一般気象学輪読会


一般気象学輪読会 QAリスト
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#02  3月18日(土曜日)  開催#−質問順−章−頁−[質問の小見出し]& コメント    #02 001-02-029 [質問名:オゾンホールの大きさは、北極上空よりも南極上空の方が大きい理由]   PSC(極成層圏雲)の発現がキーポイントとなる。オゾン層の生成と消滅に関しては、 気象力学ではなく物理、化学の世界の話になり、大分「専門的」になります。次のQと関連。 #02 002-02-029 [質問名:PSCの発現はプラネタリー波の成層圏伝搬により妨げられるか?]   北半球におけるプラネタリー波の発生が、北極のオゾンホールが小さいことに影響している。 オゾン層が破壊されるメカニズムの物理・化学的な理解が必須です。上記Qと関連。 #02 003-06-146 [質問名:順転veering、逆転backingの用語法]   順転=veering=北半球で時計回り、逆転=backing=北半球で反時計回り。   南半球ではこの逆。気象のテクニカルタームというより、[船乗り]用語か? 英語表現を知ることは、試験では要求されないでしょうが、気象の知識の幅を広げます。 #02 004-06-xxx [質問名:静水圧平衡の式ΔP=−ρgΔZにマイナスの符号がつく理由]   力の釣り合い:(+P)+(−ρgΔZ)+(−(P+ΔP))=0の式を考えること。 簡単な数式を単なる「公式」として覚えないこと。式の導出背景を知ることが重要です。 #02 005-10-273 [質問名:深層循環は海水の密度差によって生じるのか]   深層循環は、地球の自転と密度差によって生じ、北大西洋で沈み込み北太平洋で   湧昇するのに2000年かかる。<−−−本文注意!! #02 006-07-182 [質問名:地上低気圧と上層渦度の複数箇所の極大域との対応関係のつけ方]   上層に渦度極大域が複数箇所ある場合は、手前の極大域と対応づけることを考える。渦度 を数値で終わることなく、その数値の背後にある大気の運動状態を認識することが大事。 #02 007-xx-xxx [質問名:数式表現のラウンド∂、デルタΔの意味・使い方が分からない]   ∂は微分で、無限小の或る方向を持った部分での勾配を表す。(極限における思考上の傾きです) Δは差分で、有限幅での勾配を表す。(実際の数値を代入して演算可能である→数値予報) この両者は、混同されることがあるが、意味が全く違います。この他、dも使われる。 更に、ナブラ∇と言う記号もある。∇・A=(∂Ax/∂x+∂Ay/∂y)は発散divを表し、   ∇xA=(∂Ax/∂y-∂Ay/∂x、、、、)は回転rotを表す。この他にも様々な表現がある。 #02 008-xx-xxx [質問名:「ソレノイド」に関して、それを理解することは必須か]   「ソレノイド」に関しては、理解必須では無い、と考えられます。高度に専門的ですので。 気象学には、この他にも多くの「専門的な」用語があり、取捨選択しての理解が必要です。 #02 009-xx-xxx [質問名:冬型気圧配置の強まるプロセスはなにか]   南北温度傾度の存在が根本的&原初的な最大要因である。寒気の存在だけで冬型が強まる と言う訳には行かない。温度傾度、地球の自転、地形の状況は→地表面の大気に対して、 偏西風、ロスビー波、傾圧不安定波の現象発生に直接的に影響を及ぼしている。 #02 010-xx-xxx [質問名:気圧配置強化と寒気が流れ込むことの、ニワトリ−−卵の関係]   南北温度傾度が、先ずあることを考えると良い。現象は循環するので、開始・終了が 特定困難である。数値予報では、このため初期条件、初期状態という概念を必要とする。 #02 011-xx-xxx [質問名:用語「場」、「系」はなにを意味するか]   「場」は物理量の存在空間を、「系」は、物理量の相互有機的関連のある状態を、言う。 例示:温度場、気圧場、高度場、、、。太陽系、プリミティブ方程式系、生態系、、、、 やや異質な物に「座標系」と言う系もあるが、これは、物理量を相互関連付けさせるところの 思考空間を指します。なお、「場」と言う表現には、上記の意味以外にもっと広い一般的な 意味での空間を指すこともよく有ります。 #02 012-06-157 [質問名:キャノピー層はいかにパラメタライズされているのか]   調査中。 #02 013-xx-xxx [質問名:傾圧不安定波は、いかに生成されるのか。偏西風やロスビー波との関係は?] 偏西風は、地球規模の南北温度差が原因となって生じます。その偏西風の中にロスビー波と傾圧 不安定波が発生します。ロスビー波は、偏西風がヒマラヤやロッキーなどの大きな山岳により蛇行 が励起された波動で、成層圏や中間圏、さらには火星などの惑星にも発現します。 また、傾圧不安定波は、もう少し小規模な南北温度差により、ローカルに形成された傾圧性のある 空間を、偏西風が西から東へ通過するとき、気圧傾度力とコリオリ力と西風により曲げられて、 作られたものです。[ロスビー波の発現には、気圧傾度力は考える必要はありませんでした。] 偏西風の蛇行は、ロスビー波と傾圧不安定波の合成されたものと考えられます。 拙著「天気図と気象理論」のP.109の「傾圧」の箇所をご参照下さい。 (なお、同著同頁の「傾圧」の箇所で「等圧面上で」とかいてあるのは、「等高度面上で」と    読み替えて下さい。)
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