AZR13 気象の理論 鉛直P速度
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鉛直P速度とは、いったい「何者」でしょうか。
前ページでは、あまり深く考えずに「鉛直P速度」と言う
テクニカル・タームを使っていましたが。。。。

(A)大気がある気圧高度からその上部の気圧高度へ移動するときの
      速度のことでしょうか。
   (たとえば、700hPaから500hPaまで上昇するのに
     100秒かかったとするとき、
  (500−700)/100=−2hpa/sec
      と表されるものでしょうか)
(B)あるいは、ある高度において、時間あたりの気圧変化を
      意味しているのでしょうか。
   (たとえば、3000mの高度において、その高度での気圧が700hpa
      から 690hPa まで下降するのに100秒かかったとするとき、
  (690−700)/100=−0.1hpa/sec と表されるものでしょうか)
(C)あるいは、ある気圧面における気圧の微少変化量を微少時間でわり算したものでしょうか。
   (たとえば、700hPaの東圧面において、0.01hPa下降するに要した時間が
      0.01秒であったとするとき、
  (−0.01)/0,01=−1hpa/sec と表されるものでしょうか)

どうも、(C)のようです。Eulerの見方をする様です。
         P.10 「風」で検討したのと同様の考え方を適用するとよいと思います。

気象の事典等よりの引用ですが、  ・気圧座標系において、2つの等圧面のあいだ(層厚)の大気質量は同一です。  ・高層天気図が等圧面上に気象要素が記載されています。  ・鉛直P速度は、700hPaで上昇・下降域が示されています。  ・静力学的近似が成立する場合のみ、この座標系は有効です。  ・雷雲中の鉛直速度は、 数m/secで観測可能です。  ・大規模運動では、数cm/secなので観測不可能。故に、オメガ方程式などから求めます。  ・オメガ方程式は、上層の渦度方程式と下層の熱力学の方程式を結んで得られます。 鉛直P速度の重要な用途の一つに、大気の安定性の判別があります。  ・ 数十m/sの上昇流は激しい対流性の積乱雲を生じ、大気は不安定、  ・ 数cm/sの上昇流であれば、平穏な上昇です。 環境としての、そこに存在している大気の安定性や、潜在的な不安定性をみるためには    エマグラムや各層、各時刻の天気図を重ね合わせ、つなぎ合わせて見ます。  大気のP.08 立体構造を思考空間に描き出し、判断して下さい。        P.28 エネルギー線図P.32 安定性を参照して下さい。

  山岳・温暖前線上昇、潜熱放出、ベナール対流、渦動に伴う上昇の図示