法律の基礎知識

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 当節では、気象業務法に入る前に、ひと通り知っておくべき    法律の基礎的な事項を、確認しておきます。      1) 法律の対象とする人      2) 法律の種類      3) 刑罰の種類      4) 法の優先      5) 行政法・許認可について      6) 条文解釈上の留意点      7) 解釈の種類      8) 用語         9) 法規の参照    とくに許認可、法令解釈・用語については、条文を理解する上での    助けとなりますので、必ず目を通しておいて下さい。    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−    序章3 法律の基礎知識  
8  序章3 法律の基礎知識     1) 法律上、対象・主体となる「人」は、        生きている人   (死亡で終わる                 (自然人        団体としての法人 (解散で終わる                 (国、地方公共団体、                  学校法人、宗教法人、社会福祉法人、                  労働組合、協同組合、                  株式会社、有限会社等  気象業務法の対象とする人・もの    2) 法律の種類                    条約  (国家間の取決め        法律  (国会が制定する        政令  (内閣が制定する命令         総理府令(内閣総理大臣が発する命令        省令  (各省の大臣が発する命令        条例  (地方公共団体が制定する        規則  (その他の命令    3) 刑罰の種類について(7種類ある)        死刑、懲役、禁固、罰金、拘留、科料、没収        気象業務法関係分は次の2種類です。           ・懲役 (拘禁し強制労働を科す。                無期又は有期           ・罰金 (1万円以上、上限なし           (なお、過料は刑罰ではありません)    4) 法の優先:                   いくつかの法令が競合する場合、        次のような優先適用の判断がなされます。                 ・ 所管事項はその所轄官庁にて処理する        ・ 上級法は下級法に優先する        ・ 後法は先にできた法よりも優先する        ・ 特別法は一般法よりも優先する    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−    序章3 法律の基礎知識
9  序章3 法律の基礎知識     5) 行政法令における許可制度について:        人が、ある行為、ある事業、ある業務をおこなおうとする場合、      行政機関の許可を受けなければならないことが多い。 この許可制度に関する規定を項目のみ掲載します。      これらは、許可制度の一連の順序とも考えられます。      許可制度の一連の順序            本文参照先--->本文第一部 申請・許可 1. 許可の申請            *76〜 2. 申請の処理:審査                                    3. 許可の基準            *89〜 4. 受理後の申請処理期間                                    5. 許可の公証書類:許可証       6. 許可取消しと事業などの停止の処分 *99 7. 許可事項などの変更        *96 8. 許可の効果の引き継ぎ            人的な許可は、            その死亡により許可の効果の            引き継ぎは不要であるが、            事業を相続・譲渡・合併等した場合の            許可の効力の引継ぎ規定。 9. 業務の運営方法についての規制   *89 10.手数料                                                                   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−    序章3 法律の基礎知識
10  序章3 法律の基礎知識     6) 条文解釈上の留意点       条文は、日本語の文法・言葉で記述されています。       ただし、日常用語とは意味合いが異なる場合があります。       下記項目に留意し、言葉の用法、定義を理解した上で、       条文の正しい解釈につなげて下さい。            1. 法令条文は、法の意図、主旨を表現したものです。        解釈・判断の基本的なよりどころとなります。     2. 目的遂行のための「行為」が「人」に対して規定され、        「人」により実行されます。     3. 「行為」はメイン・アイデア、主体・対象として        最も強く意識されるものです。        (これに相当する語句として、一事一件主義、         一条一文主義、One subject clause 等があります)     4. 法令条文を難解にしている技術的な仕組みは、        第二義的であり、根本的なことではありません。        しかしながら、(8)「用語」を参照し、        最小限度の用語だけは、理解しておいてください。     5. 法令の適用ステップ:           事実の確定−−−>法令の発見・検認−>         −−−>法令の適用−−−>法令の解釈−−−>最終判断        法の解釈には、文理解釈(条文の字句通り解釈する)と        論理解釈(法の主旨から判断)等の解釈があります。     6. 科学は、何が真理truthかを論ずるものですが、        法は、何が正義justiceかを論ずるものです。        前者は客観的事実の現象を、後者は人間の価値判断を、        それぞれ判断基準としています。     7. いずれにしろ、法も科学も、論理的法則に基ずき、        客観的に結論を出さなければなりません。    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−    序章3 法律の基礎知識
11 序章3 法律の基礎知識             7)解釈の種類:      条文の解釈は、法規的解釈、有権解釈、学理解釈に大別されます。      各解釈は、さらにブレイクダウンされ、例えば      学理解釈は、さらに文理解釈、論理解釈等に分けられています。      イ) 法規的解釈         1.定義規定         2.目的規定         3.趣旨規定等      ロ) 有権解釈、統一解釈、公定解釈         所轄官庁による、公けの解釈         (裁判所の判断ではない。      ハ) 学理解釈         1.文理解釈(文字・文法的解釈         2.論理解釈:         2−1.拡張解釈  (Aが含まれるなら、Bも含まれる         2−2.縮小解釈  (Aのなかには、Bは含まれない         2−3.勿論解釈  (Aなら当然Bも含まれる         2−4.反対解釈  (規定されていない事項の肯定         2−5.類推解釈  (Aの規定は、類似的なBにも及ぶ         2−6.条理解釈等 (ものごとの道理を判断基準とする    これらは、法文の真の意味を明らかにするための技術的手法です。    法文を勝手気ままに、場あたり的に解釈することは許されません。    問題文においても、「真の意味か」、「勝手気ままな解釈か」が    解答の正否につながります。    この種々の解釈を理解しておくと、問題文の創作・解答に    理論武装を与えることとなり、    又、話しにひとつの力強い筋を通すこととなるでしょう。          −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−    序章3 法律の基礎知識         
12 序章3 法律の基礎知識 
      8) 用語 代表的な法律用語を理解しておきます。 法律用語の詳細は文献を参照して下さい      及び  :A、B、C及びD  複数語を結合する。      並びに :A、B、C及びD並びにE  と表現する。           結合順序は、           先行語群(A、B、C、D)をまず結合し、           次に、 (結合された語群)とEを結合する。           結合された語群(A,B、C、D)とEは           同格として意識される。      又は  :A,B、C又はD  語群から一語を選択する。      若しくは:A、B、C若しくはD又はE と表現する。                 選択順序は、           (A、B、C、D)から先ず一語を選択し、           (選択された一語)とEから一語を選択する。           語群から一語を選択するのは 又は と同じ用法、              ただし、又は に前置され、かつ組合わせて用いる。      その他 :Aその他B   AとBは並列      その他の:Aその他のB  AはBに含まれる、AはBの例示      者   :法律上の人格者(人、法人)      もの  :法律上人格の無い団体若しくは者又は両者           (上記の 又は・若しくは の説明を参照)      準用する:個々の規定を借用する      例による:法制度を借用する      時   :時期、時刻を強調する      とき  :場合、仮定的条件をあらわす    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−    序章3 法律の基礎知識
13 序章3 法律の基礎知識     8) 用語(続き)    ・しなければ    一定の行為を積極的にすべき義務を        ならない  定める(作為義務)    ・してはならない  ある行為をすることを禁止する義務を              定める(不作為の義務)    ・することができる ある種の権限を付与。    遅滞なく      正当・合理的な理由があれば遅れは許される。期限付の条文    直ちに       踏むべき一定の手続きを経ずに。              一切の遅延は許されない。    すみやかに     「遅滞なく、直ちに」の中間的な時間    ・・日以内に    通常初日(当日)は計算にいれない。    届け出       行政庁に一定の事項の通知をする。    申請        行政庁に許可・認可等の処分を求める行為。              行政庁は、諾否の応答をすべきとされている。    許可        誰でも自由にできる筈の行為を、公共の              福祉という要請から、一般的に禁止し、              これを特定の場合に解除し、適法にその              行為ができるようにする行政行為。        認可        基本となる法律行為の補充、法的効力の完成。    委任        法律行為その他の事務行為を委託する。    委譲        「権利を委譲する」という使い方をする。    通知        行政の意思・処分を特定の相手方に知らせる。              一連の手続きの一部として行なわれる。    廃止        事業等を完全にやめる。    休止        事業等を一時的にやめる。    刑罰        懲役、罰金等7種類あり。    処分(=行政処分) 許可・認可・決定・禁止・免除等。    罰金        刑罰の一種    過料        刑罰ではない。懲戒・秩序罰。    被告        訴えを提起した者が「原告」、              その相手方を「被告」という。    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−    序章3 法律の基礎知識   
14 序章3 法律の基礎知識     9) 他の条文・法令の参照      気象業務法               法4 -----  ---------→ 政令1            | | | |       法9 -----|--  ------→ 政令4 ---- | | |             ------------→ 省令1 | | |       法13-----------     省令8←---                                    法14-----                      |       災害対策基本法             ----------→  水防法10                    消防法22                                         気象庁予報警報規定                       気象等証明及び鑑定規則                    気象測器等委託検定規則      気象業務法は、政令、省令、防災関係等の法律を参照します。      条文番号、政令番号、省令番号で参照先をを示します。      また、      ・省令に定める、政令に定める、法に定める      ・準用する、読み替える、例とする     等の記述方法により、他の条文を参照します。          法に参照先が明示されなくとも、他の法規に関連規定が     あることがあります。 本書は、本文第1章の A〜N 及び *1〜*100 のグループ化 によって、散在している法律の条文を極力一つのアイデアの下に寄せ集めようとしています。                  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−    序章3 法律の基礎知識
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