JTU競技規則<改定案と補足説明と事例集>

第6章 自転車(バイク)競技規則 第26条(安全の確保)



第26条(安全の確保)

  1. a.(前方注意義務と適正走行) <追加>
    1. 前方注意は、競技者の義務である。
    2. 先行する競技者、前後からの車両、路面状況などが瞬間的に危険要因となりえる。そのため、競技者は徐行・減速・停止などにより緊急の危険回避ができるようつねに注意を怠らない。

      <技術ポイント(詳細数字は、おおそよの数字。別途実質数字を検証する)> 
      時速40キロで走行中、バイクは1秒間に11. 1メートル走行する。エアロバーハンドルから、ブレーキに手が掛かるまで平均して0. 3秒を要し、ブレーキ制動が伝わるまで0.2秒を要すると、緊急停止を意図してから合計0. 5秒=5. 5メートルを過ぎている。さらに、制動距離は、晴天時で5mを要する。
      バイクを40キロで走行中、危険を察知してから、止まるまでに10メートルを過ぎている。雨天時には、この1.5倍から2倍の距離を突っ走っている。


補足説明

状況例

判断例


第26条(安全の確保)

  1. (交通規則順守) <修正>
    1. 大会であっも交通規則を順守することは、競技者の義務である。
    2. コース役員、大会表示看板などによる指示があった場合は、これに従うこととするが、その場合であっても自らが安全確認を怠らない。
      (従来規則:以下削除)コース役員あるいは表示看板などによる指示がない場合、つねに交通規則に従い安全確認を怠らない。

補足説明

状況例

判断例


第26条(安全の確保)

  1. (左側通行・右側追越し義務(原則))
    1. コースの左側を、「キープレフト」を守り競技する。
      <追記>なお、キープレフトとは、一般的には路肩あるいは左端から1mあるいはコースの左寄り約1/3以内である。
    2. 追い越すときは、後方確認をし、前走者の右側から追い越す。
    3. 「追い越しの際に前方者に声を掛ける」ことを奨励する。

    <技術ポイント>キープレフトとは、一般的に路肩(左端)から1メートル以内を走行する。日本の道路は、2. 5メートルから3. 5メートル である。これにより、「追い越し車線」として、1. 5〜2. 5メートル幅を確保できる。
    <技術ポイント>追い越しの際に、センターラインをはみ出さない。特に完全規制が敷かれていない場合、対向車との追突を避ける上で必須の義務事項である。
    <技術ポイント>上り坂での追い越しは、蛇行しやすい、「追い越います」と一声掛けることが、思わぬ蛇行での追突防止に役立つ。


    <補則1> 左側通行の基本は、コースが閉鎖されていても、交通規則により左側を通行することである。右側追い越しは、左側通行が守られてこそ成立する。
    <補則2> ドラフトゾーンを保っていても、並走は、左側通行の基本そして交通規則に違反している。後続から追い抜く競技者の進路妨害ともなり禁止される。
    (補足説明)左端かのキープレフトで1m。ドラフトゾーンで右側に1. 5m。この競技者に合法的にドラフトゾーンが重ならないように併走するには、さらに1. 5mセンター寄りに位置しなければならない。この状態は、左端から4mに位置し走行することであり、一般的にはありえない状況である。
    <補則3> (98年度改定案)

    1. センター寄り走行の違反競技者がいた場合、左側走行を促す注意を口頭で与えることを奨励する。
    2. それでもセンター寄りの走行を続けている場合は、前方競技者の動きから、「左側を、安全ですみやかに追い抜けることを確認できた場合に限り」、これを容認する。
    3. やむなく左側から追い越した場合でも、危険であるとみなされた場合は危険行為のペナルティー対象となる。
    <補則4> (98年度追加修正)追い越しについては「後方確認をし、右側から追い越す」ことを基本とする(規定する)。なお、奨励事項として、「前方競技者には、一声かけて注意を促す」。さらに、「後方競技者には、右手を挙げ、追い抜いたら左手を挙げて左ラインに入る合図を行う」ことを奨励する。

補足説明

状況例

判断例


第26条(安全の確保)

  1. (左側通行・右側追越し義務(原則))

    <補足図解>   =95JTUルールブック 37ページ参照=

    <追加>

    1. この状態での適正は、「AがBを追越している最中」という場合である。Bは完全に追い抜かれており、徐々にAのドラフトゾーンから離れなければならない。また、Aがこのまま直進すると「キープレフト違反」として注意を受ける。速やかに左コースに入る。
      なお、Bは、Aの保有するドラフトゾーンから完全に離れる前に、Aを追い越そうとアタックを掛けるとはできない。
    2. Bが(後方からAに接近し、これから)追い越そうとしている場合、Bの位置を保ったままでいると違反となる。原則として、追い越しは右側からしなければならない。この場合、左から追い越しをかけると違反となる。
      <追加案>:Bは、Aに注意を促す。注意を無視した場合は、レース後に審判長に状況報告を行う。なお、Bは、安全で速やかにAを左側から追い越せると判断した場合は、左側からの追越しを容認するが、危険と判断された場合はペナルティーの対象となる。
    3. Aが追い越しを完了した場合、Aは左側通行(キープレフト)のルールを守るためすみやかに進行車線を左側に変更しなければならない。
    4. 進行車線の変更にあたっては追い越したBに注意を払いながら徐々に左側に移る。Aが急激な車線変更を試みると「危険行為」のペナルティーが与えられる。


第26条(安全の確保)

  1. (危険行為、進路妨害の禁止)
    1. 大会関係者、他競技者そして競技者自身に対し危険と見なされる行為を禁止する
    2. 他の競技者の進路を妨害することを禁止する。

補足説明

状況例

判断例


第26条(安全の確保)

  1. (危険行為、進路妨害の禁止)

    <補足図解1>  =95JTUルールブック 39ページ参照=

    1. ABCともにドラフトゾーンを守り違反とはならないが、この状態が続けばA、Cは左側通行の原則違反、そして後続選手の進路妨害ちなり集団走行を招く原因となる。
    2. AはBを追い越した位置にある。そのためキープレフトを守るためゆるやかに車線変更を行なう。
    3. 一方、Cは一挙にBそしてAを30秒(エイジは15秒)以内に追い抜き、双方のドラフトゾーン外に下がらなければならない。
    4. 図のABCの状況が継続されるとバイクマーシャルからCそしてAに対し「イエローカード」が提示される。そこで、「ストップアンドゴー」のルールが適用された場合はバイクを停止し、完全に降車してからバイクの両車輪を持ち上げるペナルティが科せられる。またはタイムペナルティが与えられることがある。
    5. この状態が続くと後続が集団化し複数の失格が出る可能性が高い。競技者は一歩先の状況を想定し、コース幅なども加味し「ルール適合ポジション」を確保する。
    6. 右側追い越しの原則は左側通行が守られてこそ成立するものである。


第26条(安全の確保)

  1. (危険行為、進路妨害の禁止)

    <補足図解2>  =95JTUルールブック 40ページ参照=

    1. Cはこの状態が続くと違反、早急にBのドラフトゾーンから脱出しなければならない。A、Bの間を通過するとAに対する右側追い越し違反およびABに対する危険行為とみなされる。
    2. また、Aはキープレフトを守るためゆるやかな車線変更により左側車線を確保する。
    3. 一方、中間に位置するBはAが左側に車線を変更することを想定しAの優先進路の妨害と見なされないように現状スピードを維持する。ここでBが急加速をすると「イエローカード、警笛、ナンバーコール」などの方法による警告を受ける。状況によってはストップアンドゴーが適用される。
    4. また、BがAの左車線変更を妨害した場合警告なしで「失格の宣告を受ける。Bがこの危険走行を継続した場合、コースアウト(競技停止の失格処分)を受ける。
    5. ただし、Bがすみやかに危険走行を止めルール適用ポジションを確保した場合は競技を続行できる。
    6. Bに対する審判の判定は競技終了後に出される。なお、終了後に失格判定が出された場合でもこれに「抗議」はできないことが規定されている。


第26条(安全の確保)

  1. (エイドステーションでの進路変更と減速義務)
    1. 第3章14条3項で定めたとおり、特別な注意が必要である。
    2. エイドステーションでは、補給を受けるために「事前に進路変更を行い、減速する」。
    3. 進路変更は、交通規則に準じ(従い)「左手を水平に挙げて行い、スタッフへの注意をうながす。(義務がある)
      <技術ポイント>エイドステーションのスタッフは、危険が伴うため走って補給物 を渡さない。(JTU運営規則参照)

補足説明

状況例

判断例



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