AZR14 気象の理論 渦度
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「渦度」とは :  流体力学の定義によれば、流体要素の自転の角速度の2倍である、
         ということです。何のことかサッパリ分かりません。 

「渦度」は、「わかりにくい概念とされている」と気象学ハンドブックp.464に記載がある位で、
       専門家もそれなりに苦労している様です。
「渦度」とは、気象の世界では、2点の風速差をそのあいだの距離で除算したもので、
       そこに大気を回転させる力が存在することを示す、と理解してはどうでしょうか。
「渦度」とは、流体の流れの性質を表現する方法として「rotation or spin」と「straight」の
       2種類あり、そのひとつである、と理解してみる。
       Elements of Meteorology p.164 by A.Miller & J.C.Thompson からの引用です。 
「渦度」は、大気塊が「質点」でなく「流体」であることの証左でもあります。
「渦度」は、「風」のシヤーが存在し、なんらかの[回転を起こす力が存在すること]を示します。
「渦度」は、蛇行流や高低気圧の渦巻きの存在を暗示します。
「渦度」は、気象の観測値として得られるものではありません。
      GPVの風ベクトルから計算により求められます。
 
天気の予想への応用 :
    高気圧、低気圧の位置、上昇流、下降流の存在の推定、
    さらには、天気の変化の予測・推定に結びつけます。
        負の渦度は高気圧、リッジ
        正の渦度は低気圧、トラフ
        渦度は上層大気の蛇行や上昇・下降流と密接に関係しています。
     とくに、トラフ近傍からの「正渦度の移流」に注目することが非常に大事です。 
       「渦度」ゼロ線の近傍は、風速最大域でもあり、また地上の前線にも対応します。

P.08 大気の立体構造をジックリ眺めて見て下さい。

「渦度」算出の[理論的]背景 :

上述の[「風」のシヤーと、回転の存在]を表現するため、
    「風速差のために u,v」を、「その間の距離のために x、y」を
     使います。 次式は、2次元の渦度の定義式です:
           ζ=(u1−u2)/Δy−(v1−v2)/Δx
     u,vが地衡風であるとき、高度zで表現出来ます。
           P.42の渦度、を参照して下さい。

なお、地上天気図では、渦度は表示されませんが、高低気圧は渦度を持っていることに注意して下さい。

プリミティブ方程式(P.66参照)における「渦度」の関与についての考察 :
     1.運動方程式は、回転座標系で記述すると、渦度方程式となり、
       渦度そのものを表すこととなります。
     2.気体の状態方程式は、渦度を求めるためのものではありません。 
     3.質量保存則は、制約条件となります。
       ただしこの法則が渦度を決めるものではありません。
     4.熱力学の第一法則は、渦度は直接関係ありません。
     5.水蒸気量保存則は、これも渦度とは直接関係ありません。

エネルギー保存則−−−>渦度、渦エネルギーが、風速や高度と関係します??。
ベルヌーイの定理−−−>流体のためのエネルギー保存則です。
                        渦度,渦エネルギーが、風速、気圧、高度と関係します???。
渦位保存則−−−−−−>渦度が保存されることを示します。(よくわかりません。)
角運動量保存則−−−−>渦度と関係ありそうですが、よく分かりません。