一般気象学輪読会 (#04 : 1999.03.27)
#04 001-04-069 [質問名:大気の鉛直安定度でΓdの線を、どこに描くべきか] #04 002-04-072 [質問名:スコールラインに直角な方向とは] #04 003-04-093 [質問名:雨粒の成長図の上昇速度の根拠] #04 004-04-082 [質問名:食塩粒子の半径の算出根拠は] #04 005-04-085 [質問名:水滴半径の増加について] #04 006-04-096 [質問名:雪の結晶の形の変化] #04 007-04-106 [質問名:積乱雲中の降水粒子の落下のきっかけは] #04 008-04-094 [質問名:氷晶の芽が作られる4つの過程] #04 009-04-087 [質問名:レイノルズ数、無次元量とは?] #04 010-04-exa [質問名:上層の巻雲は下層雲に較べ温暖化の作用が大きい理由] #04 011-04-exa [質問名:重相関回帰方式、ニューラルネットワーク、カルマンフィルターとは何か] #04 012-04-076 [質問名:...分子は比較的自由に水滴が離れる」文章の意味が分かりません] #04 013-04-082 [質問名:食塩粒子が半径0.05μmの液滴になる理由] #04 014-04-098 [質問名:雪結晶に対する過飽和水蒸気密度の差,の意味がよく分かりません] #04 015-04-041 [質問名:容積(ΔZ)とは何?体積とは違うのか?] #04 016-04-066 [質問名:expは指数関数か?] #04 017-04-070 [質問名:高度とともに風向が変わっていて−−>どんな状態になっているか] #04 018-04-105 [質問名:レーダーエコー図で、「OC」とあるのは何か] #04 019-04-096 [質問名:水滴(過冷却)よりも氷粒がはやく成長する(水蒸気が昇華する)ことの理解] #04 020-04-hon [質問名:露点温度は気圧によって決まるとあるが理解できません。エマグラム上で説明して下さい] #04 021-04-114 [質問名:太陽放射エネルギー量、放射強度]
#04 001-04-069  [質問名:大気の鉛直安定度でΓdの線を、どこに描くべきか]

質問  3.9. 大気の鉛直安定度   P69. 図3.12において   Γdの線をどこに設定すれば良いのですか。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・大気の静力学的安定性は、地球重力下で、「浮力」がキーワードになります。 ・浮力は、同一高度での密度の比較を行います。−−>アルキメデスの原理の適用です。 ・このように「比較」すると言ったとたん、それは「何と何を」比較するのかを  はっきりさせる必要があります。 ・この場合は、(1)もとから存在している、いわゆる環境大気 と、        (2)持ち上げられる(上昇する、テストピースとしての)大気塊  の2者が当事者になります。 ・「グラフ上の線」は、どちらのものでしょうか。 ・この線の所有者も確定する必要があります。 ・ご質問のΓdの線がどれなのか、あるいは描かれているのか・いないのか  本文では判然としません。 ・しかし、本文を注意して読むと、「20Cの空気塊を100mに持ち上げた時19Cとなる」  と言う旨のことが書いてありますので、Γdの線は中立と書かれた線に同じと考えられます。 追記)本文中のグラフは何を説明しようとしているのかにも留意して下さい。
#04 002-04-072  [質問名:スコールラインに直角な方向とは]

質問          Q2. P72. 第2パラグラフ 2行目 ...スコールラインに直角な方向... とありますが平行ではないですか。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・図3.14のスコールラインは、南北方向にあります。 ・図3.16は東西方向の図です。 ・従って、本文の記述通り、この図は南北方向に「直角」とかんがえられます。 参考)「スコールライン」については、    「メソ気象の基礎理論」p.155第10章に詳細な説明があります。    時間が許せば同書で研究してみると、大変勉強になると思います。 
#04 003-04-093  [質問名:雨粒の成長図の上昇速度の根拠]

質問 Q3.   4.4. 併合過程による雨粒の成長 P93. 図4.15において   (a) 雲の中には1ms−1以上の上昇気流あり   (b) 雲の中の上昇速度は雲底で約1ms−1,雲頂では約4ms−1である   とP94に説明があるのですが、その根拠はどこにあるのですか。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・この図は、数値計算の結果である旨p.93最下段1−2行目に記載があります。 ・1973年の文献に詳しく書かれていると想像しますが、  多分、観測結果をモデル化し、数値シミュレーションしたのではないでしょうか。 ・小倉先生に確かめてみるとよいかも知れません。
#04 004-04-082  [質問名:食塩粒子の半径の算出根拠は]

質問         Q4.   4.2 エアロゾルと凝結核   P82 上から3行目   ...質量10−19kgの食塩粒子(乾いている時の半径にすれば0.022μm)...   とありますが、その算出根拠は ? -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・食塩粒子は、多分ゴツゴツした角張ったものでしょうが、ここでは、球形と考えているようです。 ・もし球形なら、4πrの3乗/3で体積が計算出来ます。 ・食塩の密度は、理科年表1955P.439 によれば、2.17g/cmの3乗です。 ・質量が10の−19kgと与えられていますので、 ・以上より半径の計算が可能です。
#04 005-04-085  [質問名:水滴半径の増加について]

質問    P.85図4.8の(b) 併合過程の図で、(a)と交差したあと、急激に水滴の半径が増加しているが、この後 はどうなるのでしょうか。 又、この図の時間の単位及び水滴の半径の単位はどの位でしょうか。 (水滴が一定の大きさになると表面張力が弱くなり、分裂するように思います) -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・「交差」は、意味をもっているとは考えにくいですが、  p.90の併合過程の説明により、水滴半径は加速度的に大きくなるようです。 ・但し、2mm(2000μm)以上にはならないようです。 ・表4.1より分かることは、いずれの半径でも終末速度があります。  即ち、落下と言うことが考えられます−−>そして,最後には、0.5〜2mmの水滴  となって地上に到着するようです。   ・表4.1(拡散過程)をよく読み、想像を働かせて下さい。 ・元の水滴のサイズが仮に1μmの場合10分の後には、1900倍になる。  そうすると約2000μmとなる。そのとき、表4.1の半径2000のところを  見ると、成長%=0.005となっていて、殆ど成長は止まってしまうようです。 ・水滴の半径の単位は−−>1〜20μmのサイズですが、              サイズの増加速度は、等比級数的のようです。  ・時間軸は「分」のオーダー、水滴は1〜1000μmのオーダーと推定されます。   (前頁第2パラグラフ1行目、p86.表4.1を参考) ・(水滴が一定の大きさになると表面張力が弱くなり、分裂するように思います)   については、   −−>p.89:最大半径7mm以上を越える雨粒の観測はされていない, の記述が答えになりそうです。
#04 006-04-096  [質問名:雪の結晶の形の変化]

質問    P.96〜98図4.17 雪の結晶について、図4.17で−4〜−10Cと −22〜−40Cの骸晶角柱や角柱は、形が同じなのか違うのか。 図4.16のaとbが温度によってどう変わるのか。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・「骸晶角柱や角柱は、形が同じなのか違うのか」....う〜〜ん。??です。  基本形は、同じと考えられます。以下調べた範囲内ですが、、、、 ・角柱は水蒸気の過飽和度が大きいと、写真bの様にc軸方向(長手方向)に発達します。  (基本形とは、下記追記の六角プリズムです) ・雪の結晶の形は「晶癖(柱状か板状かの違い)」と         「過飽和度、成長の型(骸晶、針状や樹枝状)」  によって決まるようですが、写真のa、bは温度によってこうなったものです。  このあと、水蒸気の過飽和度や、気温の低下によっては、  針状に「成長?」することが考えられます?? ・但し、板状の結晶<−−>角柱状の結晶が相互に変わる事はなさそうです。 下記文献によれば、 ・雪の結晶の基本形は、「六角プリズム」(8面体)であるということです。 ・六角プリズムは平面にa軸、b軸、長手方向にc軸が考えられています。 ・温度と過飽和度が外見的形状を決めるようです。 ・[温度−−>板vs柱状]  [水蒸気量−−>多面体(8面体)vs樹脂状or針状] ・ゆっくりした、変化のときは、8面体を保つことが出来るようですが、  急激な変化のときは、多面体形状を保つことが出来ず、針状、樹枝状になって  しまうようです。 ・8面のうち、上面底面vs柱面のどちらの成長速度が大きいかによって;        上面底面の成長が速いと六角柱状結晶となる。        6面ある柱面の成長が速いと六角板状の結晶が現れる。  ・この変化[晶癖変化という]は、温度の低下につれ、3度起こるらしいです。 ・なお、これらの形は、分子配列の違いによるもののようです。 追記)前野紀一著「氷の科学]p.144−149 および、    木下誠一著「雪と氷のはなし」p.60−65が大変参考になります。
#04 007-04-106  [質問名:積乱雲中の降水粒子の落下のきっかけは]

質問    P.106 図4.23 の対流セルの発達の中で、降水粒子がt2まで上方に運ばれた後、落下しはじめるとあるが、 この変化はどんなきっかけで起きるのでしょうか。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・層状の雲においては、降水粒子は雲頂またはその近くで生成される。 落下途中で、氷が融けて  エコーバンドが観測される。とありますが、、、 (P.104−105)    しかし、積乱雲の場合の降水状況は大分異なるようです:即ち、  p.105第2パラグラフ2行目あたりの記述によれば、 ・積乱雲中の降水粒子は、強い上昇気流(1−30m/s)により、上空へ運ばれる途中で  成長する。 ・上昇中に成長し、十分重たくなった降水粒子を、上昇流が支えきれなくなります。 ・即ち、大気の上昇速度による「持ち上げ力」と、降水粒子の重力により「落下しようとする力」の     釣合が崩れたときが「落下のきっかけ」となると考えられます。 ・なお、落下が始まる具体的な「時間・高度」については、多分どこかに実験式や実例が     あるでしょうが、そこまでは調べきれません。 
#04 008-04-094  [質問名:氷晶の芽が作られる4つの過程の違いについて]

質問 p.94−95L2 氷晶の芽が作られる4つの過程でここで述べられている第2の過程”過冷却の水滴がある種の 微粒子と接触して凍結する場合”と第3の過程”過冷却水滴の中に微粒子が含まれていると、 それが核として働き凍結させる場合”の違いが不明。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 氷の結晶・粒子を氷晶と言い、その氷晶の成長を手助けする粒子を氷晶核といいます。 「氷晶の芽」等圧面はなにを意味しているのかよく分かりませんが、 本文によれば「氷晶の芽」がつくられる過程には4種類があります。 ご質問は、第2、第3の過程の違いを明らかにすることにありますが、 他の文献(大気科学講座2、雲や降水を伴う大気、浅井・武田・木村共著や 気象の教室3、水の気象学、武田等共著)を調べても その違いの説明が見あたりません。 高橋、中村等著、雪氷防災P.53に参考になる記述がありますので、引用させて戴きます。 「雲内の水分が液相(水滴)から固相(氷)に変わる過程として次の二つが重要である。 @過冷却水と氷との飽和蒸気圧の差を推進力として、過冷却水滴の蒸発により  供給される水蒸気が空気中を拡散、氷粒子に到着して凝結する過程(昇華凝結過程)。 A雪結晶が過冷却雲内を落下する途中、過冷却水滴との衝突併合を繰り返して  成長する過程(衝突併合過程)。 雪の結晶は前者の過程を経て成長するのに対し、雲粒付き結晶、あられ、氷晶などが 後者の過程で生成される降雪粒子である。」 と、あります。ご参考までに。 (同書には、「雪結晶の国際分類表」も記載されています。  さらには、P.55に、雪の結晶形の観察により、その結晶の落下した経路の気象 条件(温度、過飽和度)を推定することが可能である、とあります。) ご質問の件は、物理化学的に説明がつくのかも知れませんが、私達にとっては、 4つの過程があることを「覚えて」置けば、今のところは十分ではないかと思います。 なお、「水滴の生成」についても確認しておいて下さい。
#04 009-04-087  [質問名:レイノルズ数、無次元の量とは何か]

質問 p.87 レイノルズ数とは?より具体的な意味の説明が欲しい。 また”次元のない量”とは? -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 レイノルズ数とは? 水や大気などの流体の「層流vs乱流」を研究・実験したりするときに、現象をモデル化して 考えるときに用いられる数です。日々の天気の予想に直結している訳ではありませんが、 気象では、乱気流、カルマン渦等が関係するでしょうか。 工学の世界では、船や飛行機の、デザイン・模型実験、建築のビル風など...が関係するようです。 ”次元のない量”についてですが、 「次元」とはLMT;即ち、長さ・質量・時間のことです。 そして、全ての物理量の単位はLMTで表現できます。 物理量は相互関係を持っていて、現象の特性を表すとき、例えば、物体の慣性や粘性を 組み合わせてみると、或る状態(たとえば、大気の安定性など)を表現することができ、 研究・検討上、都合のよいことがあります。 このような組み合わせを行った結果LMTの次元が全て0乗になることがあり、 その場合を「無次元」と言います。 気象では、リチャードソン数Riやロスビー数Roがよく用いられる無次元量です。 RI数やRo数の説明は気象の専門書を参照して下さい。
#04 010-04-exa  [質問名:上層の巻雲は下層雲に較べ温暖化の作用が大きい理由]

質問 学科一般7年度1回問10より。 「@雲は、日射を反射して地球が吸収する太陽放射を減らすので、大気の 寒冷化に寄与する。一方、雲は、宇宙空間へ放出される赤外線を減らすので、温暖化に寄与する。 この相反する作用は、雲の種類によって異なっており、例えば、上層の巻雲は下層雲に較べ 温暖化の作用が大きい」−−−>この設問(正しい)で下線部の理由が分からない。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 「地球温暖化」の現象を連想しますが、、、、 まさか上層の巻雲が地球温暖化に寄与しているとは考えられませんが、、、 さて、文脈からすれば、上層の巻雲は、下層雲に較べて宇宙空間へ放出する赤外線を減らすこと になりそうです。上層の巻雲は大部分が「氷粒子」から構成されていると考えられます。 一方、下層雲は大部分が「水滴」から構成されていると考えられます。 赤外線吸収は、この「氷vs水滴」の差異によるのではないかと想像します。 詳細は、目下分かりません。上記観点からご調査下さい。
#04 011-04-exa  [質問名:重相関回帰方式、ニューラルネットワーク、カルマンフィルターとは何か]

質問 学科専門(9年度2塊)問い11より 「平成8年3月以降のガイダンス作成には、従来の重相関回帰方式に変わって ニューラルネットワークやカルマンフィルターの方法が採用されている」 ここで挙げられている、重相関回帰方式、ニューラルネットワーク方式、 カルマンフィルター方式とは何か? またその移行により何がどう変わったか? -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 以下、脇田英治緒「数値解析のはなし」p.35−36& p59−69の一部を引用させて戴きます。 (これらの方式は天気予報のためのものとは限りません。) 重相関回帰方式: 目的変数Yを、その説明変数Xi&係数Aiでもって式を設定(仮定)する。     仮定式に説明変数を代入して得られるYと、観測値を代入して得られるYの差の     2乗の和が最小になるように、係数Aiを決める方式です。     ここで設定した式は、自然現象のモデルではありません。あくまでも仮定式です。     本当によくあてはまるか否かは別問題です。MOS方式がこれでした。 ニューラルネットワーク方式:     現象(システム、系)のあいだに原因と結果の存在することがわかっていても、     関係式が明らかでない場合があります。     この原因と結果のデータをそれなりに蓄積、記憶し(学習し)、     次の行動、予測、作業に適用し、軌道修正しようとする仕組みです。     土石流発生予測や地震の震源地推定などに応用されているようです。       カルマンフィルター方式:     入力を与えて結果(応答)が数値モデルで出力出来る場合は、別として、     系の応答結果から系の入力を推定する作業を行います。即ち、系の基礎方程式や     構造モデル(数値解析システム)を設定し、その応答値と観測値の間だの誤差が     最小になるように、入力定数やパラメーターを推定する方法です。     この方式に最小二乗法やカルマンフィルターがあります。         カルマンフィルターは、関係式の中に含まれている「ノイズ」を     観測値を用いて、式中のノイズを除去し、時々刻々推定する方式です。     観測精度や現象そのものにノイズ(乱れ)があっても、ノイズが正規分布に従うならば     カルマンフィルターによる状態量の推定は可能である、とのことです。      (この方式は、「確率論に基ずく逆解析法」と呼ばれています。)  移行により変わった点:よく分かりませんが、気象庁の担当者に聞いてみるとよいでしょう。
#04 012-04-076  [質問名:...分子は比較的自由に水滴が離れる」文章の意味が分かりません]

質問 P76のΔA/ΔV=2/r より7行目から10行目に掛けて 「つまり水滴が小さいほど分子はその水滴に入り込みにくく、水滴から分子が離れる時は表面積が 減ることになるので、分子は比較的自由に水滴から離れる」文章の意味が分かりません。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 水分子の、気体空間と液体空間の行き来のしやすさの話ですが、 水滴表面は表面張力のため、小さくなろうとするため、外から水滴内部への入り込みが困難で、 内部から外部へ出ていくのは、表面積が少なくてすむので、 「大歓迎」と言う事だろうと想像します。
#04 013-04-082  [質問名:食塩粒子が半径0.05μmの液滴になる理由]

質問 P.82の図4.6より2行目から7行目にかけて 曲線1により質量10−19kgの食塩粒子が半径0.05μmの水滴に融けていれば その溶液滴の飽和水蒸気は純粋の水平面の90%である<−−どうして90%になるのか。 いいかえると乾いているときの半径0.022μmの食塩粒子を相対湿度90%の空気中に おくと粒子は融けて半径0.05μmの液滴として平衡状態を保つ。 どうして半径0.05μmになるのか分かりません。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ??????????????????????????
#04 014-04-098  [質問名:雪結晶に対する過飽和水蒸気密度の差、の意味がよく分かりません]

質問 P.98図4.17縦軸のΔρgm−3は、(過飽和にあるまわりの空気の水蒸気密度と雪結晶 に対する過飽和水蒸気密度の差)とありますが、その意味がよく分かりません。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 先ず、「水蒸気、、氷、水滴、大気の混合物」の4者の存在をはっきり認識し、 さらに、「飽和、過飽和とはどんなことをさしているのか」をはっきりさせておかないと、 図の中の説明文は理解が困難となります。 即ち、飽和、過飽和という言葉が適用されるのは「水蒸気という気体」にたいするものであること を再確認して下さい。 その気体状態の水蒸気は、水滴にたいして、その水面上で圧力平衡します<−−飽和という。 また、同じく水蒸気は、氷にたいして、その固体面上で圧力平衡します<−−やはり、飽和と言う。 このとき、水蒸気は、液相と固相の両者にたいして異なった圧力で平衡します。 −−−>P.58の表3.4がこのことを示しています。 前置きが長くなりましたが、、、 「過飽和にあるまわりの空気の水蒸気密度」とは、「環境大気中の水蒸気が水滴にたいして 過飽和になっている」程度、即ち、水滴になりきれないで、余分に浮遊している気体の水蒸気の 分量、密度をあらわしています。 また「雪結晶に対する過飽和水蒸気密度」とは、環境大気中に氷晶が浮遊しているとして、 その「氷」にたいして、水蒸気が、過飽和になっている程度、即ち「氷になりきれないで」浮遊 している水蒸気の分量、密度を表しています。 (過飽和の「過」は「余分」と思えばよいでしょう。) (なお、ここで、水蒸気密度は、水蒸気圧力と読み替えてよいと思います。) 両者を結合して、液相面と固相面のおのおのに対する「余分な分量の差」が、図中の差である と考えられます。 この分量がおおいほど、針状結晶や樹枝状結晶の成長が促進されます。 以上、「余分な」説明になったかも知れません。
#04 015-04-041  [質問名:容積(ΔZ)とは何?体積とは違うのか?]

質問 物理量の単位 P.41L−3 容積(ΔZ)とは何?体積とは違うのか? P.89(L2) ρw=水の密度はいくらか? -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 単位面積(1m**2)に高さΔZを掛けると容積(体積)になります。
#04 016-04-066  [質問名:expは指数関数か?]

質問 相当温位 P.66(3.53式) θe=θ・exp(LWs/CpT) expは指数関数か? -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 その通りです。 Y=logXの時、 X=expYです。X=e**Y とも表現します。(**YはYのべき状の意) 指数と対数は、同じ事の裏返しの数式表現です。 目的に応じて使います。
#04 017-04-070  [質問名:高度とともに風向が変わっていて−−>どんな状態になっているか]

質問 逆転層 P.70(L1) (1)高度とともに風向が変わっていて−−>どんな状態になっているか? -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 3/27追加的に説明しました、潮岬の「ホドグラフ」を思い出して下さい。 たとえば、それです。
#04 018-04-105  [質問名:レーダーエコー図で、「OC」とあるのは何か]

質問 レーダーエコー図中、P.105図4.22とP.106図4.23の中で「OC」とあるのは何か -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 摂氏0度と考えられます。
#04 019-04-096  [質問名:水滴(過冷却)よりも氷粒がはやく成長する(水蒸気が昇華する)ことの理解]
         [質問者:湯浅典郎:03/27][解答者:佐藤 元:03/27]

質問 P.96L8−10「水面に対する−−−氷粒に対して過飽和である」と、 L15「水滴よりもずっと速く氷粒は成長できる」とあるのは 下のように理解してよいか。 三重点以下での同一温度Tにたいし、過冷却線と昇華曲線それぞれに対応する圧力を P2、P1とするとき、P1<P2だから、水滴(過冷却)よりも 氷粒がはやく成長する(水蒸気が昇華する) -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 う〜〜ん。です。 どの程度理解されているかにより、ご説明通りでもいいかもしれませんが、、、 ご自分で納得が行く説明でしょうか。。。。できれば、もう少し説明が欲しいのです。 図を見ればP1<P2はあきらかです。 何故、P1<P2なら、題意の現象となるのでしょうか。その点の説明を戴きたいのです。 #04 014-04-098 [質問名:雪結晶に対する過飽和水蒸気密度の差、の意味がよく分かりません] における解答も参考にして下さい。 「水蒸気が液体と固体にたいして飽和している場合、それらの共存状態で液体になりやすいか 固体になりやすいか」と言う命題の下でに答える必要があります。 水蒸気の圧力がたかければ、低い方に向かって相変化します。液体・固体いずれに向かっても 相変化が可能ですが、仮に水蒸気が液体(この場合過冷却水滴)になっても、平衡圧力が更に 低い固体(氷)が存在しているため、その液面からの蒸発がおこり、氷の方に移動します。 よって、「水滴よりもずっと速く氷粒は成長できる」事となります。 このことは、前述の「雪氷防災」の記事により裏打ちされます。 (#04 008-04-094 [質問名:氷晶の芽が作られる4つの過程の違いについて]を参照)
#04 020-04-hon  [質問名:露点温度は気圧によって決まるとあるが理解できません。
エマグラム上で説明して下さい]

質問 佐藤の本[天気図と気象理論]のP.25で、 「露点温度は気圧によって決まる」とあるが理解できません。 エマグラム上で説明して下さい。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 [露点温度は気圧によって決まる]と言う言葉を一人歩きにさせると、意味不明瞭になります。 文脈の中で理解しておく必要があります。及びそれなりの文脈の中で使用する必要があります。 「露点温度」とは何者か、をはっきり理解しておく必要があります。 一言で説明する事が困難なため、ともすると冗長・難解になるおそれがあります。 (以下の説明も、まさにそうなのですが、、、) 理解の根本は、水蒸気の「飽和」がどこでおこるか。即ち、いかなるPTの時におこるか。 更に、そのとき大気はいかなる役割をしているのか、を付帯的な理解として、 確認しておく必要があります。 次の様な順序でご理解頂けるでしょうか。 1.大気は多かれ少なかれ、ある程度の水蒸気を含んでいる。 2.その水蒸気は「混合比」というもので、重量表現される。   ・ここで、仮に、その大気中に追加の「液体の水」を持ってきて、蒸発させた場合、    混合比は増加しますが、どこまで蒸発可能でしょうか。   ・これは、水面上で「気体の水蒸気」と「液体の水」の、気液体二相のH2Oが圧力平衡    するまで、蒸発可能です。   ・平衡すべき圧力(限界)は、分子運動エネルギーの源泉である「温度」によって 別途決まってしまっています。この圧力平衡状態を「飽和」と言います。    (このとき、大気の存在の有無は何も関係ありません)   ・くどいですが、仮に水蒸気を上空5000mにもってきても、話は同じです。    水蒸気が存在している空間の或る点において、その水蒸気に与えられる温度が許すところの    限界まで、蒸発可能です。この点は大事な理解のポイントです!   *以上のことを理解していると、「露点」の理解が容易になります。 3.水蒸気に与えられる温度が低下すると、平衡すべき圧力(水蒸気圧と言っってもよい)も   下がると言う性質があります。温度が下がっていくと気体の分子運動は、低下し、   やがて、気体状態では存在できなくなります。その点(温度)が凝結点であります。   露点でもあります。(凝結できないでいると、それは過飽和状態となります。) さて、ここで、初めてご質問「露点温度は気圧により決まる」の意味は何か、に戻ります。 拙著P25[5]の本文中、「露点とは、...気圧を一定にして気温を下げたときに、 空気中の水蒸気が飽和して「露」を結ぶ温度で、空気が現在含んでいる水蒸気量により一つだけ 決まります」との記述の、「気圧を一定にして」の条件が大事です。 この気圧を変化させると、「一つだけ」と思っていた「露点温度」が別の値になります。 ・エマグラムを前にして、大気塊のPT及び混合比wを与えられたとした場合、  その大気は、下層のPTで、それなりの「露点温度」を示しています。 ・さて、その大気塊を持ち上げてみます。(LCLに向かって、Γdを上昇させます) ・このとき、エマグラムの縦軸は「気圧」です。縦軸上の任意の点即ち「気圧」を与え、  横軸を右方向に行き、Γdとの交点から温度Tがきまります。 ・このとき水蒸気は、その気圧高度における温度Tでは、飽和に達していません。 ・ここで、上昇させずに、「気圧一定のまま」、同じ横軸の左方向へ温度Tを下げると (その同じ気圧高度で)やがて「露」を結ぶこととなります。新たな「露点」の誕生です。  −−>この事は、拙著本文の表現と同じ事です。 ・これらの状況を踏まえて、「一定の気圧ではそれなりの露点温度を示し」ますが、  別の気圧に変われば変わったで、その「新たな気圧一定」のもとで、 「新たな露点温度」が決まります。 ・以上により、「露点温度は気圧により決まる」と申します。  (風が吹けば桶屋が儲かる、の話みたいで、話の途中経過を踏まえないと、   それこそ、話が通じない事になるのですが、、、、) ・なお、エマグラム上で、下層高度での露点温度と上層の高度での露点温度を結ぶと、  それが等混合比線となります。 追記)850hPa、500hPa、、、等の環境大気の気圧(高度)そのものは、    H2Oと言う物質にとって何の関係もありません。環境大気から熱伝導でもらう    温度のみが重要です。その温度がH2Oの圧力平衡点を決めます。
#04 021-04-114  [質問名:太陽放射エネルギー量、放射強度]

質問 .P114,図5.5について   Q 常識的に考えて5.2式(P110)より,α=90゜で放射強度が最大と なるとすれば、太陽放射エネルギー量は夏至には北回帰線上で、 また冬至には南回帰線上で最大になるのではないでしょうか。 P114での入射量と上述エネルギー量との関係はどうなるのでしょうか。 2.P115,図5.6について   Q この図の意味するところがよく分かりません。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 Q1.南北回帰線上のご質問:    問題とする条件をもうすこし与えないと、例えば [どの地点]の[どの時期の]エネルギー量を問題とするのかを    明示しないと解答が困難です。    P114での入射量と上述エネルギー量との関係:    ご質問のポイントが見えません。    ご質問中の「入射量」とは、なにを指しているのでしょうか?? (もしや、同じ事なのではないでしょうか) Q2.「単位波長」というものの定義がポイントのようです。    本のなかには、いきなり「単位波長」なるものが出てきます。    また、p.115−116に「33〜34μm」なる数値が出てきます。    何故この数値が話題として登場してきたのでしょうか。         ...以上、目下、分かりません。継続調査・研究です。皆様も宜しく...