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気象実験(#80)

実験の様子を写真で紹介します。

実験項目および内容は、随時追加、修正、改良しています。 Originated 2008-08/08 Last Updated 2008-08/30,09/30,10/22,11/15,12/21, 2009-01/29, 5/26
XPM80  剛体回転2(回転円盤、茶碗、お茶)
EXPM81  回転放物面(ビーカー、水、細い棒)
EXPM82  500hPa高度(AUXN50、500hPa高層天気図)
EXPM83  水平面とは何か(ペットボトル、水)
EXPM84  接平面の回転(地球儀、方位磁石)
EXPM85  接平面の回転2(紙、割り箸、クリップ)私たちが立っている地面は、1日に360°回転しているのであろうか。
EXPM86  赤外線放射温度計(広皿、湯、石)
EXPM87  熱の放射(コップ、熱湯、鏡、金属板)  #877に原因不明の疑問点が生じている。
EXPM88  容器内の空気の温度上昇(容器各種、ヘヤードライヤー、赤外線放射温度計、デジタル温度計)
●=EXPM89  波を起こす(ボウル、お椀、円筒容器、ビニールチューブ、水)

#800 実験80    高気圧性回転と低気圧性回転は、理論としては招致していても、これを実験的に納得できる方法があるでしょうか。    実験70、剛体回転1 で問題提起した台風の渦巻きの左回転を考えること、に通じます。     #801 実験タイトル=剛体回転2 Solid body rotation #802 実験の狙い=この実験から得られる知見を基礎として、高気圧性回転と低気圧性回転を考え、理解します。
回転円盤+茶碗+お茶
回転円盤+ペットボトル+線香の煙
#803 実験装置の製作 and/or 準備 ・円盤、茶碗、お茶    ・茶碗にお茶を入れ、円盤上に乗せる。    ・円盤をゆっくりと、できるだけ一定のスピードで回転させる。    ・円盤の回転を停止します。 #804 実験の実行と結果 ・茶碗の中のお茶が、円盤と同じ回転方向で回転を継続していることが分かります。    ・この現象が、剛体回転と言われるものです。    ・念のため、写真右のように、空気を剛体回転させてみます。     線香の煙を使うとわずかに剛体回転しているように見えますが、視認しやすくありません。 #805 実験を効果的に行うための工夫、注意点等    ・地球表面の空気や海水は、地球とともに動いていて、相対回転速度=0の剛体回転をしています。  しかし、圧力勾配や密度の勾配、或いは地形の凹凸や不均一な存在によって、剛体回転している空気や水は、     剛体回転の速度に対して相対的に「遅速」が生じ、この状況が空気における「風」、海水における「海流」として     感じられ観測されます。     風速=0の時、空気はじっとしているように見えますが、地球の外から空気を見ると、地球と     同じ角速度で回転していることが分かります。    ・ここでの実験は、「剛体回転」と言う現象を空気でなく、水を使って実験観察してみましょう。     (空気を剛体回転させることは、やってできないことはありませんが、空気が回転している     様子がよく見えません。このため自分の家においては、満足な実験ができません。) #806 実験の解説 and/or 関連実験 ・茶碗を円盤上に載せて、お茶が剛体回転している様子を見ましたが、茶碗を空中に紐で吊るして回転させると、     紐のよじれの性質があることにより、茶碗の回転が、順方向、逆方向に、交互に代わります。    ・このとき、お茶の回転方向は、もともとの一定の方向に回転しているので、茶碗の回転方向と「同じ」または、     「逆」となります。    ・この事実は、高気圧、低気圧の(空気の流れ、即ち風の)回転方向を考える重要な現象です。     さらに、下記#807でも考えましょう。 ・なお、剛体回転の様子は、茶碗の中のお茶の動きをみれば、明らかにわかるでしょう。    ・さらにもっとよく分かる方法は、実験76、方位磁石の実験において、     円盤が回転しても、方位磁石の磁針は「剛体回転しないこと」です。    ・同じ回転円盤に乗せられていても、円盤に対しての相対的な回転の方向が異なることに     注目してください。対比して見てください。これは重要な着眼点なのです。  #807 【追加実験、考察等】     以下、上記と一部重複した記述があります。 剛体回転の実験、茶碗を糸で吊り下げる    ・茶碗にお茶を入れ、茶柱(あるいは茶葉)を浮かべます。茶碗を速く回転すると、後おいでお茶と茶柱が     回ってきます。このとき、観測者がお茶の回転方向を回転系の外から見ると、茶碗と同じ方向です。     しかし、茶碗の上に乗ったとして、お茶の回転を見ると、逆方向に回っているように見えるでしょう。     次に、茶碗の回転を遅くすると、お茶と茶柱は茶碗の回転を追い越して回転します。     茶碗を手で回すのは大変です。このため、写真のように茶碗を糸で吊るすようにして、この糸をねじります。     こうすると容易に回転が得られます。茶柱の代わりに、渦巻きを描いた紙を浮かせると、回転の方向が明瞭に     なります。ねじった紐が解けて、反対にねじれていきます。茶碗の回転も逆回転し、渦巻きも逆回転します。     右回転、左回転の両方の回転を1回の実験で観察できます。      剛体回転の実験、茶碗を糸で吊り下げる    ・容器を廻したとき、中の液体は、同時的に引きづられて動きます。容器の回転をある程度継続すると、     液体の動きは、容器の動きと同じ回転になります。この回転状態を「剛体回転」と言います(写真の中央)。     茶碗の角速度=ω0、液体の角速度=ω1とするとき、ω0とω1の大小関係によって、相対的な回転が生じ、     右回転または左回転となります。この様子を写真で3種示します。         ・即ち、高気圧性回転と低気圧性回転(温帯低気圧や台風の渦の左回転)を見ることができます。     理論を後追いでくっつけるとするなら、容器(茶わん)の回転を基準として、お茶の回転の相対的な     遅速を生じさせる要因あるはずで、(速度増加の)要因として、角運動量保存則を適用します。     角運動量保存則によれば、円周上から中心に向かう物体は、中心に近くなるほど円周方向の速度を増加します。     この状態は、茶碗の角速度=ω0<液体の角速度=ω1、となるので、低気圧性回転となります。      先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#810 実験81    回転する大気の自由表面を考えます。    このため円筒形の容器に水をいれ回転させて、自由表面がどのような形になるか見てみましょう。 #811 実験タイトル=回転放物面 #812 実験の狙い=回転放物面をみる
最大回転で渦の深さが最も深く、形状も明瞭
ただし、水面は放物面とは見えない
回転速度減少、
浅くなる
さらに回転速度減少、さらに浅くなる
水面の形状が変化してくる
回転速度最小、深さもなくなり、
形状もなくなる
#813 実験装置の製作 and/or 準備 ・ビーカー、水、細い棒を用意します。    ・ビーカーに水を入れ、細い棒で水を回転させる。 #814 実験の実行と結果 ・ビーカーを横から見ると、回転している水の断面形状を見ることができる。    ・最大の回転において、放物面のように見える。・・・・・ただし、幾何学的な放物面になっているか否か確認していません。    ・回転がさらに弱まってくると、渦の深さが浅くなり、     水の断面形状が放物線(?)から次第に形が崩れてきます。 #815 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・できるだけ深い渦をつくると、断面形状の観察や写真撮影が楽になります。    ・深い渦を作ろうとして、水を入れた容器全体を持って渦を作ろうとすると、     きれいな放物面が形成されません。棒を強く回転させても深くてきれいな放物面を     つくるのは困難です。    ・このため、静かにしかも高速で回すことができればよいのですが。もしかして     洗濯機に洗濯物を入れずに水だけ入れて回転できれば、ある程度の深さの放物面の渦が     できるかも知れません。 #816 実験の解説 and/or 関連実験 ・流体が回転しているとき、その表面では、流体の各部分において、     遠心力と重力が釣り合っています。     (ランキンの複合渦における中心付近の渦の場合を考えます。強制渦と言われます。      中心から遠い位置の渦に関しては、自由渦と言われます。下記#817スピンダウンにおける二次流れを参照。)    ・このときの力の釣り合い状態を考えます。微分方程式で表現できます。    ・自由表面の傾きは、見かけの鉛直方向に垂直になります。見かけの鉛直方向の傾きは、z方向の     力とr方向の力の比になります=mg/mrω2。 この鉛直方向に垂直な傾きは、逆数になりますので、     dz/dr=mrω2/mg となります。    ・この微分方程式を解くと、z=ω2r2/2g となります。    ・断面形状は放物線、立体的には放物面となります。半径が大きくなると高度が大きくなることが     分かります。即ち、低緯度の大気の高度は高緯度の大気の高度よりも高くなります。     r=6000x103 m、ω=7.3X10-5 rad/s、g=9.8 m/s2 を式に代入すると z=9780 m となります。    この値が妥当かどうかは、例えば、対流圏界面の高度を北極と赤道で比較してみます。    ・北極では8〜10km、赤道では大体16〜18kmとされています。(平凡社版、気象の事典)     ・大体8km程度の高度差となりますので、上記計算値は大体あっていると考えられます。     ちなみに実験82の#822における北極と北緯20°における気圧高度500hPaの高度(GPM)の差もおそ1000mあります。 #817 【追加実験、考察等】 ・地球の大気は、地軸の周りに回転しています。概念的には以下の図のようになっています。    ・回転に伴う二次流れに関して、もう少し詳細に検討します
実験A9、スピンダウン を参照して下さい。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#820 実験82 地図上の等高線から山の形を描き出すことができます。(正面から見た山、横から見た山、斜めから見た山等。)    天気図に描かれた等圧線から、空気層の物理的な高低差(高さor深さ)を描きだすことができるであろうか。    地球上の空気には、等圧面の高度は地点によって異なる、という性質がある。この様子を図に描いてみよう。 #821 実験タイトル=500hPa等圧面高度をプロットする #822 実験の狙い=500hPa等圧面の高度を経線にそって、地球一周分の高度を描いてみる。 #823 実験装置の製作 and/or 準備 ・気象庁の高層天気図AUXN50    ・この北半球天気図から140°Eと40°Wの経線に沿って、     緯度10°ごとの高度(GPM:Geo Potential Meter)を読み取る。    ・読み取った値及び結果をグラフ表示します。 #824 実験の実行と結果 ・読み取った値をグラフに描く。    ・#822の図が得られる。    ・地球の大気の「深さ」が或る程度分かります。      #825 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・特段難しいことはないが、高層天気図の入手が必要である。 #826 実験の解説 and/or 関連実験 ・基本的には、熱帯のほうが温度が高く、かつ遠心力も大きいので高度も高くなる。     一方、両極の方は温度も低く、大気の高度も低くなる。 #827 【追加実験、考察等】 ・#81の回転放物面の実験も参考にしてください。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#830 実験83    私たちは、丸い地球の上に乗っていて、その丸いことを感じない。    地球の裏側の人々は、自分とは天地逆であるはずだが、誰も「落ちてこない」し、「落ちていかない」。    地球の表面をどこまで歩いて行っても、水平であると感じる。    飛行機に搭乗していて、離陸後、機体は斜めに上昇していくが、その「傾斜」の程度を感じない。    なぜだろう。 #831 実験タイトル=水平面とは何か #832 実験の狙い=水平面とは何かを考える
左:ボトルを斜めにして、静止して保持する。水面は水平のままである
右:ボトルを振り子のように振ってみる(回転する)。水面は、傾斜する
#833 実験装置の製作 and/or 準備    ・ペットボトル(或いはビン)に水を入れます。    ・ボトルの口元をもちます(口元を支点にします)。      #834 実験の実行と結果    ・ボトル本体を斜めにして持つと、水面は、「水平」になります。鉛直方向に垂直です。すなわち、通常の水平です。    ・ボトルの口元を支点にして、ボトルを振り子のように単振動する。     水面は、通常の水平状態でなく、鉛直方向に対し「斜め」になります。 上の写真を参考にしてください。 #835 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・回転中の水面を見ることは難しいので、写真撮影すると、瞬間の状態ではあるが、     傾いた水平面が形成されていることを見ることができる。 #836 実験の解説 and/or 関連実験    ・傾いた水面の「傾き」の程度は、「重力と遠心力との合力の方向」に垂直な方向となります。  ・水面は、重力と遠心力が釣り合った状態の自由表面です。    ・ボトルの外から見た水面は傾いていても、もしその水面に人が乗っていれば、     その人は、水面を水平と感じます。 #837 【追加実験、考察等】 ・
実験40 バケツをふりまわすも参照して下さい。    ・実験81、放物面 も参照して下さい。    ・大気が感じる球面と平面に関しての議論 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#840 実験84    私たちは、丸い地球すなわち球面の上に立っていますが、球面であるにもかわらず、平面と感じています。    この平面を模型的に考えるため、地球儀を回し、これに接する平面(「接平面」と言う。)の回転の    様子を観察します。模型的には、方位磁石の文字盤を「接平面」と考えて、実験し、説明します。 #841 実験タイトル=接平面の回転 #842 実験の狙い=接平面をつくり、接平面の回転の様子を観察する。    実験を理解するための概念的な様子を示します。    注意して見るべきこととして、接平面の回転中心は、地球の北極点にはありません。    微小な三角形の集合体(円錐形)の頂点が回転中心となります。宇宙空間においてフーコーの振り子が    一定の方向を示すことを利用して地球の回転を立証できますが、この実験では方位磁石の磁針が一定の    方向をさすことを利用し、接平面が回転することを自分の目でみます。        もうひとつ、接平面と言うものを理解するための参考図です。    #843 実験装置の製作 and/or 準備 ・地球儀、方位磁石、両面テープを用意します。    ・地球儀の地軸の傾き=35°とします。    ・地球儀上の北緯35°において、方位磁石を両面テープで固定します。    ・このとき、方位磁石の文字盤の南北を地球儀の南北に沿わせます。 #844 実験の実行と結果 ・地球儀を15°正回転します。    ・方位磁石の磁針は、地球儀の回転に伴って回転します。    ・このときの方位磁石の文字盤の南北線と磁針のなす角度を読み取ります。    ・この実験ではおよそ、9°でした。    ・北緯0°、北緯90°においても同様の操作を行って角度Δを読み取ります。    ・このΔが0でないことが、接平面の回転を示すものであり、そして接平面の回転量     (角度)を示すものにほかなりません。    ・結果を写真に示します。    地軸の傾き=(0°, 35°, 90°)と変え、地球儀の回転=15°とする。    地軸の傾き=35°のときの拡大写真です。 #845 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・地軸の傾きを正確に35°に設定すること、地球儀を正確に15°回転すること、が大事です。    ・これらの操作は意外と難しいので、しっかりした台の上で、正確に角度を出す仕組みが必要です。    ・この実験では、そこまでできなかったので、細心の注意をもって、および繰り返しの操作を行って、     測定値を得ています。    ・実験誤差の問題としては、方位磁石の文字盤が常に水平ではないことです。地球儀を15°回転させると、     文字盤も傾斜します。この傾斜による影響を極小化する工夫としては、15°の回転を与えるに際して、     0°〜+15°でなく、−7.5°〜0°〜+7.5°の様に回転の開始位置を7.5°西へずらせて     おいて回転を開始するとよいでしょう。    ・15°でなくてもかまいません。微小な回転量で論理的には十分ですが、測定する立場からは、やや     誇張した回転量を与えて、有意な差が求められるように、と考えました。 #846 実験の解説 and/or 関連実験    ・この実験では、実験74、フーコーの振り子の実験において、     フーコーの振り子の動き = この実験における方位磁石の磁針の動き、と考えています。    ・こうすると、方位磁石の磁針を基準として文字盤の動きを見ると、この文字盤が「接平面」に相当する     こととなり、接平面が回転することが理解容易となります。#842の写真をもう一度復習してみて下さい。 #847 【追加実験、考察等】 ・この実験は、実験77、ジャイロの実験と趣旨は同じものです。  両方の実験を比較検討してみてください。    ・一つの軸周りの回転と、この軸に交差する軸の周りの回転には、有意の関係があることが、2つの異なる     実験で、観察できました。    ・この有意な関係はどこから生じたものでしょうか。    ・自動車のエンジンの回転方向と車輪の回転方向が異なっていますが、エンジンから車輪への動力の伝達のために     特別の工夫がなされていて、ます。これは、「差動歯車」(デファレンシャルギアー)と言われる機械部品による     ものです。このメカニズムが想起されますが、地球の回転にあてはめてもよいのか、目下結論が出せません。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#850 実験85    実験84で、接平面と言うものが理解できたであろうか。心の底から納得できたであろうか。    私は、この実験85のアイデアを思いついたとき、これまで頭の中で理解していたつもりでしたが、    理解も納得もできていないことに気づきました。    そのきっかけは、地球上のあらゆる地点において、そこの地点は1日に360°地球の地軸の    周りを回っていると思っていましたが、「まてよ」、360°回っていると考え理解していた    そのものは何だったろうか。私たちが回転すると無意識のうちに考えていたのは、自分が立って    いる地面そのものではなかろうか。その地面は、地球という球体に接している平面である、と    考えるべきだ。その平面に垂直な方向が重力の方向である。重力に垂直な方向をもつ面の上に    私たちは存在し、立ち、地球の周りをまわっている。    ここまで考えが煮詰まってくれば、私たちは、接平面上に立っていることがとたんに現実味を    帯びてくることに気づきます。 #851 実験タイトル=接平面の回転2 #852 実験の狙い=接平面の説明の仕方を工夫する。    接平面と言うものを必須とする説明と参考図です。          底面が単位時間にωだけ回転するとき、接平面は、同じ時間内にαだけ回転する。    このとき、点J0にいる人は、回転軸アoの周りを中心をoとしてωで周回する、    くどいようではあるが、もう少し言うと、線分アJ0は、回転軸上にある点「ア」を    中心とし回転している。この時、線分アJ0は、αで周回する。私たちが乗っている    地面は、このアJ0が作る面の上にある。    これで、ωとαの相違・関係が理解できるであろう。    私たちは、幾何学的な点の上に立っているのではない、幾何学的な接平面の上に立って    いることを認識すべきである。この平面は、ごく細長い微小な三角形アJ0J1である。    なお、遊園地にある「回転ブランコ」のつりさげワイヤーをアJ0とし、J0の位置に    椅子がある、と考えてもよさそうである。    上の図の模型を作り、底面の方向から、地軸、地軸の傾き(緯度)、底面、接平面、    底面の回転中心、接平面の回転中心を見た写真。     #853 実験装置の製作 and/or 準備 ・説明のためのシンプルな図を用意します。    ・紙、割り箸、クリップを用意します。    ・写真のような装置を組み立てます。 #854 実験の実行と結果 ・上の写真の微小三角形が構成する円錐(もどき)を平面に展開すると、接平面の回転角が求められます。     円錐を平面に展開した時に得られる扇型の図形が、接平面が回転した結果の図形となります。        北緯35°付近の接平面、私たちは地軸の周りをまわっている??    地上の空気や水蒸気も地軸の周りをまわっている??    この問いかけに対しては、もう少し考える必要があります→#857 の考察を参照。     #855 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・回転量と言うものは、交差する2本の直線で構成される平面を議論対象にすることが肝要である。 #856 実験の解説 and/or 関連実験    ・地軸に垂直な平面(OJ0J1)は、地軸上の点Oを中心にして1日に360°回転する。しかし私たちは、その平面には乗っていない。     私たちは、図の三角形で示す平面(アJ0J1)に乗っているのだ。地球が一周するとき、J0J1の円周は地軸の周りに360°回転する。     このとき、私たちが乗っている三角形は、接平面と地軸の交点アを中心として回転しているのだ。     回転量は、2本の直線が交差するときのなす角度として求められる、このとき、2本の直線は、一つの平面を構成している。私たちは、     その平面の上に立って、2本の直線のなす角度を回転量として認識する。私たちが立っている平面の回転量は、ωでなくαとなる。     ωとαの数理的関係は、拙著シリーズ#2、回転運動と渦、で記述、証明した。 #857 【追加実験、考察等】 ・私たちは、     @北緯35°の緯度線上に立っていて、地軸の周りを1日に360°回転している。     A北緯35°の接平面上に立っていて、接平面と地軸の交点を中心として360xsin35°回転している。     何か不都合はないか?    ・まず、これらの回転による遠心力は同じ? 違う? → @Aとも同じです!!    ・低気圧や高気圧の回転方向を説明するためには → Aの接平面の理論を適用する。@では、説明できない。    ・一日が24時間であることは、@Aとも同じです。    ・太陽や恒星の日周運動を観測や撮影する場合、地軸に並行な観測位置をとるため、@もAも同じ。    ・馴染みのない接平面を棄却する必然性はないし、不都合もないようです。    ・接平面をもっと大事に考えよう。→早速、#854の扇型の図形が、実験74、フーコーの振り子の軌跡に適用できることを     確認しておこう。    ・大変プリミティブな話ですが、この実験で使っている接平面の模型を見ると、一つ一つの微小三角形はそれぞれ平面であるが、     これらを合成した地面は水平ではありません。それでも構わないのであろうか。     この問いに対しては、私たちは、「幾何学的平面」の上に立っているのか、「力学的平面」の上に立っているかを     ハッキリさせておく必要があります。もちろん後者の地面に立っています。このための実験は実験83、水平面とは何か、を参照して下さい。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
#860 実験86    気象衛星の雲画像は「ひまわり」によって得られ、気象庁のホームページに    毎時更新されて掲載されています。「ひまわり」になったつもりで、赤外線放射温度計を    使用して、物体の表面温度を計測します。 #861 実験タイトル=赤外線放射温度計 #862 実験の狙い=赤外線放射温度計で物体の表面温度を測定する #863 実験装置の製作 and/or 準備 ・広皿に湯を入れ、中央付近に適宜なサイズの石を置く。 #864 実験の実行と結果 ・広皿の上空から、「碁盤目状」に表面温度を計測します(下表)。    ・下表には、最大値の地点に●、次に大きい地点に▲の記号を付してあります。    ・なんとなく、「何か」がありそうな様子です。  
縦|横
22.022.0▲23.5●24.122.8
21.722.424.5●26.2▲24.6
23.424.4▲27.6●28.425.8
24.626.3●33.1▲27.526.8
25.026.7●31.3▲26.926.3
25.4▲26.4●27.825.825.8
#865 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・上の測定値は、第一回目のものです。引き続き数回繰り返し測定します。    ・石の代わりに、熱容量の異なる金属板や或いは布などを置くとまた違った結果となるでしょう。 #866 実験の解説 and/or 関連実験 ・計測対象地点の表面温度はさまざまな要因によって不均一な値となります。    ・この「不均一さ」をうまく利用すると、その原因を考えることによって、     熱源となっているものの存在や、材質、動きなどが推定可能となります。    ・気象衛星の雲画像の原理です。気象庁の写真(200811081130)を掲載します。       #867 【追加実験、考察等】    ・測定の距離間隔をもっと密にすると、物体の形状に応じた温度の違いが明瞭になってきます。    ・放射温度計と水面の間の空間にセロファン或いは、透明な塩ビシートなどを挟み込むと、     水面からの温度が変化します。気象衛星的に考えれば「雲」が浮遊してきたことに相当します。
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#870 実験87    あらゆる物体は電磁波を放出していて、温度が伝達されます。    この電磁波の温度伝達に関する性質や特徴を実験から推定してみましょう。 #871 実験タイトル=熱の放射 #872 実験の狙い=放射された熱は、鏡や金属板によって反射されたり吸収されたりすることを確認する
装置全景
熱源の電磁波は鏡によって45°曲げられる
鏡による反射

金属板による反射

#873 実験装置の製作 and/or 準備 ・コップ、熱湯、鏡、金属板    ・コップに熱湯を入れ、熱源とします。    ・左の写真のように装置全体を配置します。 #874 実験の実行と結果    ・コップの表面温度(1)、コップから直線距離40cmでのコップ表面温度(2)、バックグラウンドの温度(3)、     鏡で反射させた時のコップ表面温度(4)、鏡を金属板で覆って反射してくるコップ表面温度(5)     を計測します。下記計測値が得られました。  (1)コップの表面から0.5cmの所での電磁波温度の計測値=59℃ (2)コップの表面から40cmの所での電磁波温度の計測値=47℃    (3)バックグラウンドの電磁波温度の計測値=21℃    (4)鏡で反射した電磁波温度の計測値=25℃    (5)金属板で反射した電磁波温度の計測値=31℃ #875 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・放射温度計には測定角度がありますので、測定角度の範囲に熱源からの電磁波が入るよう     コップ、鏡、温度計の位置を調整します。    ・逆に言うならば、熱源以外の物からの電磁波がなるべく放射温度計に入らないようにします。  #876 実験の解説 and/or 関連実験    計測した温度をベースとして、電磁波の反射、吸収に関する性質が見えてきます。  ・(1)と(2)の比較により、電磁波は、(0.5cm〜40cmの間で)空気によってエネルギーを吸収されたことが分かる。(A) ・(3)と(4)の比較により、電磁波は、鏡で反射されていることが分かる。 ・(2)と(4)の比較により、電磁波は、空気中を(40cm、20cm+20cm)同じ距離だけ進んだのであるが、反射されたときに エネルギーを鏡に吸収されたことが分かる。(B) ・(4)と(5)の比較により、電磁波は、鏡よりも金属板による方がエネルギーを多く失わずに反射されていることが分かる。    ・(A)と(B)の比較により、電磁波は、空気よりも鏡や金属板によるほうが、より多くのエネルギーを吸収されることが分かる。  #877 【追加実験、考察等】    ・鏡により反射される太陽からの電磁波と天頂からの電磁波に付き、放射温度計で温度を計測比較する。     同時に、、天頂(快晴、青空、雲量=0)や太陽からの電磁波の温度、黒い鉄板からの放射温度、気温等も計測する。
@太陽からの直射光線  106℃
A太陽からの鏡面反射光線 70℃

B天頂からの電磁波    -28℃
C天頂からの鏡面反射光線 11℃ 


参考値: 太陽に照らされた鉄板表面 39℃ 日陰の気温         8℃ 日陰の湿度  41%
鏡による反射
@とAの比較:計測値は106℃ vs 70℃であり、鏡は太陽光線を70%近く反射していると言える。         厳密には、放射エネルギーを算出して比較すべきと考えますが、直感的に書きました。         全放射エネルギー(ステファンボルツマンの放射強度の公式【I=σTexp(4)】を使うと、         IA/I@≒0.8 となり、80%程度のエネルギーが反射されていることが分かる。         【定義:放射強度=単位面積、単位時間あたり入射するエネルギー量】    BとCの比較:計測値は-28℃ vs 11℃であり、@Aの場合とは異なった温度変化となっている。        即ち、反射光線の温度が増加している。天頂からの電磁波の通り道にある空気の層の        厚さは、ほとんど同じと考えられるが、温度が高くなっている理由は?です。        その後、理由を考えてみた。放射温度計が計測しているエネルギーは、        天頂からの電磁波の反射分+鏡自体が放射する電磁波の合計値であろうと思い至った。        即ち、放射温度計は、鏡そのものからの放射温度を計測していたことになる。        なお、天頂からの低温のエネルギーと鏡からの高温のエネルギーの合計値が放射温度計        にセンスされているものと考えられるが、両者のエネルギーを個別的に取り出すことは困難である。  
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#880 実験88    容器を外から加熱すると、やがて容器内の空気の温度が上昇してきます。    容器のサイズや容量によって、温度の上昇の仕方が異なります。    どんな程度の違いがあるのか、実際に計測して、比較してみましょう。 #881 実験タイトル=容器内の空気の温度上昇 #882 実験の狙い=容器内の空気の温度上昇を測定する    各種の容器を勢ぞろいした写真(左)、実測の風景(右) #883 実験装置の製作 and/or 準備 ・容器各種、ヘヤードライヤー、赤外線放射温度計、デジタル温度計、鉄板、薄板を用意する。    ・ヘヤードライヤー〜容器の距離はすべて20cmとする。 #884 実験の実行と結果    ・容器内部の空気の温度、容器の外部の表面温度を計測する。    ・鉄板や薄板についても、どんな程度か計測してみる。 ・温度の計測値(単位℃)を示します。(--の部分は、温度上昇が速いため、計測していません。)    ・鉄板と薄板の温度上昇は、ヘヤードライヤー側(おもて面)の反対側の裏面で計測しました。
容器名称サイズ00sec30sec60sec90sec2min3min4min5min表面温度室温
ビール缶350cc20253032--------4820
ペットボトル0.5L20232527--------5020
ペットボトル1.5L21232730--------5421
梅酒のビン16cmφ21212122222324255421
ポリバケツ24cmφ22222222232425265222
花火入れの缶24cmφ22222323242526285322
鉄板2mm厚22313739--------4422
薄板3mm厚20263538--------4720
#885 実験を効果的に行うための工夫、注意点等 ・ヘヤードライヤーを長時間つけっぱなしで実験すると、オーバーヒートするかも知れません。要注意です。 #886 実験の解説 and/or 関連実験 ・容器の材質が金属製の場合、容器内部の温度上昇が早い。    ・容器の容量が大きいほど、温度上昇が遅い。    ・実験時間をどの程度長くするかによって、空気温度の最高到達点が決まる。    ・鉄板も薄板も表面を加熱後、裏面への温度伝達が思いのほか速い。    ・今回の実験は、おおよその傾向を知る、見当をつけるための小手調べ的な実験です。    ・容器の内部では暖気と寒気による対流が生じているようです。     計測値が上昇してきたな、と思ったらまた低下することもありました。      #887 【追加実験、考察等】    ・今回の実験における温度上昇は、「放射、伝導、対流」のいずれも寄与していると推定されます。     しかし、どれがどの程度寄与しているかは分かりません。    ・ただし、鉄板と薄板の温度上昇は、「伝導」だけによるものです
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#890 実験89    数年前、東京お台場の船の科学館で台風展があり、そこで説明員として参加しました。    その時、空気の力、すなわち風で水の波を作る装置がありました。原理的には、同じ仕掛けで、    水の波を作ってみましょう。円形の容器に波を起こしてみましょう。 ●=この実験は、目下仕掛中です。 写真は、うまくできたら掲載します。 #891 実験タイトル=波を起こす #892 実験の狙い=波を起こす体験をする #893 実験装置の製作 and/or 準備 ・ボウル、お椀、円筒形の容器或いは茶筒、ビニールチューブ或いはストロー、水 #894 実験の実行と結果 ・写真のようにお椀と円筒形の容器を組み合わせ、外側のお椀に水を入れます。    ・さらにこれら全体を、大きなボウルの中に設置します。(水が外にこぼれないようにするためです。)    ・ビニールチューブから息を吹き出し、水面に吹きつけます。    ・ビニールチューブの吹き出し角度、水面からの高さ、吹き出しの周期、強さ等、さまざまな要因が     波の形成と発達に寄与すると考えられますが、余りうまくいきませんでした。    ・原因は、波がすぐに減衰してしまうからです。減衰の原因は、吹き出した息・空気が波の形成に     効果的に寄与していない、と考えられます。ほとんどが周りの空気中に逃げて行ってしまいます。    ・このため、改良して再試行しようと考えています。 #895 実験を効果的に行うための工夫、注意点等    ・吹き出した空気を外へ逃がさない工夫が必要です。蓋をするとよいかも知れません。     ・また、空気を安定的に供給する装置があると自分にとっては疲れませんが、     費用がかかったり、図体が大きくなったりします。実験02、空気で遊ぶ実験 を参照してください。     図体の大きい一例は、巨大な袋を使い、そこから空気を吹き出す方法です。     風神・雷神の空気袋のようなものを用意し、空気を吹き出します。  #896 実験の解説 and/or 関連実験 ・水の波を起こすには、力が必要です。    ・継続は力なり、の諺(ことわざ)がありますが、力の継続が風を起こします。 #897 【追加実験、考察等】    ・実験#37、寒冷前線 の実験で使用する細長い水槽で、長手方向に振動させるとき、波が形成されます。          ・実験#43、ワイングラスで音楽を 実験#44、イルカの玉突きも波、振動を発生しています。    ・実験#A2、カルマン渦 における、洗面器の水面にできる波は、船が進行するときにできる波と同じです。 ・波を起こす方法はさまざまありますが、気象で扱う波は、空気そのものの波動で、風を波として     感じることは少ないです。ただし、雲がさまざまに規則正しく連なって見えるときがありますが、     そのときには、そこに何らかの空気の波動があると考えられます。    ・地震による津波も波ですが、これは、陸地が揺れることに起因する波です。 先頭へ戻る 気象科学実験教室、一覧表 キッズの気象実験、一覧表
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