弁護士事務所の書棚

1999年11月16日

< 地上げ屋・2 >

立ち退き対象になっている家は、それぞれ文句を言いながらも、一応同意書に判をつき、
地上げ屋は、「金融会社の瀧村さん」と言う人と、コワソ−ナ人2人を同行して来て、
「一時金」と言う名目で立退料の一部を持って来た。

8月末日、引っ越しが終った段階で、残額を支払うという。
しかし引っ越しの日、「引っ越し当日、残金を持って来る」と約束していた瀧村氏は
やってこなかった。

以来、2年と3ヶ月が経った。
しかしどこも残金は貰っていない。

瀧村氏はいつも言葉だけ丁重に、「御迷惑をお掛けして申し訳ございません。土地の買い手に
不都合が起こり、お支払いが1ヶ月先になりました。用意が出来ましたら又御連絡しますので、
それまでお待ち下さい。」という。

そして1ヶ月後、「御迷惑お掛けしております。地主さんの土地に付いて、所有者の境界線に
問題が有り、測量士が測量しなおしています。1ヶ月程かかりそうなので、もう少しお待ち下
さい。」
といった調子で、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月…と延ばしてゆき、今日に至っているのである。

始めは疑いもなく聞いていた言い訳も、これだけ延期されると、いつもその時逃れのデタラメ
を言っているとしか思えない。
その間に不動産業界は悪くなる一方で、買い主はどんどん値下げを言ってくるという。

要するに始めの買い手とのと話が流れてから、未だに次の買い手が見つからないのだ。あって
も値段の交渉がまとまらない。買い手から現金が入るまでは、我々にも払えないということで
ある。
 

母をはじめ、言われるままに引っ越しをした人達は、もう諦めてもう一度戻って来た人もいる。
しかし2年も空家にしていた以上、そのまま住める状態ではない。
「すぐ潰す」と言われていた家だから、中には不要品やゴミをいっぱい置いたまま。

追い立てられて、慌ただしく引っ越しをさせられた者達にとって、このままでは気持ちが治ま
らない。

学生時代の友人、H弁護士に相談した。
我々が判を押した「同意書」や「契約書」は、正統なものではない。よってこれからできる事
と言えば、訴訟を起こして「未払い請求」するしか方法がないそうだ。

ウ〜ム、何だか大変だな〜〜〜〜〜

                        
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