AZR04  天気図を読む 気象道
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「気象道」 :
    天駆ける太陽の通る道は黄道、月は白道、人の踏むべき道は人道。
    「気象現象の理解に至る道」は、略して「気象道」とでも言いましょうか。
    この道は、遠くから見ると立派で足跡もハッキリしているようです。しかし、近寄って
    もっとよく見ようとすると、ボヤケてしまい、カオスの世界に迷いこんでしまいます。

    そうです。「気象道」は「秩序あるカオス」の道です。

「疑う余地のない」世界 :
  「地球大気の外部の世界」が内部で生起する現象を規定することを認識します。
   太陽からの熱、地球の公転・自転・重力という存在と作用を
  「疑う余地のない」世界のものである、ということを了承しておきます。 
      これに関わる運動理論は、いわゆる「決定論」的な世界のものであり、
      その算出結果は、「予測」と言うよりは、「必然的」に「現象が発生する」
      ことを寸分の狂いもないほどの実績でもって、示しています。 (一例、2012年5月
      20日の午前8時に日本で「金環食」が見られる、という超超長期「予測」。)

「疑う余地のある」世界 :                  
      離れて見ると平穏に見える地球大気も、一歩その中に入れば、激しい現象が渦巻いている
   ことがわかります。そして、「予想すると言うこと」は、現象という具象(リアリティー)
   を抽象化(バーチャル化)して見るという、充分に「疑う余地のある」世界、即ち決定論の
   適用困難な物理過程の世界なのだ、ということに気づくこととなります。
      この抽象化は、上述の「近寄ってもっとよく見ようとすると、ボヤケてしまい、
      カオスの世界に迷いこんでしまう」こととなる故に、「幸いにも」
      気象予報士個々人の「予想」があり得る世界をも作り出すこととなりました。



 これからやろうとする仕事は、先端的な表現をするならば、
 最新の技術の粋を結集した観測と、これまた最新の理論と、さらにまた、最高速のコンピューター
 の結果を駆使して、「バーチャル・リアリティーをフォーキャストする」ことです。
 世の中に、占星術、四柱推命、手相占い、トランプ占い、、、いろんな占いがある。
      経済予測も、、、ある、
      需要予測も、、、ある。
 私たちは、「明日」という日があればこそ、その日に向かって生きていられるのでしょうか。
 その「明日」の行動を大きく左右するのが、「気まぐれな」お天気です。

 いや、実はお天気が気まぐれではないのです。彼(もしくは彼女)は、自然の法則に従って必然的に
 そう振る舞っているだけなのです。「気まぐれ」と言っている人間が作った予想が「気まぐれ」なのです。
   この予想の「気まぐれ」な性質は、自然の法則をモデル化した数値予報モデルの精密さの程度、
   観測誤差、そして数値計算の限界等全て人間サイドの問題に起因することは言うまでもありません。

 私たちは、決定論的な論法を用いた数値予報モデルの結果を半信半疑で使っています。
 「半信半疑」の状態を少しでも改善し、本当に起こるであろう現象に近づける努力の一翼を担うのが
 「気象予報士」である、と私は思っています。
 「天気の予想」は、、、、予想が当たれば「当たり前」、外れれば「目のカタキ」という
 「キビシ」くも、非常に知的でチャレンジャブルな「ゲーム」です。
 「ゲーム」をたのしむような感覚で、「天気の予想」を大いに楽しんでみましょう。


 「天気の予想を512倍楽しむ方法」

    前置きが長くなりましたが、
  ・ 「明日の天気を占う」いや「明日の天期を予想する」ための必須の情報が P.10以降の
    「9項目の気象要素」です。 天気図を読むに際して、一つの要素で2倍楽しくなります。
  ・ 「何故2倍か? って」、 ハイ、筆者がそのように思うからです。
  ・ この楽しみは気象要素の相乗効果によって、倍々ゲームになりますので、
    2の9乗、即ち512倍になります。
  ・ 512倍楽しむための裏付けとして、「9項目の気象要素」の頁をご利用下さい。
  ・ 天気図を眺める時、漫然と見る予報士はいないと思いますが、同じ見るに際しても、
    現象や状態が「そこにそうしてあること」のそのアト・サキを考え・推理しましょう。
  ・ アト・サキの推理のための論理は、「気象の理論」です。推理を助けてくれるのが、
     P.07の立体構造図で、思考空間にfigure outするようにしましょう。
     P.69の関連図も役立つでしょう。
それではこれから、読者の皆様とご一緒にカオスと推理の「気象道」を歩むことといたしましょう。
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