本殿                    本部
 
1999年12月17日(金)
 

< 大国の宮 >

肝川の山の上にある『大国の宮』の事だが、この度県道川西篠山線建設の為、本殿が移転される。
ひどい話だ。

普通、道路開発する場合、神社仏閣などは当然避けて設計するはず。
それなのに、今間近まで出来上がっている道路はまさしく本殿を突き抜けて行くことになっている。

17年程前にその道路を作ると言う案ができた時、肝川の住民全員で、反対運動の署名を行った。
そしてそれを県へ誓願に行こうとした所、猪名川町長から直接行くのは待って下さいと頼まれ、
「建設を実行に移す際には住民の皆様の御意見を必ず考慮に入れます。」という一筆を書いて渡さ
れた。

その後立ち消えたように、その話しは出なかった。
そして8年も経過した頃、土地買収などの交渉が始まった。

「それでは約束が違う。我々の希望を考慮に入れますと言った約束はどうなったのか?」
と尋ねると、2代も前の町長さんとの約束など知らない。もう既に、「都市計画決定済み」なので、
その計画は一切変えられない」と言う返事。

何度話し合いを持っても話はいつも堂々巡り。

その内一軒、一軒と交渉が成立してゆき、工事は強行された。

いざ工事が始まってみると、その道路はどう見ても「大国の宮」に向かっている。
役場に問いただしてみると、「確かに道路は本殿を通る予定ですので、移転します。」と言う返事。

話し合いのつかないまま工事は進められ、あげくは「一部の反対者の為に工事がストップして、
皆さんに迷惑をかけてる」と言ういわれ方をするようになった。

とにかく、住民の言い分を無視したまま工事は目の前まで強行されているのだから、仕方がない。
車宮司の「神々のお咎めは自分一身で受けます」というお祈りの上、今移転地の整備が捗っている。

しかし、この本殿は、昭和20年代の貧しい時代に「この山全体に神霊あり」ということで、
「自然を愛する」と言う真心でもって建立されたものである。

病気癒しや、御利益などのためではなく、ただただ『神の世界=大自然界』ということで建てられ
たのだ。

それが今まさしく自然破壊の犠牲にならんとしている。
静寂な山の雑木林に囲まれて建つ本殿は、少し離れた場所の木をなぎ倒し、石を積み上げた石段の
上に近々移されることになっている。

山道を登って辿り着くこの自然の中にある本殿は、本当に心の安らぐ所だったのに・・・

悲しいことだ。。。。。

今「お山のじいさん」は、これからもどんどん開発され自然破壊が進み、歴史の痕跡
が無くなってしまう前にとにかく「肝川の歴史の事実を確認しておこう」ということで、
毎日時間のある限り山を、探検して歩いている。
 
 

                        
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