50   D*27 地上気象観測

     地上気象観測は、現在約160か所の気象台、測候所等で行われています。       地上気象観測装置       ・気象官署では、地上気象観測装置に装備された          気圧計、温度計、露点温度計、風向風速計、雨量計          日射計、日照計の7種、          および降雨強度計、感雨器        にて自動的に観測し、通報しています。      地域気象観測システム:アメダス       ・さらに、局地的な異常現象を常時監視するため。        地域気象観測システム:アメダスとよばれる、        無人の地域気象観測所が        全国約1300か所(17km間隔)に設置され、          毎正時に自動送信しています。       ・このうち、約470か所では、雨量だけの観測を、        さらに、 約840か所(21km間隔)では、          4要素(雨量、風向風速、気温、日照)を、          −−>雨量計、風向風速計、気温計、日照計で観測。             この840のうち、約200か所では、             積雪深計での観測も実施されています。       ・雨量、風速の10分毎の値が基準値をオーバーすると、          −−>臨時に・自動的にセンターへ送信されます。                     −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *27        地上気象観測
51   D*28 レーダー気象観測        (省令1二)
     全国19か所の気象レーダーにより、         7.5分毎に降水の強さ、         水平・鉛直方向の広がり等を観測します。         降水域の範囲、強さ、移動などを把握します。      アメダスによる地上の雨量観測値 + レーダーの(5km四方)1時間積算降水強度データ      の組み合わせ−−−−−> レーダー・アメダス雨量合成図が作成されます。          (アメダスでは、17km四方までしかカバーできないですが、           レーダーはもっと細かく、局地的な大雨の監視ができます)      レーダー・アメダス解析雨量は、           降水短時間予報の初期値として、又           記録的短時間大雨情報の提供等に      使用されます。      レーダー:メソスケール規模の気象現象、特に           集中豪雨や突風等の激しい気象現象の           観測・把握に適しています。      省令1二に、種目「降水現象」の観測方法は、          「レーダーを用い、又は目視による。」と規定されています。      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *28      レーダー気象観測
52   D*29 高層気象観測(省令1二)
     高層気象観測は、      全国18か所の観測所及び      4隻の観測船で行われます。      レーウインゾンデにより、         1日、2回(9時と21時に)         約30kmの高さまで、         気圧、気温、湿度、風向・風速等を観測。      レーウインにより、         1日、2回(3時と15時に)         約15kmの高さまで、         風向・風速を観測。      気象ロケット観測所では、         打ち上げられたロケットからパラシュートを降下させ、         毎週1回、         約60kmの高さまでの         気温、風向・風速等を観測。       これらの観測データは数値予報に用いられます。      省令1二には、「気圧、気温、湿度の観測方法は、         自由大気(境界層よりも上空)にあっては、         ラジオゾンデ、メテオログラフ等による」とあります。     レーウインゾンデ=レーウイン+ラジオゾンデ                                                                     −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *29        高層気象観測  
53   D*30 気象衛星観測
     東経140度、35800km高度      衛星直下点を中心として、      半径6000kmの範囲の観測。      赤外画像と可視画像を組み合わせて       ・ 雲の種類や地表面の状態についての情報が得られる。      可視・赤外走査放射計により、       ・ 雲の分布             (気象じょう乱を知る       ・ 氷・雪の分布           (海氷・雪氷の状態       ・ 雲頂温度や雲のない場所の     (雲の高さ           地表面、海面の温度分布    ( および地球表面温度       ・ 気温・水蒸気量の鉛直分布       ・ 地球が反射する太陽エネルギーの量 (地球と        ・ 地球自身の射出する放射エネルギー ( 太陽の熱収支        ・ 太陽粒子の観測          ( および長期予報に利用        気象観測網の不足をカバーし、デ−タの乏しい洋上等において、       ・ 台風、前線、低気圧等の気象じょう乱を的確にとらえる。       ・ 長期予報、海洋現象の予報の基礎データとなる。       省令1条二で定める      気象衛星に搭載された放射計を用いる観測の種目は:       ・ 気象:雲の表面の温度分布及び状態       ・ 地象:気象に密接に関連する地面及び地中の諸現象              ・地面の温度分布              ・地面の状態       ・ 水象:海面の温度分布及び状態      赤外画像の波長:10.5〜12.5μm、分解能:5km      可視画像の波長: 0.5〜0.75μm、分解能:1.25km                                    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *30        気象衛星観測   
54   D*31 海洋気象観測(法7、省3、4、5)
              海洋気象は、長期予報や気候変動の観点から、        海面高水温現象(エルニーニョ)は異常気象の観点から、        高潮・津波等の潮夕現象は防災上の観点から        種々の方法・手段により観測が実施されています。      ・海洋気象観測船         ・海洋気象ブイロボット            日本周辺海域および        4基で、気象、波浪、水温等        西太平洋海域にて、        の観測                観測の定線上の測定点毎に    東シナ海             5〜60海里間隔で、      日本海                 海洋の表面から海底まで、    本州東方             水温、塩分、海流等の観測、    四国沖              海洋の大規模・長期的な        変動を把握・監視                         ・商船等による観測             凌風丸 本庁           −−>法7条等の船舶の          啓風丸 本庁              観測成果の報告義務         高風丸 函館海洋気象台        (*57参照             春風丸 神戸海洋気象台        長風丸 長崎海洋気象台        清風丸 舞鶴海洋気象台     ・人工衛星による海洋観測                           気象衛星ひまわり                              極軌道衛星NOAA                            海洋観測衛星TOPEX                               ・検潮所での観測     ・沿岸波浪計               検潮儀による、      11か所、                   津波・高潮等の監視    波浪の予報・警報、                            沿岸波浪図作成等に利用      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *31        海洋気象観測
55   D*32 航空気象観測(法8、省6、9、*58)
     航空気象業務は、ICAOの規定に基ずいて実施されています。      航空機の安全・効率的運行のため、        着陸・離陸時、上昇・進入時、巡航時に、      それぞれ特有の気象情報を必要とします。                           ・72の航空気象官署、     ・国内主要9空港で、             13の航空気象観測所で、    100km以内の空域の            空港・その周辺の気象観測。  降水分布等の観測。                             定時の観測以外に、                             天気悪化時、               (航空機の報告義務;法8条)   臨時の特別観測が実施される。                            航空気象観測の項目:      ・視程と : VMC,IMC,WM(下記)に関係する        雲底高度    (視程  :目視による卓越視程のほか                (     滑走路視距離観測装置による観測               (雲底高度:目視、シーロメーターによる観測      ・地上風 : 揚力に影響、横風による離発着の可否等                 (風向・風速 滑走路付近数か所で観測)      ・気温  : 揚力、積荷の重量・積載燃料等の運行計画           ・気圧  : 自機の飛行高度を知る                    ・天気現象: 雨、雪等の滑走路上の状態に関係する                                             シグニフィカントウエザー:        ・航空機の運行に著しい影響を及ぼすおそれのある気象現象:           (強い乱気流、活発な雷雲域、強い着氷、           (台風、顕著な山岳波、強いひょう等      空域情報:シグニフィカントウエザーの発生時、注意を喚起するため、           (国際線用にシグメット情報(SIGMET)、           (国内線用に空域悪天情報(ARMAD)が発表される。 (*58      VMC 有視界飛行気象状態 : 滑走路上の全てを目視できる      IMC 有視界飛行気象状態 : 無線施設等の援助を必要とする、      WM  ウエザーミニマム  : 離発着の最低気象条件、特別観測実施       ------------------------------------------------------------------------    1章  気象業務法     *32        航空気象観測
56   D*33 気候変動の観測(省令1二)
     異常気象、地球環境問題として、地球温暖化、オゾン層破壊、      酸性雨、森林破壊、砂漠化等があげられます。      これらの問題に対応するため、気象庁では、      気候変動の観測・監視・研究等の業務を下記のように行っています。      (省令1二に、大気の微量成分の観測方法の規定があります)      ・大気バックグランド汚染観測  ・海洋バックグランド汚染観測        WMOの全球大気監視      地球温暖化の原因とされる        (GAW)計画の一環。     二酸化炭素等の温室効果気体は、        地球規模の汚染の実態を     海洋中に溶け込んでいます。        長期的・客観的に把握。      このため、        大気組成を、岩手県綾里     海洋気象観測船「凌風丸」にて        気象ロケット観測所で、     定期的に、洋上大気および        ・大気混濁度、         海水中(表、中、深層)の         降水・降下じん等の       ・二酸化炭素、フロン、         化学成分の観測の他、       一酸化二窒素、メタン、                          一酸化炭素、四塩化炭素、        ・二酸化炭素、フロン、      および海水中の          一酸化二窒素、          ・有機炭素、有機窒素の         地上オゾン、メタン、        観測を行っています。         一酸化炭素、四塩化炭素、         トリクロロエタンの観測。      ・オゾン観測及び紫外域日射観測       地上から大気上端までのオゾン量の観測を、         札幌、筑波、鹿児島、那覇、南鳥島、南極昭和基地で、       紫外域日射(有害紫外線)の観測を、         札幌、筑波、鹿児島、那覇、南極昭和基地で、行っています。      観測の成果は、気象庁内(温暖化情報センター、オゾン層解析室、      エルニーニョ監視センター)で収集・解析が行われ、      「異常気象レポート」、「地球温暖化監視レポート」、      「エルニーニョ監視速報」等として、発表されています。      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *33       気候変動の観測   
57  D*34 観測網
  観測網       気象庁長官の法第1条の目的達成のための       観測に関する任務として、       法第3条に、        ・気象、地震及び火山現象に関する観測網を確立し、         及び維持すること。        ・気象の観測、予報及び警報に関する情報を迅速に交換する         組織を確立し、及び維持すること。       と定められています。    長官の義務          関係法令                    気象観測の実施および     気象業務法の上位規定・            観測成果の伝達は、      関連規定として、               表裏一体となって       WMO条約、ICAO条約、          機能する必要があり、     災対法、水防法、消防法等があり、       そのための施設・組織の    それぞれの目的に応じた            設置・展開・維持を      観測が求められています。           気象庁長官の       義務規定としています。                          世界気象機関(WMO)による世界気象監視(WWW)計画:                  ・全世界的な     ・気象通信網の    ・気象データの       観測網の整備と    整備と        処理方法の統一。       気象測器の規格統一。 通信手順の統一。  (全球データ処理組織      (全球観測組織:   (全球通信組織:   :GDPS)       GOS)       GTS(*69)                        相互補完 :  国内の観測網の不足を補うため           気象庁以外の者の観測を委託・届出制により行う。             −>法5条、6条                             −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−      1章  気象業務法     *34           観測網
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