AZR40 気象の計算 地衡風
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PageLink Last Updated:1998-3/14
地衡風は、静水圧平衡、地衡風平衡、地表面の摩擦なし、大気の回転なしの条件の下で
成立します。日本付近の850hPa以上の高度の高層天気図上では、成立していると考えて
差し支えないようです。
問題: 地衡風の風速を求める公式を導くこと。
解答: 単位重量の大気に関する力の釣合い(コリオリ力と気圧傾度力)を考える。
まず、気圧傾度力 G を求める。
気塊を x・y・z 方向 の直方体として考える。
Y方向の
気圧差による力 =△P・△X・△Z 1式
直方体の 体積 =△X・△Y・△Z 2式
の 重量 =ρ・体積 3式
単位重量あたりの力=1式/3式
これが気圧傾度力 G です。
G=1/ρ・△P/△Y 4式
次に、単位重量の気塊が速度Vで運動するときは、コリオリ力 F を受けるので、
スモールfをコリオリパラメーターとするとき、
F=fV=2Ωsinψ・V 5式
4式と5式を等値して、次式を得る。
2Ωsinψ・V =1/ρ・△P/△Y 6式
G と Fが 釣り合った状態を地衡風平衡という。
なお、2点間の高度差 △Z を与えられたときは
静水圧平衡の式 △P=ρg△Z を 7式
6式へ代入して、Vを求めます。
問題:1995.6.14日付の新聞天気図(700hPa)によれば、
26゜Nでの高度が 3120m, 34゜Nで 3060m であった。
両緯度間の風速・風向を求めよ。遠心力や摩擦力は無視できるものとする。
計算:
△P=ρg△Z
△L=800km,ψ=30゜ とする。
1/ρ・△P/△L=2Ωv・sinψ
より、
V=12m/s の西風
問題:500hPaの高層天気図において、
2本の等高線間隔を1,000kmとして、地衡風の風速Vを計算する方法。
高度差は 60m である。
緯度θ=30度、地球自転の角速度ω=7.3/10の5乗、
コリオリパラメーター=fとする。
解答: 1/ρ・dp/dl=f・V=コリオリパラメーターx速度 (1式)
=2ω・sinθxV
および、dp=ρ・gdz (2式)
V=(100000/7.3)x(9.8x60/(1000x1000))
=8 m/s
(風速は、等高線の間隔に反比例します。 上の問題で、等高線の間隔が300kmになれば
風速は25m/sを越えます。 風速の天気図記号には「旗」のマ−クがつけられます)