JTU競技規則<改定案と補足説明と事例集>

第8章 ペナルティー(罰則) 第36条(ペナルティー)



第36条(ペナルティー)

  1. (注意)
    1. 注意は、違反状況になる前に発せられる指示あるいは指導であり、ペナルティー(罰則)ではない。(以下、削除案:審判員が公正で安全な競技の遂行に必要な場合に競技者に対し発するもので、指導的要素を持つ)
    2. 「注意に従わない」、「何度も注意を受けている」などの場合は、警告あるいはそれ以上のペナルティーが与えられる。

補足説明

状況例

判断例


第36条(ペナルティー)

  1. (警告)
    1. 警告は失格を与える前に必ず発せられるものではない。
    2. 警告は違反の可能性のある状況の競技者に指示(注意)を与えるものである。
    3. 警告は審判員の裁量で発せられる。
    4. 警告は下記により発せられる。競技者は、指示に従い競技を停止し対応する。
      1. ホイッスル、ホーン(短音2回の連続)を鳴らす。
      2. イエローカードを提示する。または警告ボード/フラッグを振る。
        <以降、98年追加案>状況によりマーシャルが、「両手を挙げて制止する」あるいは「片手を振って制止する」場合がある。
      3. レースナンバー(ゼッケン)をコールし、<以降、98年追加案>「ストップ(してください)」または「止まれ(止まってください)」と指示を出す。
      4. 競技者は、その場あるいはコース脇で競技を停止する。
      5. バイク乗車中に警告を受けた場合は、自転車競技規則で規定されたストップアンドゴー・ルールを適用する。
      6. 審判は、注意を与える。「ゴー」または「行ってください」とコールする。
      7. 競技者は、周辺の安全を確認し、競技を再開する。
      8. 競技者は、終了後、審判長に状況報告を行う。(奨励事項)
      9. マーシャルは、チーフマーシャルまたは審判長に報告する。
    5. 警告は次のような状態のときに発せられる。(ITUルール準拠)
      1. 「意図的ではないルール違反」と判断されるとき。「意図的と判断された場合」は、失格対象となる。
      2. 「ルール違反が起こりそうな状態である」と判断されるとき。
      3. ルール違反状況であっても、「アドバンテージを得ていない」と判断されるとき。明らかにアドバンテージを得ていると判断されるときは失格対象となる。

補足説明


第36条(ペナルティー)

  1. (ストップアンドゴー・ルール/競技中断ペナルティ) <以降、98年追加案>
    1. 警告での競技停止基準に従い、バイク競技に特有の違反状況の解除のために適用する。
    2. バイク競技においては、ローカルルールにより「タイムペナルティー・ルール(TPルール)」が適用される。なお、当ペナルティーが適用された場合でも、ストップアンドゴー・ルールは、事前の規定なしに適用される。
    3. 以上の詳細は、<第6章 自転車競技規則・第28条>を参照。
      <旧ルール/削除> 1)原則として自転車競技に適用される、実施基準はローカルルールにより規定される。

補足説明


第36条(ペナルティー)

  1. (失格)
    1. JTU競技規則第1章から第7章に規定する条項に違反した場合、失格とする。
    2. 失格は競技中に宣告されることがある。宣告の方法は、次の方法による。
      1. 警告音を発する。
      2. 警告ボード/フラッグ(レッドカード)を掲示する、
      3. レースナンバー(ゼッケン)をコールする。

      <補則3>
      競技中に失格の宣言を受けても、「失格対象とされた状況が改善された場合」は、マーシャルの判断により競技続行が許可される。

      失格状況の改善とは、例えば次のような状況である。

      1. 危険行為を止めた。
      2. レースナンバーの不正を修正した。 
      3. ストラップを締め直した。
      4. コースアウト地点に戻った。 
      5. 不良自転車を改善した。
      6. (98年、削除予定)不正スタートをしたが、戻った
      7. 設置自転車を倒したが、もとに戻した。
      8. スポーツマン精神に反する言動に十分な誠意を示した。
      ただし、この場合においても失格を免除されるものではない。終了後に、最終判定を受ける。
    3. 失格宣告は、競技中に必ず発せられるものではない。大会に係わるすべての失格は、競技終了後の規定時間内に《公式掲示板 Official Notice Board》に表示する。

    <補足>注意、警告、失格のシグナルについて
    内容(カード/旗)  ホイッスル・ホーン(連続して行う)
    注 意(黄) − − − − − (ピッ、ピッ、ピッ)(短音1回の連続)
    警 告(黄) −− −− −− −−(ピピッ、ピピッ)(短音2回の連続)
    失 格(赤) −−−−−−−−−−−(ピーー、ピーー)(長音1回の連続)


補足説明

状況例

判断例


第36条(ペナルティー)

  1. (出場停止)
    出場停止は、所轄競技団体(以下、削除:大会実行委員会または大会上訴委員会)の報告を受けたJTU理事会が(以下、削除:管轄する裁定委員会)審議する。その期間は、次のような違反の程度により決定する。
    1. スポーツマン精神に著しく反する行為
    2. 契約書や他の関係書類に虚偽の申告をした場合
    3. 無資格参加
      参加資格を第三者に貸与した者、およびその資格を利用して参加した者は、ともに一定期間出場停止処分を受ける。
    4. ドーピングルール違反
    5. (修正検討)無通告でリタイアした場合

補足説明

状況例

判断例


第36条(ペナルティー)

  1. (永久出場停止)「永久追放」の用語変更
    1. スポーツマン精神に違反する行為が、社会的に著しいとき。
      (旧表現/削除)社会的な背任行為など著しくスポーツマン精神に反する行為があったとき。
    2. 2度目のドーピングルール違反をしたとき。

補足説明


罰則の現場から  (95年10月17日付け報告より抜粋)

95年度トライアスロン大会でのタイムペナルティについての私見

 先の大会で起こった、1分間のタイムペナルティの件で、断片的な情報だけの状況ですが、JTU競技・運営ルールを基準をー前提に次の推論を行ってみました。
 大会は、ローカルルールが適用されたとのことであり、これに対し異論を唱えるものではありません。あくまでもJTUルール適用を仮定し、どのように判断があるか、若干の希望も付記しました。また、本件は、ルール適用の参考事例となるものです。

  1. JTU競技規則第36条2(警告)(1)
    • 「警告は失格を与える前に必ず発せられるものでない」ことは、トライアスロンにおいて周知された基本である。該当選手は、一般大会への参加経験もあり、これを知っていなけらばいけないトップ選手のひとりであった。
    • 審判業務の重要な任務のひとつが、「失格とならないよう選手を指導・管理すること」であり、これは競技説明会あるいは、それ以前に実行すべきことである。
    • 次に、「失格となりそうな行為に注意・警告を与え、これを正すこと」がある。競技者は、失格の状況にあっても、これを自ら修正する、あるいは、注意・警告により直ちにルール順守状態に戻すことで、ペナルティを受けずにすむ場合がある。これは、失格が免除されたとはいえず、最終判定を受ける。*第36条(4)
  2. 該当選手がペナルティー対象とされた“伴走”について、下記の事項が考察される。
  3. 第三者からの報告に基づく対処
  4. 該当選手が「判定」に対し抗議したことについて(第37条)
  5. 判定が覆されたことについて
  6. 注意と警告と失格
  7. 時間の厳守
  8. ルールの改善について
  9. スポーツを通じた教育の場



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