2001年4月4日

< さ く ら >



83才の野口さんは、しっかりした足取りで、
84才の母の手を引いて下さるのだ

 

今日は、母の月に一度の老人会の集まり。12時過ぎに終わる頃、いつものように車で母を迎えに行った。

会場は、歩いても10分ほどの距離だが、足の痛い母には難行だ。同じ方向の野口さんにも声をかけて、家に向かいかけたが、どこの軒先も桜・もくれん・レンギョウ・雪柳などがとーてもきれいだ。

「ちょっと遠回りして帰りましょ♪」と言って車で10分ほどの近くの公園へ足を伸ばした。そこまでの道の両側はずーーっと見事な桜並木、毎年桜の季節には通るのが楽しみな所だ。そしてその一角に小さな公園がある。

公園のすぐ近くに車を停め、野口さんとおいらと両側から腕を抱えて母を桜の下まで運ぶ。ア、いやいや連れて行く。(だけど、あれだけ体重かけて頼られると、「運んでいる」と言うほうがイメージ合う・・・)

「足が痛くて…」と話している母の声に、3つのベンチに1人ずつ寝そべっていた若者3人が、「ここへ、どうぞ座って下さい」と、ニコニコ顔でひとつ譲ってくれた。こういうことってすっごくうれしい、心にポワーーンと、灯がともる。

しばし「きれいねー、きれいねーー」と堪能するまで桜に見とれた。
そう遠くない所に桜の名所は沢山あるのだけど、駐車場が遠いと母には無理。今日はまだ桜も8分咲きくらいだったが、「又花吹雪の頃来ようね」と言いながらこの近場のお花見を楽しんだ。

家に帰ると神奈川のヒロさんからメールが届いていた。(関東の桜はもうとっくに満開)

桜が散り始め、桜吹雪が近いうちに本格化するでしょう。
桜吹雪なんて、美しい言葉です。吹雪は拒むような恐いイメージがあるのに、雪が桜の花びらに換わるだけで、夢が終わり、散りゆくモノの輝きやはかなさを感じます。

ボタンのように、急に花が地面に落ちるような衝撃さではなく、風の流れにまかせながら消えてゆく様が、心穏やかにさせられるのかもしれません。さらに、地に落ちて、雨に流され、川面をピンク色の花びらで覆いながら、川の流れにもまかせているのも、抵抗しないで自然に還る理想的な死生観でしょう。産卵を終えた鮭みたいです。

でも、桜も鮭もまた翌年に還ってきます。還ってくる事が、春が来た希望のシンボルのような気がします。僕は寒いのが嫌いだから、暖かい春が好きです。花粉症でもないから、春の日差しが待ち遠しかったでした。

こんなすばらしい詩的な奥深い文に触れて、今日のお花見は一層
印象深いものになった。ほんとにヒロさんって「詩のある冒険家」だ。
よく掲示板にカキコして下さるが、その都度何か自分が忘れてきた
モノを思い出させてくださるようなお話が、とてもうれしい。