AZR57 コラム  大気の特質
    前頁 次頁 目次  PageLink Last Updated:1998-2/28

   「気象の理論」の主役を演ずる「大気」の特質とも言うべき事項を、考えてみます。

なにはさておき、大気は「質点」でなく「流体」であるということを認識しておいて下さい。

そして、[移流]と[温位]という概念が、「気象」の世界で「大気の特徴:状態の変化]を表現
     するうえで非常に重要な役割を担っていますので、忘れないで下さい。
    [移流と温位]をモノにできると、「気象が少しは分かってきた様な」気になります。
     (高低気圧の位置とか、風速とか、気温とか、気圧などは誰でも話題に
     することですが、[移流と温位]は、今ひとつ忘れられている様です。) 
地球の大気は、太陽熱、地球の公転(季節変化)、自転(日変化)、大気の層、重力を    原動力として「運動・移動」します。「移動する大気」には、水蒸気が含まれていて、    水蒸気は「水」という物質の相変化を生じ、「降水」をもたらします。    この「降水現象」が天気予報の「主役」であることは、間違いありません。 大気の移動は、大気自身の「安定化」指向という性質による「状態の過渡的現象」です。    (「性質」ということに関しては、藤原咲平著、雲をつかむ話、第9刷、P.307の     「平等の原理」が、「無生物界の現象の変化に関する認識の仕方」として、参考になります) 水平方向は1000Km:10hPaのオーダー、 鉛直方向は10Km:1000hPaのオーダーで、 タテ方向はヨコ方向の10000倍安定と考えられます??。 上下には、本質的に入り混じりにくく、重力により[安定な成層]が形成されています。 大気はエネルギー[他力+自力]を得ると、この「成層安定状態」を破り、上昇等の移動を生じます。    エネルギーとしての他力には限界があり、あとは自力で賄います。 運動ene.−−−−>位置ene.、位置eneの限界以上....自力で励起 押される他力、、、、、、山岳による強制上昇、、、、たかだか山の高さの2倍程度まで?? 潜熱放出の自力。。。。くもがモクモクと上昇。 気象現象には、大中小の包含関係があり、それぞれ、相互影響を及ぼしあいます。 1.大きい現象 : 波動、渦動。 2.普通の現象 : 収束、対流、移流、対流不安定。。。。メソスケール。風、地衡風 3.小さい現象 : 相変化、潜熱、降水。
以上の大気の特質・特徴・性質・状態を表現するため、[プリミティブ方程式]が用いられています。    天気図上で気象のどの理論がどのように効いてくるのか、   (どの方程式が直接関係してくるか)を理解しておきましょう。 プリミティブ方程式に観測データを与えて演算した結果、数値予報プロダクトが出力され、天気図が 描かれます。天気図等をベースとして、大気の「立体構造」を「思考空間」に描いてください。    大気の鉛直断面、および 水平面の2通りの断面で物事を見るようにします。 水平方向の話−−−>[移動・推移]の話につなげます。 鉛直方向の話−−−>[発達するか否か]の話につなげます。 大気の状態は紙上/スクリーン上に、天気図やエマグラムの「かたち」として再現されます。     300,500hPa高層天気図、700,850高層天気図、地上天気図、エマグラム、     レーダーエコー図、ひまわり図、雲情報解析図等が描かれています。 (なお、ヒマワリ図やレーダーエコー図は上記プリミティブ方程式系から導かれたものとは 性質が異なります。従って、その用途、図の読み方も異なってきます) これらの図は、大気のある時点の、一断面しか表しませんが、それでも大気の特性を表現するもの     として十分機能しています。が、しかし、自然現象を100%観測することは不可能で、     しかも100%予報モデル化出来ていない今日、完全に自然を再現出来る訳ではありません。     ここに予報の可能性と予報精度の問題が出てきます。 気象予報士は、以上の大気の特質にプラス・アルファ「自然界の癖」を Value Add して予報できると 素晴らしい、と思います。