一般気象学輪読会 (#07 : 1999.05.08)
#07 001-06-152 [質問名:Pn=1/ρ・Δp/Δn気圧傾度力について説明して下さい。] #07 002-06-151 [質問名:加速度の単位について説明して下さい。] #07 003-06-xxx [質問名:コリオリ力について説明して下さい] #07 004-06-149 [質問名:地衡風とコリオリ力の関係について] #07 005-06-156 [質問名:地衡風の図について説明して下さい] #07 006-06-163 [質問名:地表面での風速は本当に0ですか] #07 007-07-169 [質問名:角運動量の保存、運動量の保存について] #07 008-07-169 [質問名:貿易風の風向と赤道付近のコリオリの力について] #07 009-07-xxx [質問名:「系」という言葉の意味] #07 010-07-173 [質問名:赤道付近の風の流れについて]
#07 001-06-152  [質問名:Pn=1/ρ・Δp/Δn気圧傾度力について説明して下さい。]

質問   ・ P.152 式6.19     Pn=1/ρ・Δp/Δn即ち気圧傾度Δp/Δn・1/ρが気圧傾度力になる訳。     1/ρ....体積/質量 について説明して下さい。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・P.148〜P.149の図などを参照して下さい。  気圧傾度力の定義、説明があります。 ・ 大気は、地球重力下で運動します。その時、gとρがつきまといます。
#07 002-06-151  [質問名:スケールアナリシスについて説明して下さい。]
         [質問者:湯浅典郎:04/24][解答者:佐藤 元:04/24]

質問   ・ P.151 式6.17で、     加速度=V/Tとしている事、どうして?     V(ms-1)=L(m)/T(s)は判りますが。     LMT単位で ms-2=ms-1/s=ms-2 と言うことなのでしょうか。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・ 加速度の単位は、定義により、時間あたりの速度変化ですから、m/s/sでms-2となります。 ・ 大気の運動を、大局的に表わそうとするとき、その加速度として   「速度、距離、時間」の代表値を適宜定める必要があります。 ・ 「スケールアナリシス」を行うと、大局的な動きが見えて来ます。 ・ 6.17式は「ロスビー数」と呼ばれています。   R0<<1 の時、地衡風となることの説明を理解しておいて下さい。
#07 003-06-xxx  [質問名:コリオリ力について説明して下さい。]

質問 コリオリ力について説明して下さい。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・ 観測者は、慣性座標、相対座標のいずれに乗っているか、の理解。 ・ 物体の運動には、慣性運動と回転運動があること、に気付くこと。 ・ 本日(5/08)配布の添付資料「力学−1〜力学−3」と模型で説明します。
#07 004-06-149  [質問名:地衡風とコリオリ力の関係について]

質問 1.P.149〜150、図6.10     気圧傾度力= −1/ρ・Δp/Δn (式6.14)     コリオリ力= 2ΩVsinφ     等圧線に直角な方向の加速度=単位質量あたりのコリオリの力+気圧傾度力                  =−2ΩVsinφ−1/ρ・Δp/Δn (6.15)     の左辺をゼロとしてよい理由が判りません、説明して下さい。 2.2ΩVsinφ=−1/ρ・Δp/Δnとしてよいか。 3.気圧傾度力とコリオリのベクトルは、反対方向に向いているので、起点のところでは   力がゼロになってしまう様に思うが、直角方向へ地衡風となって伸びるのは   どう説明したらよいのか? 4.マイナスの符号の使い方は? -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 1・ [力が釣り合う]ということは、加速度がゼロになることです。    加速度がゼロにならないと、物体は、「余っている力」の方向へ動いて行きます。    動いて行ったその先で、力が釣り合うとき、加速度がゼロとなります。    従って、等圧線に直角な方向の加速度がゼロでないと、釣合いません、ので。  ・ また、スケールアナリシスの結果もその様になるようです。    風向と等高度線の平行具合をみても大体、平衡になっていることが判ります。  ・ 近似的に、0としてかまいません。 2・その通りです。(前提を忘れないように、あくまでも近似式です。) 3・「力がゼロになってしまう」のではありません。両方の力は、もとの大きさのまま   釣り合った状態になっています。   ご質問は、物事を考える順序が「逆」の様です。   H側からL側へ向けて出発した、大気塊は、進行方向に転向力を受けます。   曲がりつつなおも進行方向(接線方向)に直角にコリオリ力を受けます。   やがて、摩擦力も0となり、気圧傾度力とコリオリ力のみ残り、両者が釣り合うこととなります。 4・高圧側から低圧側に力が向いている事を示すためです。   力の向いている方向に物体は動きます。その方向を「+」と約束します。   これは、数学的取り扱いの約束ごとです。

#07 005-06-156  [質問名:地衡風の図について説明して下さい]

質問 1.P.156〜157 図6.16で、図の説明が、イマイチ判りません。 2.L6、摩擦力が大きいほど風は等圧線を大きな角度で横切って低圧部に流れ込む。   と、言うことは、Fがおおきくなると図がどう全体的に変化していくのか。  -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 1・ この図をスタートポイントとしてかんがえると、よくありません。    大気塊がゼロ発進指してから以降の、力の釣合状態に至る過程を    承知しておくとよいでしょう。順を追って考える必要があります。 2・ 力のバランス(釣合の)図を作成してみて下さい。    P.157L1〜6に、力の釣合の説明がなされています。再度読んでみて下さい。    注意:マサツ力Fは、無限に大きく鳴ることは出来ません。速度Vがあってはじめて生じる    ものです。 参考:大気上空から物体を落下させると、その物体は自由落下します。落下直後は落下速度は    ゼロです。従って空気抵抗もゼロですが、時間tの経過後、或る程度落下した時点では、    その速度は加速度α(重力)とするときαtとなります。このとき、物体にはその物体の    形状と速度に応じた空気抵抗が生じます。(マサツ力の様なものです)    速度がなければ、空気抵抗もマサツ力も生じません。

#07 006-006-163  [質問名:地表面での風速は本当に0ですか]

質問 ・  P.163 L4で、     大気がみだれていても、地表面における風速が0である事に変わりはない。     図6.21でも風速は0の様ですが、実際の風を見ると、     地表面でも風が吹いているように思えるのですが。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 ・ 地表面(eg、Z=0.000m)に接しているところでは、風速は0です。    すこしでも離れていると(eg、Z=0.001m)、0でなくなります。 Z=0.000mで速度があることになれば、それは地球が風によって動かされることに    なります。事実、海洋の海水面では、風に引きずられて、海流が出来ます。

#07 007-07-169  [質問名:角運動量の保存、運動量の保存について]

質問 ・P.169 L5〜6で、     「ハドレーは誤って角運動量の保存ではなく、運動量の保存を考えていた。」     この意味が不明です。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答   ・P.169の説明は、イマイチわかりにくいです。    なぜなら、北極で速度ゼロで南下をはじめたとして、図では、北西風が描かれています。    この北西風となる説明がありません、ので。   ・運動量の保存:m1V1+m2V2=一定    角運動量の保存:m1R1V1+m2R2V2=一定            =m1R1・R1Ω1+m2R2・R2Ω2    水平面上では運動量が保存されますが、球面上では、速度が緯度によって変わりますので、    この効果を考慮する必要があるためです。題意の文意はそう言うことです。 参考:緯度によって角速度が同じでも、地軸からの半径が異なります。    また、P.173問題7.1の計算も参考にして下さい。  

#07 008-07-169  [質問名:貿易風の風向と赤道付近のコリオリの力について]

質問 P.169 L4〜5で、     「この考え方は、我々が6.2節において-----コリオリの東西成分----」     の記述では、私は貿易風は、地球自転の影響が主に働いて生じ、     コリオリの力は赤道に近く小さいのではないでしょうか。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答   ・ 貿易風は北緯30度あたりから南下をはじめますので、     十分コリオリ力を受けます。   ・ なお、コリオリ力の生成因は「地球自転の影響」そのものによるものです。

#07 009-07-xxx  [質問名:「系」という言葉の意味]

質問 7章の中に たびたび「系」と言う言葉がでてきますが、これについて分かり易く説明して下さい。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答 考える範囲、領域,[思考対象とする時間・空間]と言ったようなものです。 いろいろな下記の様な「系」が、説明・議論に便利なように、 また、範囲を定義・限定するためにも使われます。 ・xx座標系 ・領域 ・場 ・世界 ・空間 私達は、大気の運動や状態を考えるするとき、意識すると、しないとに関わらず、 何らかの「系」での話をする事になります。
#07 010-07-173  [質問名:赤道付近の風の流れについて]

質問 P.173 図7.6で、     大気大循環の三細胞の図で、     赤道付近の影をつけた部分では、上層でも東よりの風が吹いていると理解しますが、     ITCZを含めて地上風と上層の流れは ̄\_この様になっているのではないでしょうか。     念のため紙テープで模型を作ってみました。 -------- ----------- ------------ ------------------ 解答    ・ 北東〜南西方向の循環を描く方がいいと思います。     (模型図での、上層風が南東風になることは??です。)