JTU運営規則<改定案と補足説明>

第7章 自転車競技(バイク)



第25条(バイク・コースの設定)

  1. 交通事情と総合的な競技環境により、主催者と所轄競技団体が関係各機関とコース設定計画を立案し、片道、往復、周回コースなどを設定する。
  2. 競技区分に合わせた交通規制を考慮する。一般車両のコース内通行は、規制されることが必要である。状況により規制が十分にできない場合は、最小限の車両通行となるよう調整する。
    大会区分により規制状況に条件が加えられる。
    <補則>
    交通規制例(追加検討)
     世界選手権(トライアスロン・ディスタンス51.5km)
       エリート部門:完全規制
       一般部門:完全規制+一部規制
     世界選手権(ロングディスタンス)完全規制+一部規制
     日本選手権(トライアスロン・ディスタンス51.5km)
       エリート部門:完全規制
       一般部門:完全規制+一部規制
     日本選手権(ロングディスタンス)完全規制+一部規制

  3. 周回コースは、競技者数、競技有効面積、運営体制などを検証し設定する。
    1. 周回遅れでスタートする競技者との接触が避けられるコース設定。
    2. 「進入コース」と「合流ゾーン」をセイフティコーンなどにより設定する。
    3. 見通しの良い地点に合流ゾーンを設定し、必要な誘導員を置く。

    <補則図解>  =95JTUルールブック参照=

    <補則>
    大会区分による周回数の設定基準は次のとおりとする。コースの競技有効面積に対する競技者数、交通規制状況とローカルルールにより決定する。
    大会区分世界選手権(51.5km)
    エリート部門
    世界選手権(51.5km)
    一般部門
    ワールドカップ
    周回数4−8周回1−数周回4−10周回
    大会区分日本選手権(51.5km)
    エリート部門
    日本選手権(51.5km)
    一般部門
    選抜大会他 
    周回数1−数周回1−数周回1−数周回

  4. 競技コースは、バイクが通行できる舗装道路を使用する。
  5. 安全を確保できる競技有効面積を確保する。交通規制、コース幅が狭いなどで競技有効面積が足りないときは、徐行、追越し注意(禁止を削除)などのローカルルールを制定する。
  6. ランコースとの並走は認められるが、十分な幅員を確保し、セイフティコーンなどにより区分する。
  7. バイクが交差するコース設定・運営を避ける。
  8. バイクとラン競技者の交差は避ける。コース設定上、交差地点が生じる場合は、十分な危険防止策と運営体制により制御する。
  9. 交差点や危険個所では、誤走を防ぎ、危険がないようセイフティコーンで区分し、標識や誘導員を配置する。
  10. 距離表示板は、5qごとに設置する。フィニッシュ地点には、横断幕などを設置し遠方からの識別を明確にする。
  11. エイドステーションは、見通しが良く、平坦で幅員に余裕のある地点に設置する。下り坂、極端な上り坂、見通しの悪い地点、幅員の狭い地点は避ける。
  12. エイドステーションは、第14章により規定する。
  13. 競技コースの地理的な詳細説明および交通規制状況は、事前に競技者に周知徹底する。主催者は、コース状況を網羅した詳細なコース説明図、コース状況のビデオを活用し、必要に応じコース視察を実施する。

補足説明

適正人数の算出例(参考)

事例


第26条(バイクコースの安全管理)

  1. コース上の障害物・危険物は、競技開始前に撤去する。コース上に駐車されている車両は、事前の告知により対処し、状況によってはレッカー車などで撤去することも必要である。
    <備考>
    バイク競技の重点ルール「キープレフト」を安全に順守できるよう主催者はコース路面管理を徹底し路上駐車をなくすよう事前告知を十分に行い競技中はコース巡回体制を確立する。
  2. コース上の危険箇所(交差点、道路状況不備、急坂、急カーブなど)地点とその手前(50〜100m地点)には注意看板を設置し、必要に応じ誘導員を配置する。
  3. 主催者は、競技に使用する自転車が規格に適合した安全なものであることを確認するために車検およびヘルメット検査を行う場合がある。
    ただし、JTU競技規則から、「競技者には、競技用具の整備義務」があり事前の検査の代わりに、抜き打ち検査を行う場合がある。
    <備考>
    事前に指定バイクショップでの車検制度を適用する場合でも大会前日・当日の車検・メカニックサービスは有効である。さらに、初心者の多い大会では、バイク整備指導やクリニックを行うことも推奨される。
  4. 鋭角ターンは、避けるべきであるが、やむをえない場合は十分な危険防止策と運営体制を整える。
  5. コースの交通規制状況により、一般車両と競技コースとの区分が十分にできない場合は、所轄機関の指導によりセイフティコーンの設置などにより安全を確保する。
  6. コース内では所轄機関の指導を受け、自主警備員が監視にあたる。自主警備員は、大会スタッフとして認識可能なユニフォームを着用する。
  7. 危険箇所は、事前に整備される必要がある。状況に応じ対応可能なマットなどを利用し適切な処置をとる必要がある。
  8. バイクトランジションの周辺および出入口は、フェンスやセイフティコーンなどで仕切り競技用具の保全および競技遂行の確実化を図る。

補足説明

事例


第26条+追加(バイク競技ドラフティング公認の基本条件) 全文追加

  1. ドラフティング公認大会の概要は、次のとおりとする。
    1. 開催趣旨および競技環境が適当であること。また、運営体制を総合的に完備できること。
    2. 開催候補地の所轄競技団体は、JTUに実施概要を申請する。技術視察を受け、基準に則したコース設定を行う。全般についてはJTU運営規則に準じる。
    3. 国際トライアスロン連合(ITU) 、アジアトライアスロン同盟(ASTC)、日本トライアスロン連合(JTU) の管轄する選手権あるいはこれに準じる大会で実施する。
  2. バイクコースの基本条件は、次のとおりとする。
    1. 一般車両が入り込まないコースを設定する。一般公道を使用する場合は、所轄警察の許可を受け、交通規制を完全に実施する。
    2. 全域のコース幅が十分であること。平均3. 5〜4m幅以上の競技コースを確保する。国道、県道クラスの整備された道路を適合基準とする。
    3. 曲がり角・カーブ・Uターン付近や急勾配地点のコース幅は、十分に広いこと。コーナー付近の逆バンクは避ける。
    4. 適度なコース幅が確保できない地点での対面通行は避ける。直線部分の対面箇所には、道路コーンなどにより中央分離帯を設ける。
    5. 下り坂あるいは長い直線コースからのカーブや曲がり角付近には、進入速度を抑え、危険を減少するためにコーンを設置する。必要に応じ緩衝材/衝撃吸収マットを設置する。
    6. コース路面は、全域が良好な舗装道路であること。段差、陥没、グレッチング、路肩の溝、マンホールの溝などは十分な補修を行う。
    7. コーナー付近のマンホール、横断歩道白線は、雨天時のスリップ度が高いため滑り止めやカーペット類で防護する。
    8. コース全域の視界が良好であること。不良地点は、改善策を講じる。トンネルなど急激に照度が落ちる場所では、照明など必要な処置を施す。
    9. 以上の危険・注意箇所には監視誘導員を置き、緊急対応を可能とする。
  3. 運営の基本条件は、次のとおりとする。
    1. 選手権/エリート部門の男子と女子を完全に区分する。ジュニアエリート部門も別区分とする。一般部門競技者の影響を受けないこと。
    2. 観客対策を十分に行う。コースを仕切るローピング、ハードフェンスなどを必要に応じ設置し、監視・誘導スタッフを配置する。
    3. 運営スタッフが競技をよく理解する。運営経験者の指導により、講習やリハーサルを実施する。
    4. 地域住民に十分な告知を行う。規制により直接影響を受ける周辺住民の事前の了解を得る。
    5. 審判車両、テレビ取材車両は、自動2輪車とし、コースに応じて数量を限定する。
    6. 所轄警察、消防署ほか関係各機関の協力を受け、緊急時の対策を講じる。
    7. コース設定および運営の詳細は、別途、競技コースに応じて作成する。
  4. 競技者については、次のとおりとする。
    1. JTUが認定した強化指定選手であること。
    2. 十分な競技力を有し、所轄競技団体が推薦した競技者であること。
    3. 競技に係わる十分な情報を与え、コース試走を義務付ける。
  5. コース設定と参加者数については、次のとおりとする。
    1. 平坦コースを基本に、適度なカーブ・曲がり角・勾配・高低差などが競技面から調和よいこと。Uターン、鋭角カーブなどは最小限とする。対面通行箇所は、十分はコース幅を確保する。
    2. コース環境と運営体制が整う範囲で、複数周回コース、単一周回コース複数往復コース、単一往復コース、複合コースを設定する。複数周回を基本とするコースは、密度の高い安全対策が取りやすい。
    3. 競技コース、大会趣旨などを考慮し、適正参加者数を制定する。
    4. 詳細については、JTU、所轄競技団体そして主催者が、現地事情を検証し調整する。

補足説明


第26条+補足(セイフティコーン設置例)