AZR53 コラム 航走沈下の話
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航走沈下の話
1997.07.02の 東京湾タンカー座礁事故の原因について:
07月21日付けの「朝日新聞」の報ずるところによれば、
『船を海底に引きずり込む「航走沈下」により1メートル沈む?』
ということの様です。
これは、「船体が深く沈む大型船が浅い水域を航行すると、
船底と海底との間隔が狭くなり、その間にはさまれた海水の流速が
速まる」ということで、ベルヌーイの定理により説明できるとの
専門家のコンメントがあります。
『ベルヌーイの定理』とは:
「飛行機が上昇できること」、「野球のボールがカーブすること」、
「テニスでトップ・スピンの球は普通よりも早く落下すること」
等の日常的な例があげられます。
木村 龍治著「流れの科学」P.32〜36の「圧力体験」の中に
平易な説明がありますので参考にしてください。
ここでは、キー・ポイントのみ抜粋引用させて頂きます。
『・圧力差がものを押す力となる(圧力勾配という)
・エネルギー保存則が成立している
( 1/2・ρVの2乗 + ρgH + P = 一定 )』
上式より海水の速度Vが大きくなれば、その海水の圧力Pは
小さくなり、従って船体上部にかかる大気圧との差が大きくなる。
これにより船体は重力方向に押される(すなわち、沈降する)。
追記)エネルギー保存則は、気象の世界では、有効位置エネルギーが
運動エネルギーに変化して、下降流の風速が強まることの説明に
使われていることを思い出して下さい。
追記)それでは、回転しながら進行する低気圧の渦巻は進行が曲げられる
のでしょうか?
低気圧の上方は発散により逆回転となるため、全体として
回転力は受けないこととなる!
(コリオリの見かけの力を考えるべき)
<<===これでよいか、どなたか教えて下さい。
追記)回転するボールが何故まがるか?
今、右回転しながら進行するボールを考えます:
ボールの円周上の(回転軸をとおり)進行方向に直角な方向の
相対する2点を考えます。円周方向の速度をVとするとき、
ボールの進行方向の右側の大気の速度は:
( 進行速度−回転円周速度V )
ボールの進行方向の左側の大気の速度は:
( 進行速度+回転円周速度V )
となり、円周速度Vの2倍分の速度差が生じます。
これが、大気の圧力差すなわち押す力となり、ボールが曲がります。