 [WORDでエルニーニョ関連図形を作成しましたが、HTMLに載せると形がくずれますので、割愛しました。]  エルニーニョ現象のときは、世界各地に異常気象が発生します。 日本の天気は、梅雨明けの遅れ、多雨の夏、冷夏、暖冬が生じ、  逆にラニーニャ現象の時は、猛暑、台風発生が多くなる、という統計データがあるようです。1997-98に大規模なエルニーニョが発生しましたが、  こうした現象発現のときは、地球全体の大気の流れが変わることにより、世界の各地で降水量や気温が「異常」になり、  社会・経済活動に大きな影響が出てきます。なお、気象庁では、エルニーニョ予測情報を毎月発表しています。  異常気象とは、文献により定義が異なりますが、「短期的で局所的な激しい現象から、  数箇月程度継続する現象」を言います。例えば、冷夏/日照不足(1993)、猛暑(1994,95)、豪雪(1984)、暖冬(1989)、旱魃(1994,95,96)、  長雨(1995,97)などが挙げられます。  この異常気象は、地球規模の大気の流れ方が変わることが遠因となって、結局は「熱と水蒸気」が、平年に比べて偏ってしまうことによります。  しかし、因果関係は未解明です。 1―5 環境問題について:  「土、水、空気」は、有限のサイズと有限の容量しかありません。一方、人口は  増加し、人の活動もますます盛んになり、必然的に天然の資源は費消され、自然の質が劣化していきます。自然それ自身の持つ、  自己再生産能力にも限界があります。  自然を疲弊させることなく、将来にわたって自然からの恵みを享受するためには、環境問題を解決するための人間の叡智、努力、  そして連帯が必要です。 [WORDで関連図形を作成しましたが、HTMLに載せると形がくずれますので、割愛しました。]                    環境問題は、人間の社会・経済活動・利害関係が複雑に絡んでいます。  以下キーワードのみ掲載しますが、添付の図4を見ながら一緒に考えて見ましょう。 ・ 地球温暖化  ・ 人間の多くの生産活動、社会活動がエネルギーの消費を必要とし、このため、化石燃料の使用が避けられず、  二酸化炭素を主体とした多量の温室効果ガスが放出されています。(先進国では、1人あたり約10-20t/年のCO2排出です) ・ 温室効果ガスは、地球からの赤外放射を妨げ、熱を大気中に蓄積してしまいます。  蓄積された熱が、地表面の大気の平均気温を上昇させます。 ・平均気温の上昇は、海水面の上昇更には、居住空間の狭小化をもたらします。また、  大気の温度が変わることにより、異常気象の原因にもなると考えられています。  →国際条約:温室効果ガスの排出規制に関する条約(京都議定書1997)    55以上の締約国は、二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガス排出の法的拘束力のある削減目標を2008-2012の間に達成しなければならない、    とされています。 ・ オゾン層の破壊  ・ フロンは、冷蔵庫やクーラーなどの冷媒、工場での機械部品の洗浄剤として、無害なこともあり多用されてきました。   化学的に安定なため、地上では分解されず、高空で紫外線により分解され、放出される塩素がオゾン(層)を破壊します。 ・ オゾンが減少すると、吸収される紫外線量が減少し、地上に有害な紫外線UV-Bが直接降り注ぐことになり、  結果として人体・生態系に悪影響を及ぼし更には、地上にある生命の存続にも悪影響を与えます。  →国際条約:オゾン層保護に関する条約(ウィーン条約1985、モントリオール議定書1987)   オゾン層を破壊する塩素系物質の生産と消費の段階的削減→21世紀中頃迄に達成可。 ・ 酸性雨   ・ 工場からの排煙等に含まれるSOx,NOx等が大気に運ばれ、また降水に含まれ、強酸性物質が直接植物に降りかかり、   その成長を阻害します。また、河川・湖沼・土壌が強酸性に汚染されることにより、植物・魚類・微小生物の生存と成長が阻害されます。 ・ その結果、植物を中心とした生態系が破壊され、生物的再生産力のない「死の山、   死の川」が出現し、潤いのある生活空間が狭められてしまいます。  →排煙脱硫装置の設置により、改善策が講じられている。 日本での取組み  インターネット情報(下記)をぜひご覧ください。様々なレベルで多種多様の取組みがなされていることがわかります。  また、近隣の市役所や区役所などで環境に関するパンフを入手して、自分の町ではどんなことが行われているかにも、目を向けて見ましょう。 おわりに  私たちは、大気や水の動きを止めることはできません。しかしその大気や水に汚染物質や温室効果ガスを 乗せないようにすることは、私たちの日常生活レベルで実行しようと思えばできるものがあります。 家庭からの排水、ゴミ、自動車、電気、、、、「何一つ地球に優しいものはない」。 これらがいかにして自然環境の破壊につながっていくかを認識すること、これが環境保護・自然保護への出発点となります。 本日の話は、出発以前の話かも知れませんが、自然と協調し、自然の持つ再生産能力に余力を持たせたまま後世に伝えることは、 私たち現存する人類の責務と考えます。 人が、生まれ、育ち、また土に還っていく。その空間は人のものでもなく、また誰の ものでもない。そこにはただ自然があるだけだ、と思っています。 「明日の天気を予想する」とき、ぜひとも以上の話も思い出してください。 私たちの「ふるさと」が、いつまでも山青く、水清きことを希求するものです。 以上で私の話を終わります。 佐藤 元 ☆ 関連資料 インターネット情報: 八都県市リサイクルスクエア: Click here 環境省: Click here 環境情報案内 Click here 気象庁 Click here 入門書:      「地球環境キーワード事典」地球環境研究会(中央法規出版)      「地球温暖化」環境庁地球環境部(読売新聞社)      「異常気象と環境破壊」朝倉正(読売新聞社)      「地球温暖化を防ぐ」佐和隆光(岩波新書 #529)   Return to Top Page
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