AZR16 気象の理論  前線と大気密度
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 前線
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異なる大気密度を持つ空気塊が離れて[存在]し、面接触する所を「前面」という。     前面が地表面と接触する所を「前線」という。     前面や前線は、「幅」をもっていて、それぞれ転移層、前線帯という。       気象要素(風向・風速、気温、相当温位・湿数)の急変域でもある。     前面を境にして異なった性質の大気塊が面接触し、天気の変化が激しい。     上昇流の存在をも暗示し、天気予想のための重要な気象情報です。      急激な天気の変化の推定に結びつけます。
 
前線は定義により、大気の密度が急変している所に描かれます。
しかし、大気密度は観測値として得る事が出来ませんので、天気図には表現されていません。
    ΔP=ρRΔT
から密度を数値として捉えることが理論上可能です。この式をベースとして、
風向・風速、気温、相当温位・湿数を代用特性として、
それらの密集している部分〈急変している部分)を連ねて前線とすることが可能です。

逆の発想で、もし前線が天気図上に描かれていれば、その付近では
風向・風速、気温、相当温位が密集していることとなるでしょう。

風向・風速、気温、相当温位が密度に代わり得ることの検討 :
気温や相当温位が密度ρの代用になることは、式の関係より容易に分ります。
また、湿数 T−Td は温度表現そのものです。よって上式の関係に帰着します。

さて、風向・風速は何故、密度ρの代用となり得るのでしょうか。
水平方向の速度差・風向差による大気密度の差は、観測できないくらい小さいものでは
ないでしょうか。 速度差は〈速さの変化がなくても)、
速度ベクトルの水平成分(水平面への射影)を見て分りますように、上昇流となるところで
風速が変化しています。その付近では地表に近い層の大気密度は大で、その上の層の密度は
相対的に小さいと考えられます。よって速度差のある所には前線が推定されます。

風向差は、風向を生じる原因となる大気塊がその背後に存在することを暗示しています。
通常、性質の異なる大気が接します。その性質とはもっぱら気温(従って密度)を指します。
よって、その近傍に前線が形成される事となります。