AZR67 基礎知識 プリミティブ方程式
    前頁 次頁 目次  PageLink Last Updated:1998-3/16
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 大気の状態・気象の現象を表現・再現するための方法は種々ありますが、中でも天気予報にとって、
非常に基礎的・根本的・実用的な表現方法が、プリミティブ方程式系と言われる数式表現です。
それは、大気の状態をシミュレートしますので数値(予報)モデルと言われます。

これらの方程式は相互関連を持っています。従って、バラバラに理解しようとしないで下さい。
むしろ、メリハリをつけて学習・納得することが大事だと思います。

メリハリ1 : もっとも大事な方程式は何かということを考えること。即ち、
        話の中心となるべきものは何か、を考えること。 それは「運動方程式」です。
メリハリ2 : そして次ぎには、気体そのものの性質を表現しているとも言うべき
        「気体の状態方程式」です。

その他の方程式は、極論するならば、「付け足し」的な存在だ、位に思っていると良いかと思います。
即ち、移動に伴い物理量が保存される(不生不滅 不増不減)という条件のもとでの大気粒子の
振る舞い(運動)を制約する条件となるだけだ、と思って下さい。
だだ、いかなる制約となって運動に効いてくるのか、その制約が無くなったら制約が有るときに比べて
いかなる差異が生じるかを認識しておく必要はあるかと存じます。


この辺りの説明は、岡村存著「天気予報はどこまで正確にできるか」〈森北出版)が
手ごろな参考書です。

数値モデルにより、大気の状態が「天気図にいかに表現されることとなるか」の理解と読図が
次の課題になります。

これらの式の理解を前提として、また、これらの式を吟味して行く過程で、皆さんお馴染みの
コリオリ力、渦度、収束・発散、地衡風の風速、鉛直P速度、層厚、温位、断熱変化、水蒸気の相変化
などが登場して来ます。気象の理論の各項目で見て行くこととします。


物理過程の重要性。
    格子間隔(サブグリッド)以下の小規模な現象、積雲対流、熱放射など:必要であるが
    モデル化が困難。

    静力学平衡、地衡風平衡の近似がくずれてしまい、そのまま適用すると誤差がでてくる。


プリミティブ方程式の限界。

    主として、近似の前提としたスケールの問題がきいてきます。


予測可能性と予報精度。
    誤差の原因を承知しておくこと。
    気象庁編、「量的予報技術資料」平成8年度 P.2 にスコアの定義が記載されています。