Meteorological Visual Presentation (MVP)

ウィンドプロファイラーの機能概要と現象の解析 Home page  ウィンドプロファイラーによる観測資料 WINDASの説明(大分地方気象台)  Originated 2005-1/07 Last Updated 2005-1/07
■ JMAのWPRの仕様 : 1.観測最低高度  : 400m 2.観測最大高度  : 9000m 3.鉛直方向の分解能: 300mごと 4.水平方向の分解能: 高度5000mにおいて約2000m(東西南北、真上の5方向に             向かって、電波を発射する。このときのビーム間の角度=9.8°) 5.時間分解能   : 10分(1秒間に1万パルスを出し、1分値を作り、更に10分値とする。)  (CRCや手柴氏のWPRの表示時間間隔は、1時間となっている。) 6.観測されるデータ: 大気の流れの速度に関し、東西方向成分、南北方向の成分、鉛直方向の成分が得られる。             反射されてくる電波の強度が得られる。 ■ 欠測(空白域) : 1.流れる大気に乱れがないと、屈折率が変わらず、電波が反射されないので、欠測となる。 2.5本のビームのうち、1本でも異なるデータがあると、品質管理処理の結果、欠測とされる。   (強い積乱雲があるときには欠測とされることがあり、要注意である) 3.渡り鳥や山岳による反射波は、取り除かれるようであるが、飛行機からの反射波は如何に   処理されるか、定かでありません(今後調べます)。 ■ 電波の反射特性 : 1.雨や雪は電波を反射しやすくSNR(Signal to Noise Ratio: SN比)が大きくなる。 2.夏場の大気は湿潤で電波は反射しやすく、一方、冬場の大気は乾燥していて電波は反射しにくい。 このことは、WPRによる観測高度の限界が、一般的には、夏場は高く、冬場は低いこととなる。 3.大気の流れに乱れがあると、屈折率が変化し、反射が良くなる。   乱れが無いと、屈折率の変化が無く、電波は反射されない。 ■ データの信頼性 :   八丈島、名瀬、南大東島においてはWPRとレーウィンゾンデが併設されているので、   風データを比較することが出来る。JMAでは、勿論検証を行っている。両者は、完全に   一致することは無いが、実用に供される信頼度のようである。   (但し、空白域は、大気の動きが無いわけではないことや、CRC等の1時間データと    して表示される資料は、10分データが平滑化されたり、切り捨てられたりして    いるかも知れないので、値の取り扱いには要注意である。) ■ 鉛直速度    : 1.雨の落下速度や雪の落下速度が大気そのものの下降速度より速いことがある。   SNRと組み合わせてみると識別できる。 2.CRCのデータを見るときは、大気の下降流の速度なのか、雨の落下速度なのかを 見極める必要がある(たとえば、アメダスによる降水状況を参考にする)。 ■ 現象を解析する : 1.低気圧の構造     (各高度での同時刻多地点、or 一地点時間経過。局地的低気圧を解析できるか??) 2.前線の構造     (低層で、同時刻多地点、or 同一地点時間経過。局地前線を解析できるか??) 3.乱気流の存在     (鉛直方向の風のシヤーの存在から推定する) 4.トラフやリッジの存在、通過     (高層で、同時刻多地点、or 同一地点時間経過) 5.雨雪判別     (SNRと鉛直速度の組み合わせで判定できる。上層雪、下層雨など) 6.降水の開始終了時刻     (時間軸の中で、鉛直速度変化、or SNR変化で判断できる) 7.上層のジェット、下層のジェット     (各高度での風速の大きいところを探す) 8.多層・異方向の大気の流れ     (高度別に風向が明らかに異なっている状態を発見する) 9.地形の影響     (風上側に上昇流、風下側に下降流が形成されているかを、確認する) 10.山岳風下側の渦動の形成     (困難??) ■ 解析と予想のために:     時間的に密度が濃い、& 中低層のデータが比較的安定して得られることから     ナウキャストへの適用、局地的規模の現象への適用を主として考えるべきである。     総観規模の現象の予想にはNWPの結果を主として用い、WPRデータは補助的に用いるとよい。
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