レストランの窓辺(NY)
 
1999年8月27日
 

< ねぐすり・4 >

お酒を飲むのに、お国柄がある。

香港 : 大勢で食卓を囲み、賑やかにしゃべりながら、じっくり時間をかけて食事をする。
食事の始めに杯を上げてカンパイをするのはもちろんだが、食事の途中でも話題が盛り上がるごとに「チアーズ!」、新しいボトルをあけるとまた「チアーズ!」、しかもその都度しっかり飲み干して「カンパイ!」。
食事は、沢山の種類の料理をみんなで取り分けて食べ、とてもバランスが良い。
良く食べて、良く飲む。
日本ではよく見かけるが、お酒ばかり飲んでちっともお料理を口にしない人。そういう人は香港では出合ったことがない。

黙々と食べるという人も居ない。大声を出さないと聞こえない程、賑やかな会話で満たされている。
「食事は大きな楽しみである」として、向き合っている。
 

ニュ−ヨ−ク(アメリカは広くて一概に言えない): 食事の内容よりも「会話」が主体であるような気がする。大きな1ガロン(3.8リットル)のワインボトルや、ワイルドタ−キーなどをデンとおいて飲む。

手でつまむような食べ物を口に運びながら、会話を楽しむ。楽しむのが主体だから、話の内容も大したこと事はない。 大したことはなくても上手にジョ−クをとばして、皆の笑いを誘う。そして座が盛り上がって行く。

「手でつまむような食べ物」とは、チ−ズやハムや生野菜。ブロッコリ−、ニンジン、セロリ、キュウリ、そしてほうれん草も、みんなナマで盛られている。ディップにつけてポリポリ…
オ−ブンにポイと放り込んだロ−ストビ−フなども出てくるが、まあお料理に余り時間は使わない。
「主婦は一人で台所」なんて事も絶対にない。
お客さんの来る30分前には食事の用意は全部終え、シャワーを浴び、服を着替え、きれいにお化粧もして客を迎える。
そして食事中は、立つようなことはせず、皆と一緒に会話を楽しむ。そんな感じ… 
 

韓国 : プライベ−トにおつき合いのあった方は少ないので、一般論にはならないかも知れないが、とにかく年長者第一の世界。お食事に招かれると、いつも社長夫妻とその御両親もご同席。ふだんは大変なワンマン社長も、とにかく何でも御両親より控えめ。まず年長者にお酒をつぐのだが、右手でお酒を持ち、左手を右手ヒジに添えるのがマナー。
お酒を口にする時には、面と向わず必ず顔を横にそむけて飲むのが礼儀。

「マッコリ」(白いお酒)を良く飲むが、焼肉の折には焼酎「真露」(チンロ)のことが多い。 .
20種類くらいの料理がどんどん運ばれて大きな食卓を埋めつくし、もりもり食べながら、お酒もどんどん運ばれてカラになっていく。

韓国の人達の食欲旺盛ぶりを見ていると、それだけでもう体力負けしてしまいそう…
食事が終わる頃にはカラの酒ビンがゴロゴロ。

それと何故か、酒癖の悪い人が多い。ふだん儒教の教えで自分に厳しく生きている分、アルコ−ルが入ると崩れるのだろうか?
人に絡んだり怒鳴ったりする人が多かった。
 

イタリア : これはもう「陽気」の一言。
言ってみればお茶代わりのワインを飲みながら食事を楽しむ。
こちらの人も良く食べる。中年になると「太めおばさん」ばかり眼につく。「あの可愛い娘さんもこれだけ食べるとこんなになっちゃうのねえ…」という気持ちになる。

でも美味しいお酒で、美味しく食べて、健康なのがなによりのしあわせですよねェ〜〜〜

                        
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