AZR18 気象の理論  高度
    前頁 次頁 目次  PageLink Last Updated:1998-3/12
高度は、大気塊がその位置(高度)に[存在]することを示すものです。 

「高度」は、大気塊が地球の重力に抗して、そこに位置していることを示します。 「高度」は、大気塊が、そこに位置しているためのエネルギーを示します。 「高度」は、気圧Pと読み替えることにより、安定判別に使われます。 「高度」は、2つの等圧面の間の「層厚」を表すことができます。 「高度」は、PやTとともに、海面更正や航空機の計器補正に使われます。 等圧面上で高高度側から低高度側への気流は下降気流となり、 運動エネルギー〈風となる)へ変換され、地衡流となります。 等圧面上で「等高度線が描かれている」ことは、高度差がそこにあることと同意義です。 等高度線に等温線が交差していると、「温度移流」が生じ、天気変化につながります。    
 
天気図への応用として、
   指定[高度](気圧面)で、種々の作業を行います。
     850hPa−−500hPa でSSIを算出して、大気の安定性を判定します。
     500hPa でP.14渦度、高度、P.40地衡風、
     700hPa でP.12上昇/下降気流、P.24湿り域、
     850hPa でP.26相当温位、P.10風向・風速
   を高層天気図から読み取り、高気圧、低気圧の位置、地衡風の風速の推定・確認
   を行い、天気予想の判断材料にします。

見方  : 「高度」には、「等圧面高度」と「geopotential高度」とがあります。
     目的に応じて、両者ともよく使われます。 
高度Zを算出することの出来る理論的根拠 :
   「高度」は観測して得られるものではありません。
   ΔP=ρgΔZ の関係より、気圧を測定することにより「高度」を算出できます。
      高度が高い観測点の気圧は、海面更正して、地上天気図に表示します。
      低気圧来襲時、海水面の水面の[高度]即ち、潮位の上昇を算出出来ます。
    
プリミティブ方程式(P.66参照)における「高度」の関与に関する検討:
    1.運動方程式は、高度、即ち位置そのものを表すものです。(各種の座標系で表現される)
    2.気体の状態方程式は、高度を求めるためのものではありませんが、
        どんな高度でも、常にこの式が成立しています。制約条件として機能します。 
    3.質量保存則は、大気が連続流体であることを示します。制約条件となります。
      この法則が高度(位置)を決める主役となるものではありません。
    4.熱力学の第一法則は、外部仕事と内部エネルギーの関係を表すもので、
      高度とは直接関係ありません。(高度変化により温度変化という関係はありますが)
    5.水蒸気量保存則は、これも高度とは直接関係ありません。

その他の法則等との関連:
    エネルギー保存則−−−>大気塊を質点と見なす事ができるときの風速や高度が関係します。
    ベルヌーイの定理−−−>流体のためのエネルギー保存則です。風速、高度、気圧と関係します。
    渦位保存則−−−−−−>高度が変化しても成立するよう渦度が変化します。
    角運動量保存則−−−−>高度が回転運動といかなる関係があるのかよくわかりません。