Return Home 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表気象実験(#40)
実験の様子を写真で紹介します。
Originated 2008-08/08 Last Updated 2008-08/30,09/30,10/24,11/10,12/03, 2009-2/08, 6/16, 2010-7/08
EXPM40 バケツを振り回す(ペットボトル+紐+水)、遠心力の実現 EXPM41 ヨーヨーを作る(コースター+糸) 角運動量の保存 EXPM42 紙飛行機を作って飛ばす(紙+ゼムピン) EXPM43 ワイングラスで音楽を(ワイングラス+水) EXPM44 イルカの玉突き(洗濯バサミ+ボトルのふた+糸+物差し+鉄の玉+ビニールチューブ)、自励振動=周期的な外力 EXPM45 凍らない水を作る(氷+塩+容器+試験管)、過冷却水 ●=EXPM46 切っても切れない氷(氷+糸)、融解と復氷を実現する EXPM47 グラスの結露(冷水+コップ)、湿度とガラスコップの表面の露の観察、露点 EXPM48 気化熱(コップ+脱脂綿+水)、水の蒸発と水温低下の実験、空気の流れが必須=発生した熱の除去と滞留防止=地球温暖化 ●=EXPM49 ダイヤモンドダスト(ペットボトル+冷凍庫+プチプチ) (関連実験●= 雪の結晶を作る(ペットボトル+糸+ドライアイスor氷+水+塩)) |
#403 実験装置の製作 and/or 準備
・ペットボトル、丈夫な紐、水
・大きいバケツを使って行うと、水をこぼす心配があるので、
2リットルのペットボトルの底部を切り取り、バケツの代用とします。
・そして、手に持てるように紐を通します。
#404 実験の実行と結果
・代用バケツに水を入れ頭上高く回転します。
・水は容器の底にへばりつき、こぼれません。
#405 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・丈夫な紐を使ってください。紐が切れると、全体が何処へとんで
行くか見当がつきませんので、要注意です。
・運動場や公園など、広い場所で実験してください。室内で行うには危険です。
・この実験を終了するとき、すなわちバケツの回転を終えるとき、回転速度が落ちてきます。
このとき、水がこぼれないように「手さぐりで」回転を「なだめ」ます。
(サイエンスかかわる実験での表現としては、いささか不適切かも知れませんが、数値では
表現しにくい慣れ・技巧が必要です。)
#406 実験の解説 and/or 関連実験
・冒頭の#400で書いた「水は当然のことながらこぼれてしまいます」、の状況においては
水には、地球の重力のみが鉛直下方に作用していました。しかし、どんな物体でも
回転状態になると、「遠心力」が加わります。この遠心力が重力よりも大きければ、
そして、紐が切れなければ、回転軸の方向にかかわらず、水はこぼれることはありません。
・遠心力>重力の場合、回転する物体は回転中心から逃げて行こう(遠ざかろう)とします。
・回転スピードが遅くなると、遠心力<重力となり、回転する物体全体が
円周軌道を保てなくなり、落下してきます。
・この実験において、物体にかかる力関係は、「重力と遠心力との合力の方向に物体は力を受ける」、
と表現してもよいでしょう。
#407 【追加実験、考察等】
・重力の方向を符号の+(プラス)として座標軸の方向を設定して考えるとき、
「合力=遠心力+重力」となります。すなわち、バケツが円周の一番下に来た時、回している
手には最大の力がかかります。バケツが円周の頂上(すなわち、自分の頭上)に来た時、
手には最小の力がかかることとなります。
・注意して回していると、この状況を体感することができます。
・実験83 水平面とは何か を参照して下さい。
先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
コースター2枚で作ったヨーヨーです
|
・なお、ヨーヨーは、「コマ」と違って、糸が回転物体に縛り付けられていますが、
運動そのものは、両者とも大変似ていて、いろんな議論へ発展出来ます。
・気象の現象とヨーヨーの運動とどんな関係があるでしょうか。
相互の関係はありませんが、気象現象の渦(たとえば、高気圧や低気圧の渦)の回転とヨーヨーの回転は、
その根底に「角運動量保存の法則」という法則が存在していて、現象を説明する根拠になっています。
気象予報士の方々にはお馴染みの「渦位保存則」(絶対渦度=(地球渦度+相対渦度)/渦の高さ、が一定であること)
の理論は、この角運動量保存則を使って説明します。この証明は拙著天気図と気象理論、P.116 に掲載してあります。
先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#423 実験装置の製作 and/or 準備
・ありあわせの紙、はさみ、ゼムピンを用意する。
・紙から翼を切り出す。
・翼中央部にゼムピンをつける。
#424 実験の実行と結果
・飛行機を飛ばす。
・真っ直ぐ飛んだり、回転したりする。
#425 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・翼の形、大きさ、曲げ方など様々作って飛ばします。
すぐ曲がってしまったり、ゆっくり長距離を飛行したり、様々です。
・試行錯誤を重ねると、どんな形の翼が自分の目的に
あったものかを見つけることになるでしょう。
#426 実験の解説 and/or 関連実験
・物体が空中を飛行したり、浮遊したりする条件は何か。教科書を見れば書いてあるでしょう。
(そうは言っても→吸いつくスプーンに関連記事を掲載しています。)
・その前に、まず、体感、実感してみましょう。
目的に向かって、何をどのようにすれ良いか、考え&試行してみよう。
紙飛行機つくりは、工夫することを体験できる最もとっつき易い実験の一つです。
・本の中に書いてある理論は、ゲーテのファウストにある、
"Grau, teurer Freund, ist alle Theorie / Und gruen des Lebens goldner Baum."です。
灰色の理論を学ぶ前に、自然の生き生きとした、実の姿を見ることが大事です。
#427 【追加実験、考察等】
・最長不倒距離、最大滞空時間、回転回数、宙返りなどできるように、
様々な形状の翼を作り、飛ばします。飛行競技大会ができます。
先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
ワイングラスの縁をこすると、きれいな音が生まれ出る |
|
音の出具合:
◎=すぐに音が出てくる、○=少しの努力で音がでる、 ▲=努力するとわずかな音が出る、X=音なし
寸法は、グラスの最上端をノギスで計測した。 |

#443 実験装置の製作 and/or 準備
・洗濯バサミ、ボトルのふた、糸、物差し、鉄の玉、ビニールチューブ
・ペットボトルのふたを洗濯バサみではさみ、洗濯バサミに糸を通し、写真のように物差しにかけて吊るします。
・ボトルの蓋には鉄の玉を乗せます。
・以上でブランコの出来上がりです。
#444 実験の実行と結果
・ブランコに向かってビニールチュ−ブから空気(呼気)を送ります。
・間欠的、周期的に空気を送るとブランコの振幅が増大します。
#445 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・ブランコの振幅にあわせて空気を送ると、振幅が増幅されます。
・ブランコの振幅に合わないタイミングで空気を送ると、振幅は減少します。
#446 実験の解説 and/or 関連実験
・ブランコの振幅は、風がふきつける周期によって、振幅が増大したり、減衰したりします。
・橋や建物は、風から力を受けて振動します。これらの構築物の振幅が、風の波長に合うと振幅が増大し、
破壊することがあります。
・米国のタコマ橋の崩落は、風の影響による事故として関係者にはよく知られています。
#447 【追加実験、考察等】
・おもちゃのイルカで遊んでみます。
・指先で外力を与えるのがタイミング的に難しいので、ビニールチューブから空気を吹き付けます。
・振幅が増大すると、やがてイルカは、上空にある玉を突き始めます。

・実験M1の連成振子も同じ原理の実験です。
先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#453 実験装置の製作 and/or 準備
・氷、塩、試験管、広口の容器、水、温度計2本、断熱材
#454 実験の実行と結果
・広口の容器に氷を入れ、塩を入れ、かきまぜる
・試験管に水をいれ、静かに【塩+氷】の水の中につける。
・容器の中の【塩+氷】の温度を監視する。
・温度がマイナス0°以下になったら、試験管を動かさずにさらに温度が低下するのを待つ。
・別途、もう一本の温度計で、試験管の中の水の温度を監視しておこう。
マイナス4〜5℃でもその水は凍っていません。
#455 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・実験の環境温度は低いほうが望ましいので、
広口容器全体を断熱材でかこんで実験するとよいでしょう。
・水は、凍ることなく0℃以下になると、非常に「不安定な」状態になり、
何らかの外的な刺激、振動によって動かされると一瞬のうちに水が氷結してしまいます。
・家庭用の冷凍庫でも過冷却水ができますが、見えないところで作られるので、いつ過冷却水が
できるのか見当がつきにくいです。この実験のような方法は、夏場でも、家庭の常温の環境下
で過冷却水を作ることができます。
#456 実験の解説 and/or 関連実験
・氷に塩をかけると、実験50、氷に塩をかける で行ったように、氷が溶けていきます。
そして、その塩水の温度はどんどん低下していきます。凝固点降下と呼ばれる現象です。
・試験管の中の凍らない水は「過冷却水」と呼ばれます。
#457 【追加実験、考察等】
・空の上空では、この「過冷却水」が存在していて、雨粒となり易い、と言われています。
・詳しくは拙著「天気図と気象理論」のP.65(過冷却水滴と氷晶の共存状態における氷晶化促進の仕組み)を参照してください。
・実験M6、着氷現象、も参考にして下さい。
先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#473 実験装置の製作 and/or 準備
・グラス、冷水、室内温度計、放射温度計、湿度計、気圧計を用意する。
#474 実験の実行と結果
・冷水をグラスに注ぐと、グラスの壁面に結露します。
室温、湿度、壁面温度、気圧は、下表のようになりました。
測定値 |
#477 【追加実験、考察等】
・グラスに温湯を入れた場合とグラスプに冷水を入れた場合とでは、
グラスの壁面のどちら側に結露するかを確認します。
(尚、壁を伝って落下する水滴が次第に大きくなることを観察する。
温湯の場合、グラスにふたをしたとき、グラスの内部が煙ったように見える。これは雲です。
ふたに付着した水滴を虫眼鏡で観察すると、微小な水滴が無数に見えます。)
参照→実験#M8、天井の結露
・気象空間では、大気上昇→断熱膨張→温度低下、水蒸気が飽和し
(湿度100%となり)、凝結し、雲(霧、もやも含む)となる。
草木の葉っぱの上に露ができます。このほか、家屋における壁面
の結露や、車の窓ガラスが曇るのも同じ理屈です。
一方、露点温度を数表などから理論値として求めることができます。
この温度まで室温を低下すると、室内の湿度が100%となり、壁面に結露を生じます。
先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#483 実験装置の製作 and/or 準備
・コップ、水、脱脂綿、温度計(棒状温度計、放射温度計)
#484 実験の実行と結果
・コップに水をいれ放置します。
・コップの上部には脱脂綿を置き、水がすいあげられるようにします。
・このとき、水の温度、コップの壁面温度、脱脂綿の表面温度を計測します。
#485 実験を効果的に行うための工夫、注意点等
・脱脂綿で水の蒸発を促進させます。
#486 実験の解説 and/or 関連実験
・液体の水が、蒸発するとき蒸発のためには熱が必要となります。
・この熱は気化熱or蒸発熱と呼ばれ、水及び周囲の物から調達されます。
・このとき、熱を奪われた物は温度が低下します。
測定値(毎時) 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 水の温度 18.0 18.0 18.9 17.9 --- コップの壁面温度 18.3 16.8 12.5 16.3 --- 脱脂綿の表面温度 13.6 12.4 8.9 10.1 8.1 |
物質ごとの表面温度変化
| 土、板、レンガの表面温度を計測した![]() |
#493 実験装置の製作 and/or 準備
・ペットボトルを用意し、その底部を切り取ります。
・霧吹きも用意し、水を半分くらい入れます。
・やや大き目のダンボール箱(装置全体を収納&直射風を避ける)
・デジタル温度計、湿度計
#494 実験の実行と結果
・冷凍庫へペットボトルおよび霧吹きを入れて、空気および水を冷却します。
・ペットボトル内部の空気は、20分ほど経過すると−18℃程度に低下します。
温度低下の様子は、0.6℃程度の温度幅で上下しつつ、漸減していきました。
ペットボトル内部には、空気の対流があったものと考えられます。
・霧吹きのタンク内の水温は、40分ほど経過すると、零度以下になります。
零度以下になると、氷ができ始め、以降水と氷の共存状態のまま、温度低下が
ほとんど見られなくなり、70分経過後であっても−0.4℃程度でした。
【冷凍庫内に入れたペットボトル内空気温度、霧吹きのタンク内水温の実測値】
(ペットボトルの大きさ=1.5リットル、霧吹きのタンク直径4.5cm、水深6cm)
時間経過(分) 00 02 03 04 05 06 07 08 09 10 12 14 空気温度(℃) 20 10 03 -1 -5 -8 -9 -11 -12 -13 -14 -15 水の温度(℃) 17 15 15 14 13 12 11 10 |
同じ表現ですが、過冷却水滴(大きいマル)と氷晶☆の表面上の圧力傾度の存在
(Pi<PL)により低圧側にH2О粒子が移動します。その結果、低圧側の氷の表面
では過飽和状態となり、どんどん氷となります。
#497 【追加実験、考察等】
・蔵王の樹氷ができる原理を思い出してください。風が日本海の水蒸気を運んできて、
樹木に氷の結晶が成長します。
・過冷却水を凍らせるときにも、氷の結晶ができます。
・冬の寒い朝、息を吐き出すとき、白い息が出てきます。その時の気温にもよりますが、
微小水滴、或いはダイヤモンドダストのいずれかができたことになります。
先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表