JTU競技規則<改定案と補足説明と事例集>

第6章 自転車(バイク)競技規則 第28条(ドラフティング規則)



第28条(ドラフティング規則)

  1. (定 義)
    1. ドラフティングとは、他競技者あるいは車両の直後や真横を走行することにより、風圧を減少し競技上のアドバンテージを得ることを意味する。
      (98年から以下削除:そのためドラフティング走行は禁止される)
  2. (ドラフティング回避義務)
    1. (98年追加修正)ドラフティング走行禁止の一般大会では、他競技者対するドラフティング走行を禁止する。競技者はつねにドラフティング状態をさけるよう心掛けなければならない。同時に、競技者は、他競技者からのドラフティング行為による接近を拒否しなければならない
    2. (98年追加案)ドラフティング走行の禁止あるいは許可のいかんにかかわず、車両に対するドラフティングは禁止される。

補足説明

状況例

判断例


第28条(ドラフティング規則)

  1. (ドラフトゾーン規定)
    1. ドラフトゾーンは、各競技自転車の前輪先端を起点に、縦10m、両サイド各1. 5m、横幅合計3mの範囲と規定する。
      競技者は、ドラフトゾーンを保有しながら競技していることを想定し、競技者同士のドラフトゾーンが重ならないように競技しなければならない。
    2. 一般部門、年齢別部門(エイジグループ)では、縦7m、横3m(両サイド各1. 5m)のドラフトゾーンが適用される。

補足説明

状況例

判断例


第28条(ドラフティング規則)

  1. (車両ドラフトゾーン)
    1. 車両ドラフトゾーンは、車両前部を起点に縦35m、横5mの範囲と規定する。
    2. 車両ドラフトゾーンは、原則としてマーシャルにより管理されるが、競技者自身も侵入をさけるよう心掛けなければならない。

補足説明

状況例

判断例


第28条(ドラフティング規則)

  1. (ドラフティング特別規定)
    下記の状況では「競技者のドラフトゾーンへの侵入(自らのドラフトゾーンが他競技者のドラフトゾーンへ侵入すること)」が容認される。
    <98年追加案>ただしいずれの状況でもレースの流れに即した瞬間的な動きであり「前方注意義務」が強く求められる。

    1. 追い越しを試みているとき(選手権、エリート部門は30秒以内。年齢別部門は15秒以内)
      <補則案>「追い越しを試みている」とは、前競技者に近づき、追い越す気持ちをもって「前進」していなければいけない。そのため、前走者と同一スピードを保ったままではいけない。
      ITUルール: A competitor may enter the draft zone of another competitor, but must be seen to be progressing through that zone.
      「前進しているか否か」が、マーシャルの重要な判断ポイントである。
    2. 危険回避の必要があるとき。この直後に後ろに下がりゾーンの外に出る。
    3. エイドステーションでの補給物受取時。前方をよく確認し、安全車間距離を確保する。
    4. 前方確認そして減速・注意義務があるトランジッションエリアの出入口。
      (以下、削除:および乗車禁止区域)
    5. 減速義務地点である、鋭角ターン、折り返し地点。
    6. 特別に許可された区域(道幅の減少、工事中、迂回路、安全上の理由により除外された区域)は、すべて減速走行、周辺注意義務がある。

補足説明

状況例

判断例


第28条(ドラフティング規則)

  1. (追越し規定)
    1. (表現の訂正)先行する競技者は、追越しを試みている競技者の前輪が前方に出たときに「追い越された」と見なされる。  
      ITU : A competitor is passed when another competitor's front wheel is ahead of theirs.
      (従来表現:追越しを試みている競技者の前輪先端が、先行する競技者の前輪よりも前に出た瞬間に「追い越した」と見なされる)
    2. 一度追い越されたら、(ただちに)ドラフトゾーンから脱出しなければならない。脱出とは、双方の競技者のドラフトゾーン(縦10m、横3m/年齢別では、縦7m、横3m)が完全に離脱した状態を意味する。  
      ITU : Once overtaken, a competitor must immediately move out of the draft zone of the leading competitor
    3. 脱出するための許容時間は、30秒以内である。なお、年齢別部門では15秒以内とする。
    4. 追い越した競技者は「追越したスピード」を持続し、追い越した競技者を引き離す。(ドラフトゾーンの完全離脱を図らねばならない)一方、追い越された競技者は、「追い越されたスピード」あるいはそれ以下に減速しドラフトゾーンから規定タイム(30秒または15秒)以内で完全に脱出しなければならない。

    <技術アドバイス> 追い越しを試みている競技者の前輪の先端が先行競技者の前輪の先端の前に出るまでは「追い越された状態」ではない。そのため、先行競技者は、追い越されまいと加速することは違反走行ではない。ただし、後続から追い上げる競技者への進路妨害とならないようキープレフトを守り、競技のスムーズな流れを促す。

補足説明

状況例

判断例


第28条(ドラフティング規則)

  1. (追越し規定)

    <補足図解>  =95JTUルールブック 45ページ参照 =

    1. BがAの競技エリア内で競技を続行すると違反。追い越す時は、30秒以内(年齢別部門は15秒以内)で行なう。
    2. 30秒以内に追い越しができない場合は、定位置に戻る。AはBに一度追い越されると、再び追い越しをかける前にBのドラフトゾーンの後ろに30秒以内(一般は15秒以内)に脱出しなければならない。


第28条(ドラフティング規則)

  1. (ストップアンドゴー・ルール〔以下SGルール〕/競技中断ペナルティー)
    ドラフティング違反、あるいは注意を与えてもドラフティング状態が解除されない場合、ストップアンドゴー・ルールを適用する。

  2. (SGルールの方法)
    ストップアンドゴー・ルールは、マーシャルの指示により行われる。マーシャルは、「警告シグナル」を発し、「レースナンバー(ゼッケン)」を呼び上げ、「ストップ」と告げる。
    対象の競技者は、安全を確認した後すみやかにコース左側に停車し、自転車から進行方向の左側に降りて、(両足を地面につけたまま)自転車を持ち上げる。この時、両輪が同時に浮いていなければならない。
    動作が確実に行われたことを確認した後、マーシャルは(注意を与えた後に)「ゴー」(または「スタートしてください」)と告げるので、競技者は競技を再開する。

    <補則1> SGルールは適用を受けた後にペナルティは一時的に解消されたことになるが、度重なる適用については「第2章の競技者規範」に抵触し、失格対象とする。
    <補則2> 警告にもかかわらず停車せず競技を続行した場合は「ドラフティング違反」に「指示無視」が加算され失格対象とする。


補足説明

状況例

判断例


第28条(ドラフティング規則)

  1. (タイムペナルティ/TPルール)
    1. ストップアンドゴー・ルールがコースその他の安全性に関する事情で適用できない場合、停車・降車は行わず、タイムペナルティーを与える。
    2. (98年度削除案:どちらのルールを適用するかおよび)タイムペナルティーをストップアンドゴー・ルールに不随して適用する場合は、付加時間を事前に告知する。
      なお、タイムペナルティーを適用する場合であっても、違反に対し警告を与えるためにストップアンドゴー・ルールはマーシャルの裁量により適用される。(詳細は、
      「第8章ペナルティー」を参照)
    3. タイムペナルティーの付加時間は次を基準とし、大会そして競技区分により付加時間が事前に決定され発表される。

      <エージグループ部門:ドラフトゾーン7m、許容時間15秒のとき>
        違反宣告1回につき 5秒−10秒
        違反宣告2回につき10秒−20秒
        違反宣告3回につき15秒−30秒
        違反宣告4回につき20秒−40秒

      <エリート部門:ドラフトゾーン10m、許容時間30秒のとき>
        違反宣告1回につき10秒−15秒
        違反宣告2回につき20秒−30秒
        違反宣告3回につき40秒−60秒
        違反宣告4回につき60秒−80秒

      (再検討:バイク距離40キロで1回の宣告で1分が基準)

  2. (TPルールの方法)
    1. マーシャルは「警告シグナル」を発し、「レースナンバーを呼び上げ」、「タイムペナルティ」と告げる。ただし、宣告なしでも規定のペナルティータイムを付加することがある。
    2. 対象の競技者はすみやかにドラフティング状態を解除し、競技を続行する。

補足説明

状況例

判断例


第28条(ドラフティング規則)

  1. (SGルール、TPルールの適用)
    1. SGルール、TPルールは(違反状況)とコース状況に応じ、マーシャルの裁量により適用される
    2. 競技中にSGルール/TPルールの適用を受けなかった場合でも、違反が認められた場合は、レース後に(警告あるいは)失格宣言を受けることがある。

補足説明

状況例

判断例



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