
[1]温位と相当温位 :
「温位」は、任意の気圧高度にある大気塊を、乾燥断熱的
に、1000hPa にもってきた、としたときに、
その大気塊が示す温度のことです(K表記)。
「相当温位」とは、特別な場合の「温位」のことです。
即ち、
・大気が湿潤断熱的に曲線上を上昇するとき、
凝結の潜熱分だけ温度上昇し、「温位」も上昇します。
・Γd>Zup>Pdown>飽和>凝結>ΔTup>未飽和>Γd>
Zup>Pdown>飽和>凝結>ΔTup>未飽和>・・・
・・・を繰り返しつつ湿潤断熱的にΓm上を上昇。
・水蒸気はすべてが一度に凝結するのでなく、徐々に、
段階的に凝結し、そのたび毎に「温位」が上昇します。
・「最後の一滴が凝結」し、「その潜熱」が大気に
与えられた、とした時の「温位」が「相当温位」です。
・即ち、相当温位は湿潤大気の到達し得る最大の温位です。
[2]「温位」算出の理論的根拠 :
温位の予想方程式です。
∂θ/∂t=−(u∂θ/∂x+v∂θ/∂y+w∂θ/∂z)+H
・「温位」は、気圧P、温度Tを与えると
下記定義式から計算できます。
θ = T・(1000/P)の R/Cp乗、(R/Cp=0.286)
・図で見る様に、大気が水蒸気を含んでいると、
LCL以上の高度で「温位」が高温側へ
シフトします。−−−>このシフト先は
湿潤断熱曲線そのものです。
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[3]相互影響・関連についての考察 :
・受ける影響<−−気温
・与える影響−−>大気の安定性判別、前線の解析
・プリミティブ方程式(P.68 参照)における「温位」の関与についての考察:
1.運動方程式はu、v、w、ρ で構成されますが、「温位」は直接関係しません。
2.熱力学の第一法則は、θ、u、v、w、で構成されます。 外部仕事と内部エネルギーの関係を
表すもので、温位θ そのものの変化を表しています。
3.気体の状態方程式は、P、ρ、Tで構成されていて、どんな高度においても、この式が成立
しています。 「温位」とは温度Tを経由して関係します。
その他の法則等との関連:
ベルヌーイの定理−−−>流体のためのエネルギー保存則です。u、v、w、ρ、Pの関係式です。
気圧のためにこの保存則があるようなものです。 「温位」 は、鉛直流の
温度と関係し、P=ρRTにより、気圧にも影響する存在となっています。
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