AZR56 コラム  数式の話
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数式の話
「めておろし」における 数式の話に掲載していることを、一部抜粋・追加して再掲載します。
  数式、方程式、分子式、構造式など「式」によって変数の間の関係を表現することは、
    自然科学の常套手段です。
    換算率、変化率、比例・反比例、定数、つり合い、物理量の保存
  等いろいろなアイデアを表現します。
  即ち、要素と要素が式により結合されて、ひとつの概念・アイデアを表現します。

  さて、y=axの時、yはxに比例することは疑いないですが、
     ω=2π/86400 のとき、同じ論法を採用できるでしょうか。否です。
  外見上、同じ形式をしていても、意味が全く異なりますね。

  と、すると私たちは「式が表現しようとしていること」を、
    いかにして認識出来るでしょうか。その式に於いて用いられている数字や変数に内在している
    意味や性質を良く承知しておく必要があります。 
    即ち、個々のアイデンティティーを把握した上で、適所適材が必要となります。

  気象学には、種々の「式」が登場して来ますが、式は因果関係(自然のストーリー)を記述した
    台本みたいなもので、変数や定数は、さしずめストーリーを演ずる「役者」とでも言えましょうか。
  「式」を暗記しておくと便利なこともりますが、本来的なストーリーを忘れないようにしなければ
    なりません。 特に近似や微小項の省略の結果導出された式には、要注意です。
  「式の成立条件」を逸脱しての議論は誤った結果に到達する恐れがありますので。

  地衡風の風速を求める時の式 : 
          fv=1/ρ・Δp/L 
    は、Dimensionは加速度を表しますが、加速度の釣り合いでは意味が通りません。
    上式に重量を加味すると、「力の釣り合い」を表現することになり、式に意味が見えてきます。
   即ち、実感できるレベルとなります。


変数の話
    この2式を見てください。

     ΔP= ρgΔZ
     P = ρRΓZ   〈P = ρRT,   T=ΓZの関係を用いた)

  層厚を求めたり、海面更正の時に使用したりして用途が広く、かつ重要な式です。
  これらの変数にはそれぞれ固有の意味が賦与されています。
  これらの変数の アイデンティティー を考えて見て下さい。
  式が成立する環境(条件)も考慮しなければなりません。

  ρ を仲立ちとして、定数、変数を一つの式にまとめ、相互関係を樹立します。

     ΔP/P = g/RΓ・ΔZ/Z

  となります。
  これは、勿論積分できるかたちですが、直接値を代入するとき、

     ΔP、P、ΔZ、Z 

  等の変数に対して、どんな値を用いればよいか迷った経験は有りませんか ?   
    筆者は、今まで、迷うどころか意味もわきまえず、なんとなく"気持ちの悪い思いをしながら"
    やっていました。 変数が使用できる 条件、前提、環境 などを考慮する必要があるようです。