回転系の理解のために。その理論と対応する実験 関連する実験→キッズの気象実験より引用: Originated 2013-12/03 Last Updated 2013-12/03,12/23,12/24,12/25
気象を学ぶとき、回転系の理解はなかなか難しい。 間違っているかも知れないが、筆者は以下のように理解しています。 又、簡単な実験で見ることが出来るものを合わせて紹介します。 実際の空気の動き(例えば、高層天気図等)に即して、何故そのように 運動するのか、或いはそのように見えるのかを理解出来れば、と思います。
風向・風速の一般的・総括的説明は、拙著「天気図と気象理論P.15」に記載あり。
気圧傾度力、遠心力、コリオリ力が風向・風速を決める。これらの力の大小によって、
傾度風、地衡風、旋衡風となる。いずれの風も力のつり合いを数式で表現できる。
@台風の左巻き説明方法= ● ・台風の空気は、気圧傾度力とコリオリ力が釣り合って、 地衡風平衡の状態となり、中心の周りを回転する。 台風(或いは低気圧)では、遠心力の効果は≒0とみなせるそうです。 (ためしに、遠心力とコリオリ力の大きさは、それぞれ数値で評価すると良い。) ・ここで、地表面の摩擦力があると、地衡風の風速は減速する。 ・すると、地衡風平衡にあるべき状態でのコリオリ力は、小さくなる。 ・このとき、小さくなった分だけ、気圧傾度力が優勢になり、 平衡状態が崩れる。 ・空気粒子は、その分だけ、中心へ引っ張り込まれる。 ・こうして、北半球では、左巻きとなる。 実験=回転容器中の茶殻の運動で見ることが出来る。 参考実験: スピンアップ・スピンダウン実験 及び、下記Jも参照。 ●この実験は、「傾度風、地衡風、旋衡風」の、どの風の動きを見ることが出来るだろうか。 ●一般気象学初版P.145の図の説明の仕方を、南→北の気流に適用すると 台風や低気圧の渦巻きとは逆方向になる。何ゆえか? A傾圧不安定波動=地球表面で南北温度差+地球の回転により形成される。 南北の寒気と暖気がぶつかり、押し合い、そこに 南北の力のカオス的な不連続面が出来る。やがて、地球回転 による剛体回転が強制力となって、東向きの気流が出来る。 これが偏西風である。 ●上記の理解でよいか? 実験=回転水槽実験で、実験開始直後は剛体回転である。 温度差と回転の効果が次第に効いてきて、乱流状態のような流れとなる。 更に時間か経過すると、温度、回転数、容器の大きさ・深さによって、 表面流が安定的に形成されることがある。波数=3〜7となる。 しかし、表面流は、時として波数が若干多くなったり少なくなったりする こともある。Vacilationとよばれる現象である。 参考実験: 傾圧不安定波動の実験(回転水槽の実験) この実験による蛇行は、対流圏上部の気流に対応する、→気象の教え方学び方p.127 Bロスビー波=地球表面で西からの気流がエベレストや、ロッキー山脈など の山にぶつかり、山岳風下側に回り込むとき励起される。 ●実験=回転水槽において、水中に、山に見立てた障害物を設置する。 回転につれて波動が発現する? C偏西風=短波(傾圧不安定波動)+超長波(ロスビー波)、の合成された波 である。→ 一般気象学(初版p.180 最下行)に記載あり。 D台風の北西進= ●渦は自らを動かす力を持たない。他力本願である。 渦は、自分が存在する地点における「他力」たちの力が合成された 方向への気流に乗る、と考える。 (1)南北の気圧差(気圧傾度)の存在は、空気を北向きに移動させる 500hPa等圧面の高度を経線にそって、地球一周分の高度を描いてみる。 南北気圧傾度のある図 (2)北東貿易風の存在は、空気を西向きに移動させる。 (3)太平洋高気圧の主として西半分の気流の存在は、空気を西、北、東に 移動させる。 (4)偏西風の存在は、空気を東へ移動させる。 ●なお、下記の下線部分がわかりにくい気がします。
Eフーコーの振子=回転運動+直線運動 実験=回転円盤上で、直線を引くと、曲がった軌跡が描かれる。 回転円盤上で、ビー玉を転がすと、円盤の回転とは逆向きに進行する。 ● コリオリ力は、速度の大きさに比例する、と学んだ。しからば回転円盤上で ビー玉の速度を10cm/s、30cm/sで転がした場合、コリオリの力を実感する ための実験は如何にすればよいだろうか? 参考実験: フーコー振り子の実験 Fコリオリ力=回転座標系において慣性座標系上の物体Aの(直線)運動の 回転系において 描かれる軌跡は、直線にはならず曲線になる。 回転座標系で、何も力を加えていないのに、曲がったように見える。 この原因が「みかけの力」が作用した、と考える。見えざる神の力だ。 ● フーコー振り子で、この現象を見ることが出来るが、これをコリオリの力の 実験、と言えるのか否か、自信がない。自信が無いのは、台風や低気圧の 回転を説明しようとするとき、コリオリ力がいかに作用しているのか、 明快に説明することがむずかしいのである。 →@で回答を出したつもりだが、専門家による検証が必要である。。。 参考実験: ● この実験で、コリオリ力が作用していると言えないだろうか?? スピンアップ・スピンダウン実験 この実験は、前述しましたが、回転半径が小さいので、遠心力の効果が 入っていると想定されます。 G角運動量保存則=運動量保存則を回転系に適用したものである。 実験=5円玉に糸を通し、糸の他端を鉛直の棒に固定し、 5円玉を上部で回転させる。回転力をなくすと、5円玉の軌道は低下し。 糸が、棒に巻き付き、回転半径が小さくなる。この時回転速度が速くなる H渦度保存則=回転中心からの半径で、円周上の速度を除算して定義される。 回転の角速度を現す? 実験=回転物体の単位時間当たりの回転数を計測する。RPMで表現できる。 ●高層天気図=描かれている渦度及び曲線は、その場における空気のいかなる状態 を表すものか?物理的意味は何か? I剛体回転=回転している物体のどの部分も同じ回転角速度を持つ状態。 実験=回転水槽実験で、実験開始直後、アルミ箔の運動を見ることにより 流体及び容器が一体物となって回転している様子が観察される。 参考実験: 剛体回転の実験1 剛体回転の実験2 Jスピンアップ、スピンダウン=この現象は、回転系の中の作業流体の 動きを考えるときの、基本的な理解事項である。 遠心力と気圧傾度力が大きく作用している事を理解する。 参考実験: スピンダウンの実験 スピンアップの実験 |